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もどき

作者: 海之本

ひとりでいることが

さみしいのではありません

だけど

夜中に目が覚めて

隣りで聞こえる寝息に

泣けてくるのは

どうしてでしょう


わたしはあなたの分身


あなたの手を握りながら

眠るのが好きだった

あの頃と何も変わらなくて

本当は

小さな子供のように

あなたといられるなら

世界なんて

どうでもいいと思ってる

そんな甘えたなわたしに

あなたの優しさは

ご褒美のようで

懲らしめのようで


うまく飛び立てず

落下していくひな鳥のよう

必死になっても

鳥ではない

よくやっているという言葉は

違和感を残し

すり抜けていく


生きているのに

時々無味無臭なのは

自分自身のせい

それでもあなたは

抱きしめてくれるから

ますます

外が寒いのです


いつかは

世界のどこにも

あなたがいなくなる

そんな日が来ることを

近頃ひどく恐れてる


わたしはちゃんと生きられるかな


それともわたしが先に

消えるのかな


自信なんてどこにもない

心を鈍くならせて

早送りするように

毎日を過ごしてる

時間ばかりが過ぎて

告げた言葉通りに

ならないことばかり


あなたは

戻っておいでと言うから

それもいいかもしれないと

どこかでよぎるけれど

何も出来ないままの自分は

どこにいても

いつまで経っても

変わらないのでしょう


見て見ぬ振りして

必死になったつもり

だけど本当にそうなのか

最近はよく分かりません

疲れているのでしょうか?

それもよく分かりません


情けないわたしは

甘えたまま

ずっとあなたの腕の中で

眠り続けたいだけなのです


それももう終わり


夜中に目が覚めても

朝食に並んで座ったテーブルにも

なんだか

あなたがいるような気がして

挫けそうになってる


早く元に戻らないと

逃げ出してしまいそう


分かっているのに


何とでも言ってくださいな

とんでもなく弱いこと

認めましょう

だからもう少しだけ

待ってくださいよ


ぬくぬく温かい場所から

外に出たせいで

いつもより寒く感じるだけです

あともう少ししたら

寒さに慣れて

元の大人もどきに戻れますから


それまでは

待っててくださいよ

私さん


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