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ターニングポイント

初投稿です。宜しくお願いします。

 今日は、素晴らしく朗らかな一日だ。空は澄み渡るほど青く、雲ひとつない快晴。道行く人々には、屈託のない笑顔。くだらない冗談や、自慢話を広げる学生やカップルになりたてかと思われる初々しい学生。ギャンブルで大勝したと話すサラリーマンや遂に理想の彼女と結婚出来た若者。そんな幸せ空間が見渡す限り広がっている。ただ一人を除いてはー


 今日は、素晴らしく朗らかな一日だ。空は澄み渡るほど青く、雲ひとつない快晴!道行く人々には、屈託のない笑顔!くだらない冗談や、別に意識して聞いていたわけじゃないけど聞こえてしまった自慢話を広げるリア充学生やカップルになりたてかと思われる初々しい学生…(おっ、彼女の方可愛いじゃねぇか!!そこ変われ!って、男の方もすっげぇイケメンじゃねぇか…クソッタレ幸せになりやがれ!)という風に、見渡す限り場違いな幸せ空間が見渡す限り広がっている。今日もそんな何気ない日常にこの男…雲湖出流(うんこでる)は、一人寂しい思いをしながら、いつもの通勤路を歩いていた。


「はぁ~今日も仕事かぁー、だがまぁ、今日を乗り切れば明日は休みだ!気合い入れてやるしかないな!」


と、気合を入れながら会社へ一歩一歩近づいていく。だが、それこそが愚かな行為だと気づかないとはと、この後の展開を知っているものならば思うのであろう。この雲湖出流(うんこでる)という男がやってしまうことに…


普段どおり出社し、自分の机に向かう途中突然後ろから軽い衝撃があった。


「よう!出流(でる)ぅ!お前今日も死んだ魚のような目をしてるなぁ!はっはっは!そんなんじゃ可愛い娘も振り向いてくれんぞ!ほら!もっと胸張って表情筋動かせ!」


そういう筋肉隆々な男に怪訝な顔をしながら振り向く。


「おう、すまんな。残念ながらこれがデフォルトなんだよ。お前こそもっと力抜けよ。朝から暑苦しいからさ。」


と、この筋肉隆々な男…もとい荒川慎吾(あらかわしんご)に反撃しながら二人で目的地に向かうのであった。なんやかんや、しょうもない話をしつつ自分の机まで後一歩というところで、荒川から呼び止められた。


「そういえば、出流(でる)よ、なんかわからんのだが、今日お前さんに金子課長から重大な発表があるらしいぞ。気張れよ!うんこだけに!またな!」

と脳筋らしくクソつまらない(うんこだけに)ギャグを入れながら去っていった。


そんなクソゴリラの背中を見ながら、お、おい!そんなことさらっと言って立ち去るのやめろよ!このクソゴリラ!!と文句垂れ流しながらさっき言われたことを考えてしまっていた。


(俺みたいな奴に重大な発表だと…これは確実にマイナス方面のことだろうな…頑張ってやってきたが、転職考えないといけないのか…)


まさか、まだまだ早いと思っていたことが起きそうで気が気でないのだ。こんな時は、マイナスに考えてしまっても仕方ないとポジティブに行こうと無理やり思考を普段通りに戻し、ちょっとお腹が痛いけど、金子課長が来るまで淡々と今日の仕事の準備をするのであった。そうこうするうちに、課長が来ていつもの流れで業務が流れていく。荒川が言っていたような重大な発表なんてないと思えるほど、いつもどおりである。触らぬ神に祟りなしというが、俺は荒川が言っていたことが、気になりすぎて業務に集中できないので痛むお腹を擦りながら、ここは敢えて自分から突っ込むことにした。


「金子課長、すみません。今よろしいでしょうか?」


「ん?どうした雲湖(うんこ)君。何かわからないことでもあったか?」


と金子課長は、少し落ちていた眼鏡を元の位置に戻す。

ちなみに、金子課長は、今年29歳になる女性である。見た目的には、ドSな教師になるとすごく様になると思う。そういう点でも、なかなかに魅力的なお方で若手のエースである。なお、彼氏はいないとか。


雲湖(うんこ)君、君何か失礼なこと思っていたりしないか?」


「い、いえ、これっぽっちも…えーと、荒川から少しばかり耳にしたのですが、私に何か重大な発表があるとか…」


「あぁ!忘れていました。申し訳ない。確かに、雲湖(うんこ)君に非常に重大なことがあってね。」

その言葉を聞いた瞬間、俺は思わずごくりと唾を飲み込んでしまう。


「金子課長、その重大なこととは…やはり…」

「はい、そうですね。急で悪いのですが…」

「やはり、そうですか。短い間でしたけどお世話になりました。」

「私の代わりに、このプロジェクトをしてもらいたいのだけど…」

「入社してから色々と失敗とかしてその度にご迷惑もお掛けしたと思いますが、金子課長がいてくれたから頑張ってここまで出来たのだと思います。本当に今までありがとうございました。」

「ん?まぁ、そうだろう。で、プロジェクトの話なんだけどね、今回、私が一杯一杯で手が回せなくて君にと思ってね。ここで成功すれば昇給間違いないしね。日頃から頑張っている君にぜひやってもらいたいのだよ!」

と胸を張って得意げに金子課長は何か言っている。

(あーやっぱりそうだよ。俺は、ここまでよく頑張ったと思う。同僚や上司にも恵まれたと思う。いつも支えてもらっていたし。だから、最後ぐらいは綺麗に終わろう…ん?金子課長さらっと凄い事言わなかったか?え?成功したら昇給間違いなしのプロジェクトだって?え?)と、混乱している俺の気も知れずに金子課長は畳み掛ける。

「いやーほんと雲湖(うんこ)君がいてくれて助かるよ。これで私も他のことが出来るし。あぁ、そのことでわからないことがあったら聞きにおいで。ある程度までなら教えてあげられるから。後は頼んだよ!」

と金子課長は、可愛らしくウィンクをして業務に戻った。


一方、俺はというと、そんな急に昇給間違い無しの仕事を課長から頼まれ、今まで気を張り詰めていた分、脳が認識すると思わず気を緩めてしまった。そう、気を緩めてしまったのだ。ここが俺の人生のターニングポイントだった。


お世話になっている上司の目の前で、仕事を支えてくれている同僚の前で、俺はしてしまうのであった。

そう… ()()をー


ブリブリブリブリュリュリュリュリュリュ!!!!!!ブツチチブブブチチチチブリリイリブブブブゥゥゥゥッッッ!!!!!!!


部屋中に広がる音と臭い。そして、金子課長の机の前には、俺のうんこがー

俺はそれを理解した瞬間、鮮明に見えていた視界が涙かなにかわからないが段々と白い靄がかかったように見えなくなっていく。金子課長や荒川がなにか言っているがそれどころじゃない。さっきまで人生の最高潮だったのに、あっけなさすぎる。ここから取り返そうなんてもう無理だろう。そう思いながら俺の視界は完全に深く暗い闇に落ちていくのであった。


誰しもがあると思います。ここで彼は挫けてしまうのでしょうか…

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