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ティゼルの野望 その二


 こんにちは。


 俺は征服王。


 ジドエン王国の王だ。


 ティゼル嬢たちがやってきたのは、もう半年も前になるかな。


 いろいろあったけど、彼女たちが来てくれたおかげで食生活が向上した。


 嬉しい。


 そして、トイレが綺麗になった。


 なぜかティゼル嬢は、トイレにこだわりが強かった。


 トイレが起点であるとばかりに。


 内務大臣室の文官たちも、喜んでいる。


 まあ、俺も汚いトイレよりは、綺麗なトイレのほうがいい。


 戦争中なら仕方がないけどな。




 俺の城の会議室にケイルランド地域のすべての王が集まった。


 すまない。


 狭くて。


 こんなに人が集まることは想定していなくて。


 四十人以上の王に、それぞれ文官や護衛が同行するから百人以上。


 この部屋、多くても二十人までなんだ。


 こんなに狭いと……誰も座れないからな。


 俺も立ってる。


 あ、こら、押さないでくれ。


 そこに女性がいるから!


 配慮しろ!


 ええい、護衛は鎧を脱げっ!


 場所をとる!


 あと、武器は構わないが槍や斧はやめろ。


 危ない。


 さやに納められる武器で。


 外?


 あー、外か。


 中庭なら、なんとか……いけるか。


 うん、そうだな。


 外にしよう。



 城の中庭にケイルランド地域の王が集まった。


 全員分の椅子を用意できないので、全員が地面に直接座っている。


 俺も座っている。


 まあ、誰も気にしない。


 戦場ではよくあることだ。


 あ、一部の王が地面に厚手の布を敷いている。


 そういうのは女性に譲りなさい。


 なに?


 俺はそんなに女性に気を遣う男じゃなかった?


 その通りだな。


 しかし、俺はエカテリーゼ先生から学んだのだ。


 超大国の礼儀作法をな。


 ははははっ。


 羨ましかろう。


 エカテリーゼ先生との交渉の機会は、この会議のあとで個別に作るから。


 うん。


 正直、俺たちは思っていた以上に礼儀とかできてなかったから。


 大国との交渉とかで恥をさらしたくないなら、最低限はできたほうがいいと思うぞ。


 俺たち流は通じないんだ。


 詳しくは会議のあとで。


 とりあえず会議を終わらせよう。



「こんにちは。

 今回の会議の開催を求めたティゼルです」


 一段、高い台に登ったティゼル嬢が、挨拶と会議の目的を説明する。


 そういえば、俺も聞いていなかった。


 なんのための会議なんだ?


「まず、このケイルランド地域……違う呼び方をされている者もいると思いますが、今回はケイルランド地域で進めます。

 まずはケイルランド地域の現状を知ってください」


 ふむ。


「ケイルランド地域は食料の生産能力が低く、資源も乏しいと言われています」


 そうだな。


「しかし、私が調査したところ食料の生産能力は低くなく、資源も豊富であることがわかりました」


 おおっ、そうなのか?


「これはジドエン王国の歴史書にも書かれていることです」


 え?


 そうなの?


 読んだことなかったからなぁ。


「ジドエン王国の周辺国の歴史書にも、同じことが書かれています。

 そうです、ケイルランド地域は豊かな地なのです!

 しかし、なぜ現在はそうではないのでしょうか?」


 なぜだろう?


「戦争ばっかりやっているからです!

 当然、生産能力も低くなりますし、資源の採掘もできません!」


 むう。


「このままでは、民が苦しい生活を続けることになります」


 それはよくない。


 しかし、戦争をしないというのは……


「そこで、このケイルランド地域を統一します」


 …………


 え?


 どうやって?


 まさか、この場で全員を殺すとか?


 さすがにそんなことをしても、誰も従わないぞ?


 各地で反乱だらけになるだろう。


 ティゼル嬢が、そんな愚かなことをするはずがない。


 俺はそれがわかるが、わからない何人かの王と護衛が立ち上がり、ティゼル嬢を糾弾きゅうだん……


 する前に、エカテリーゼ先生とイースリー嬢が叩きのめした。


 あ、エカテリーゼ先生、その人は王だから、ダウンした後に顔面にひざを入れるのはやめてあげてください。


 イースリー嬢、その護衛はもう気を失っているから、関節を外すのはやめてあげて。


 エカテリーゼ先生とイースリー嬢の動きで、場は静まり返った。


 ああ、いや、二人の行動にまったく動揺をみせないティゼル嬢の声だけが、城の中庭に響いていた。



 ティゼル嬢が言うには、まずは各地域……現在の領土をそのまま領地とし、それぞれの王は領王とする。


 そして、その領王のなかからケイルランド地域の統一王を選ぶ。


 統一王は、数年の任期で交代制。


 大事なのは、その統一王のもとに文官が集められること。


 統一王はその文官を使い、ケイルランド地域全体の内政を担当する。


 なるほどと思う。


 そうすることで、ケイルランド地域の開発ができる。


 しかし、問題がある。


 統一王をどうやって選ぶかだ。


 王たちは疑問に思った。


 口に出さないのは、エカテリーゼ先生とイースリー嬢がいるから。


 それぐらいの理性はある。


 あ、エカテリーゼ先生に膝を入れられた王、鼻血がまた出てるぞ。


 これで拭え。


 ああ、うん、俺もやられたことがある。


 そうだな。


 痛いよな。


 泣くのはあとにしろ。


 おっと、話を聞いていないとまたやられるぞ。


「統一王の選出がむずかしいのではないかと思われているようですが、これはシンプルに決めます」


 なんだろう?


 投票か?


 それともクジか?


「決闘です」


 ……


「各領地で代表者を一名、選んでください。

 その選ばれし代表者たちが戦い、最後に残った者が所属する領王を統一王とします」


 ティゼル嬢がそう言うと、一斉に質問が飛んだ。


「一対一か?」


「それとも多数の乱闘か?」


「武器はありか?」


「人以外の種族を代表にしてもいいのか?」


「国外の者を代表にしても?」


「王が代表じゃなくてもいいんだよな?」


「見学は?」


「いつやる?」


「どこでやる?」


「審判は?」


「判定基準は?」


 さすがのティゼル嬢も、質問者の勢いに少しびっくりしたようだ。


 まあ、ケイルランド地域の王だからなぁ。


 戦いに関しては、こんな感じだ。


「待ていっ!!」


 一人の男……たぶん、護衛が立ち上がり、声を上げた。


 エカテリーゼ先生とイースリー嬢が動き出そうとしたけど、ティゼル嬢がそれを止めた。


ティゼル(きさま)の言い分は、なるほどわかった。

 地域全体のため、戦いをやめろ。

 戦いの代わりに、代表での決闘をしろということであろう!」


 わかりやすい。


 まとめてくれた。


「だが、俺は納得できん!

 それでは、これまでの戦いで血を流した者はどうなる!

 小娘に言われたぐらいで、はいそうですかとやめられるか!」


 叫ぶ護衛に、ティゼル嬢は聞き返した。


「小娘が駄目なら……誰に言われたら納得できるのかしら?」


「決まっている!

 俺より強い者だ!」


 エカテリーゼ先生とイースリー嬢が動き出そうとしたけど、ティゼル嬢がもう一度、それを止めた。


「俺より弱い者の言葉に、耳は貸さん!」


 護衛の言葉に、周囲にいた王たちもざわつく。


 しかし、ティゼル嬢は慌てなかった。


「では、勝負しましょう」


 ティゼル嬢が台から降りると同時に、地面が盛り上がった。


 なんだ?


 盛り上がった土が人の形に……


 まさか、ゴーレムの召喚?


 大きい。


 三階建ての城壁ぐらいの巨大なゴーレムだ。


 その巨大なゴーレムが、護衛をぶん殴った。


 腕だけの打撃じゃない。


 あのゴーレムの体の動き、エカテリーゼ先生がやってた武術の動きだ。


 だからか、護衛はゴロゴロとかなり遠くまで吹き飛び、城壁に当たって止まった。


「魔法は卑怯……とか言わないわよね?」


 ティゼル嬢の召喚した巨大なゴーレムが城壁に当たった護衛に追撃しようとするが、エカテリーゼ先生とイースリー嬢がティゼル嬢を止めていた。


 もう気絶しているからと。


 さすがエカテリーゼ先生とイースリー嬢。


 頼りになる。


「……では、ついでね。

 異論がある者、立ちなさい。

 勝負しましょう」


 誰も立ち上がらなかった。


 代わりにあがったのが歓声。


「魔法だ!」


「魔法使いだ!」


「すごいっ、初めてみた!」


「へへん、私は二度目だぞ。

 前に旅の冒険者が使っていた」


「おおっ、そのときもこのような巨大なゴーレムを?」


「いや、焚火たきびぐらいの大きさの火を出してた」


「そっちも見たいなぁ」


 俺も見たい。


 魔法の話題で盛り上がった。


 そして、ティゼル嬢の提案に誰も異論はないようだった。





エカテリーゼ「えーっと、魔法はいいですが、不意打ちなのはどうなのでしょう」

イースリー 「試合ではないのですから、不意打ちもありです」


王A    「代表にエカテリーゼ殿やイースリー殿を選ぶのは?」

王B    「あ、ずるい。こっちも選びたい!」

王C    「俺も俺も」

エカテリーゼ「残念ながら、私たちは中立です。ティゼルさんも駄目です」

イースリー 「審判をさせてもらいます」


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― 新着の感想 ―
実際は代理じゃなくて王になって欲しいんだろうなぁw
それでは皆さんご一緒に! ガンダムファイト!レディ・ゴー!
 男よりも女の方が意外と容赦ないよ?とりあえずマウントとったら顔面乱打は基本だしね。
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