化物 実力の差 汝、怪物に恐怖を抱け 恐ろ、それは恥では無い。 盲目である事こそ恥なのである。
オレは何と戦ってるんだろうか?
ただ、剣を薙ぎ、剣を振るう事で感じる、漠然とした恐怖
隙を見て魔導銃で打とうしたら剣を狙われ、力任せに剣を振るうものなら叩き折られそうになる。
腰に剣を履いていても飾りの様に意識すら向けない、まるで最初から自分の肉体こそが凶器だと思わせるかの様に動き、此方を戦闘不能にしようとしている。
何よりムカつくのはオレを傷つけない様に気遣って、武器だけを破壊しようとしている余裕が腹が立つ。
こうなったら、転生者としての意地ってモノを見せるしかねぇかな?
オレは大剣をインベントリに仕舞う様にポリゴンを残しながら大剣を消し、片手剣を引き出す。
「ほう、面白い術を使う、未来有望ではないか カチューシャ、君もあれくらい動けて、色んな術を覚えるのだぞ」
全身鎧の男は赤茶色の髪の少女・カチューシャに話しかける
「いえいえ、私は彼女を超えなければいけません、でなければ私の理想には手が届く事は決して有り得ないのですから」
決心に満ちた表情で全身鎧の男に言ってのける
中々に腹立たしい、可愛い女の子に話しかけられると嬉しいが、ここまで実力をつけ、慣れるのに時間がかかったと言うのに簡単に超える宣言は中々に腹立たしい。
「オイ、話はもういいよな?」
「あぁ、済まないな、お嬢さん」
紳士風に余裕を見せる奴に一泡吹かしてから仇は取ってやる!
片足に力を込め、構え、思い込ませる。
オレは弾丸、一発の弾丸。
斬れないモノは無く、貫けないモノも無い。
ならば今回も斬れる!
足に溜めてた力を解放し、吹き飛ぶ、真っ直ぐに懐に、避けられる事前提の突き、突きから流れる様に切り上げ、本命の銃を兜の隙間へ魔力無しの弾丸を放つ。
やはり、突きは往なされ切り上げの時点で両手で交差する様に片手剣を砕かれたが、最後の弾丸は命中した。
パコン!と言う音で吹き飛び、ガン、コロコロと音で落ち転がる。
そして理解した。
全身鎧の男は人間では無かった。
兜が吹き飛んでも頭は無い鎧がユラユラと後退し、頭の部分を確認する仕草をすれば解る。
化物、怪物、はっきり脳で理解出来たのは死神
そんな言葉がぴったりと思い浮かんだ事だった。
「これで解ってくれたかな? カチューシャ、済まないね、私は残念ながら怨霊だ、生きては居ない、こんな化け物でごめんよ」
身体だけカチューシャと呼ばれる少女に向けるが、少女は気にした風も無く答えた。
「はい、薄々分かっておりました。 お父様はレイスソルダードと言う亡霊騎士と言う彷徨う亡霊達を導く御方なのですよね? それでも私の師匠はお父様だけですよ!」
笑い掛ける様に微笑む彼女は正しく天使、聖女そのものだった。
「そうか、ありがとうカチューシャ さて、これでも続けるか? 私は自分の娘、愛する嫁や家族の為であれば地獄に堕ちようとも必ず殺すし許さないタチだったのでな、お嬢さんが疲れるまで付き合おうでは無いか」
「ケッ! そうかよ、だが、亡霊なら手立てはある、聖魔法、神聖魔法を使えばその穢れた魂を浄化出来る事忘れて無いのか?」
カマをかける、が。
「何を言う? 何回私を殺した所で確殺しようが生き返る、私は楔、只の魂を打ちつけられ縛られた魂さ、今更何処にも行けぬよ、それともこう言おうか? この都市や国であれば二日あれば我が従僕で完全破壊、私の力を使えば、この世界は1日、つまり、この都市を捨てるに値するのか? 私の『人間』として『殺した』そこの男はそれだけの価値があるなら、示せ。」
傲岸不遜にも世界の敵発言する亡霊。
だが、オレのスキルや技術を使っても勝てないであろう、だけど。
「だがよ、オレからも良いか? テメェの家族、大切な者に裏切られたり、捨てられるかもしれねぇぞ、 テメェみたいな化け物、その時、テメェはどうするんだ? アァン!」
言葉で惑わす事位出来る筈だ!
「そうだな、それは仕方ない、私が不甲斐ないだけだったのだ。 仮に私の守護していた者が私を裏切り、牙を向けるなら私は躊躇無く殺す。 私のパーソナルスペースは案外小さいものでな」
少し考えた後に答えてくる。
あぁ、これは、壊れてやがる、自分の事なんて考えて無く捨てられたら諦め、裏切りには報復。
自分は死んだのだからと、何処かで諦めているのか、それとも。
オレは両手を上げ降参の意思を示す。
「わぁーたよ、だから、これ以上、殺さないでくれ、頼む。」
「それは、解らない、私の娘に危害を加え無ければ問題は無いが、それと詫びよう、お嬢さんの剣を砕き、刃毀れさせた事を、何、私が作ろう。」
警戒から、安全に変わったからか険悪の様な威圧感は抜け、友好的に近づきて来たのだった。
だが、その前に兜装着しろよ。