表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
913/978

【相談者】


 私の名は【勝負の結果(リザルト)】。


 スキルです。


 地域によっては、ギフトとかタレントとか呼ばれるものです。


 自我はなかったのですが、最近になって目覚めました。


 私の所有者(マスター)はスールカール=ジャンドールという魔族です。


 私の所有者は最強を目指しています。


 そのために、私の所有者は日々の努力をおこたりません。


 私の能力を活用するためには、それなりの力が必要ですから。


 でなければ、負ける未来しかせられないのです。


 私の所有者はそれがわかっているので、頑張っています。


 さすがですね。



 そして、なんやかんやあって私の所有者は五村に滞在しています。


 私の所有者は食事にはうるさいので、美食の多い五村が気に入ったようです。


 ただ、だからといって、ずっとラーメンというのはどうかと思います。


 いや、ラーメン、焼肉、ラーメン、焼肉のローテーションを組めと言ったわけではありません。


 カレーとかうどんとかカツ丼とかカラアゲとかバーガーとかテンプラとか焼き魚とか海鮮焼きとか、いろいろあるじゃないですか。


 どれも美味しいって言ってましたよね。


 ……ケーキを主食にするのは違うと思います。


 ケーキは食事のあとのお楽しみ!


 店員さんも言ってたじゃないですか。


 ケーキは美味しいけど、そればかりじゃ駄目だって。


 あと、なんだかんだ食べる量が多くなっていませんか?


 急に食欲が抑えられなくなった?


 ……あ、ひょっとして私のせい?


 覚醒した私を維持するのに、お腹が減るのかもしれません。


 すみません。


 食費は大丈夫ですか?


 宿代は別にしているから野宿の心配はありませんが、食べる量が多くなったのなら質を下げて……働き口を探すのですね。


 頑張ってください。


 はい、これも勝負ですね。


 しっかり結果を出しますよ。


 え?


 私はしばらく使わない?


 あ、注意されたからですね。


 わかりました。


 大人しくしておきます。


 ……


 食事の店選びには使うんですね。


 いえ、頑張ります。




 私の所有者は武術の家庭教師という仕事を見つけました。


 スカウトされたので、日々の努力が実った形ですね。


 さすがです。


 そしてスカウトしてきた人。


 私の所有者に目をつけるとは、なかなかやりますね。


 ふふふ。


 ですが、私のほうが先に見つけてますから!


 生まれたときからですから!




 生徒さんを連れて、ラーメン、焼肉、ラーメン、焼肉のローテーションは駄目ですよー。


 しかも、何度も行く店だから安心して私を使ってないじゃないですかー。


 どうなっているのですかー。


 あと、生徒さんたちにおごるのはかまいませんが、たぶん私の所有者よりもお金持ちだと思いますよ?


 私の所有者の雇い主のお子さんたちですからね。


 ……


 あの、宿のランクをあげるのは、まだ早いのでは?


 五村に永住するなら、持ち家にすべきだと愚考します。


 いまはお金を貯めるときです。


 冒険者みたいな危険な仕事をしているなら将来を考えるのは馬鹿らしいかもしれませんが、しばらくは安定した収入が期待できるのですから。




 なかなか大きい家ですね。


 庭も広いですし。


 え?


 新築?


 だ、大丈夫なのですか?


 持ち家派の私でも躊躇ちゅうちょする額なんじゃないですか?


 あ、かなりお安い。


 家庭教師の関係で、安くしてもらえると。


 なるほど払えないことはありませんね。


 ですが、かなり余裕がなくなりますよ。


 ここは私を使って確認すべきではないでしょうか?


 そうしましょう、そうしましょう。


 では、えいっ!


 あ、あー……


 駄目ですね。


 見えません。


 結果がでるのが未来すぎるのかもしれません。


 まあ、短い期間で後悔している様子はないということで……


 え?


 買うと決めたんですか?


 信用されているのは嬉しいのですが、ほんとうにいいんですか?


 買うと、しばらくは五村に住むことになりますよ?


 各地を回って最強になるための訓練もしにくくなりますよ?


 いいんですね?




 家を買ってから、私の所有者はかなり浮かれています。


 何度も何度も家でパーティを開いています。


 深夜まで騒いでいるわけではありませんし、お隣さんも誘っているので騒音で叱られることもありません。


 しかし、家を買って余裕がない懐事情があります。


 そろそろ落ち着いた生活をしないと、いろいろ困りますよ。


 おお、さすが私の所有者。


 私の意見を素直に聞いてくれました。


 そうですそうです。


 庭でしっかり訓練をしてください。


 そのために広い庭を求めたのですよね。


 最強を目指して頑張ってください。




 ……


 私の所有者が最強を目指しているのは知っています。


 ですが、なぜ最強を目指すかは知りませんでした。


 今日、知りました。


 モテたいからだそうです。


 そう、生徒たちに語っていました。


 なるほど。


 強い異性にはかれるもの。


 最強を目指すのは、間違った行動ではないと思います。


 そして、これまで私の所有者が私を使って勝負の結果を見た相手に、女性が多かった理由もわかりました。


 私の所有者は、勝負に勝ち、強さを見せつけ、相手が惚れてくる結果を求めていたのですね。


 なるほどなるほど。


 そんな都合のいい結果が、これまで一度たりともなかったのはよかったです。


 ええ、よかったです。


 自我のなかったころの私、ナイス!


 んん?


 なぜナイスと思うのでしょうか?


 そして、この私の胸のもやもやはなんでしょう?




 こんにちは。


 私の名は【相談者(アドバイザ)】。


 元【勝負の結果】です。


 ええ、スキルです。


 進化しました。


 いや、頑張ればできるものなんですね。


 私、すごい!


 そして新しい私の能力は【勝負の結果】と同じ力を使い、所有者の相談に乗ることです。


 いままでと変わらない?


 たしかに。


 ですが、ちゃんと変わった部分もあるんです。


 それは実体化。


 人の姿となって姿を現すことができるのです。


 私の所有者からあまり離れられませんが、所有者の意思にかかわらず自由に実体化できます。


 そしてその姿は絶世の美女!


 と、言いたいのですが、残念ながら五歳ぐらいの小さい子供です。


 自我を得てからの時間が短いからでしょうか。


 それとも進化したてだから?


 世の中、なかなか上手くいかないものです。


 しかし、私が私の所有者の近くにいることで、私の所有者がモテる未来は減りました。


 ふふふ。


 おっと、これは意地悪ではありませんよ。


 モテなければ、私の所有者はさらに強さを求めるでしょう。


 私の所有者には最強になってほしいですからね。


 そのための応援です。


 さあ、私の所有者!


 今日も頑張りましょう!


 食事はラーメンがいいですね。


 私が実体化しているときは、私の所有者が私のぶんまで食べる必要はありません。


 私が食べますから。


 見た目は子供ですが、食べる量は大人なので、まわりにびっくりされますが。


 自分で食べるとなると、ラーメン、焼肉、ラーメン、焼肉のローテーションの魅力もわかってきました。


 あらがいにくいですね。


 え?


 肩車してくれるのですか?


 わーい。


 私は私自身の勝負の結果を見ることはできませんが、きっと未来は明るいはずです。





スールカール「起きたら、幼女がいた……」

生徒たち  「先生に急に子供ができた……」



体調、かなり回復してきました。

頑張ります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
モーモー太郎さん、やくとぱんたーさん。リアル世界のお話をまじえて作品感想を語りますが、 「ホウ=レグさんとシールさんのご結婚話」を振り返って考えるといいかもしれません。 広大な性的同意年齢法のような、…
ロリコン呼ばわりされてモテなくなるかな…(-_-;)
起きたら幼女がいて『あなたのスキルです』で受け入れるのかw
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ