表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
896/979

湖に向けて出発


 俺たちは四村に雄のメレオを届け、大樹の村に戻った。


 予定よりも帰ってくるのが遅くなったので、クロとユキ、そしてザブトンにかなり心配された。


 すまなかった。


 手紙で遅くなるのは知っていても、心配はするよな。


 よしよし。


 同じく心配してくれた奥さんたちにも、謝罪。


 子供たちも……すまなかった。


 ははは、わかったわかった。


 あとで一緒に遊ぼう。


 いや、すまないが今日は休ませてくれ。


 それと、フローラ。


 大丈夫だとは思うが、ダガたちに治癒魔法をかけてもらえるか。


 本人たちは大丈夫だと言ってはいるが、気絶していたからな。


 すまない。


 それとハクレン。


 早く戻れた。


 ありがとう。


「えへへー」




 翌日。


 子供たちと遊びながら、四村の雄のメレオとその飼い主である悪魔族の女の子との話し合いの結果を待つ。


 飼い主に事情の説明はした。


 シルキーネさんたちは、雄のメレオが来るなら歓迎すると言ってくれていることも。


 しっかりと話し合ってもらいたい。


 そして……


 ダガとガルフ、ビーゼルの様子がおかしい。


 気絶したことを気にしているのかと思ったら違った。


「あれは神の視点……」


「俺は見てはいけないものを見たのではないか……」


「許されることなのでしょうか……」


 宇宙から見たあの景色は神の視点。


 そんなところに自分が立ってしまって、なにかしら罰を受けるのではないかと悩んでいた。


 三人が信仰の話をしているところを見たことはないが、個々に信じる神がいるのだろう。


 この世界では神の存在は確信されているし、実際にちょっと前に神の声を聞いたところだからな。


 信仰に関してなので、俺は口を出さないし、出せない。


 存分に悩んでくれと言いたいところだけど……


 雄のメレオが飼育場に行くことになったら、またハクレンに乗せて運んでもらうだろう。


 それを考えると、悩み続けられても困る。


 しかし、どうしたものか。


 こういった信仰関係の話だと、始祖さんが頼もしいのだけど都合よく来てくれるかわからない。


 来るときは頻繁に来るけど、来ないときは来ないからな。


 始祖さん以外となると……ヨウコやニーズ、聖女のセレスはどうだろう?


 三人とも神のことには詳しいだろう。


 いけるか?


 いや、難しいか?


 ま、まあ、三人とも五村にいる。


 こっちに来たときにまだダガたちが悩んでいたら頼もう。



 五日ほど経過したころ。


 雄のメレオは飼育場に行くことで、話がまとまった。


 飼い主が雄のメレオの熱意を認めた。


 実はこの結論は二日ぐらいで出ていた。


 ただ、雄のメレオが飼い主と別れたくないと言い、一緒に来ないかと誘っていたのだ。


 飼い主は独り立ちできる年齢ではあるのだけど、四村での生活がある。


 全てを捨ててメレオの飼育場に行くのは、抵抗があった。


 ……


 はっきり言おう。


 飼い主だって、パートナー探しをしないといけないのだ。


 幸いにも、四村の悪魔族の男の子と仲が進行しているが、ライバルがいて気が抜けない状況。


 飼い主は雄のメレオを大事にしているが、その雄のメレオの恋愛事情に付き合って自分の恋愛事情を捨てるのはどうかと悩んだらしい。


 悩むだけ立派な飼い主だ。


 ちなみに決断の最終判断となったのは、メレオの飼育場での生活。


 ビーゼルやシルキーネさんがいろいろと手配してくれるので生活に問題はない。


 ただ、そのメレオの飼育場ではメレオたちの熱愛を見せられ続けることは容易に想像できる。


 耐える自信がないらしい。


 ま、まあ、気持ちはわかる。


 発情期以外ではそれほどでもないと思うけど、雌のメレオたちは籠城するほどの執着をみせたわけだからなぁ。


 あと、飼い主と仲のいい悪魔族の男の子も一緒にメレオの飼育場に連れて行くことも考えたらしいけど、その男の子は四村で頑張りたいらしい。


 生活を改善してくれた四村のクズデン、ベル、ゴウ、それと俺に恩を感じており、将来は四村の運営に関わりたいと勉強しているそうだ。


 一緒にメレオの飼育場に行こうとは言えなかった。


 とりあえず、飼い主が雄のメレオに会いに行けるように、ビーゼルとシルキーネさんに協力をお願いしておこう。


 一度ぐらいは、どんな場所で飼育しているかを見ておいてほしいからな。



 さて、雄のメレオが飼育場に行くと決まったので、出発の準備。


 ハクレンの方法で超短時間で運ぶ。


 ……


 あ、行きと同じ時間にはならない?


 位置の問題で、ちょっと時間がかかる?


 なるほど。


 まあ、それでも半日もかからないとのことだけど、一食分ほどは用意しておく。


 移動中のハクレンは食べられないので、申し訳ないが。


 あと、背負子にトイレルームを設置。


 時間がかかるなら必要だ。


 トイレ後の手洗いも考え、貯水タンクも設置。


 下水をハクレンにかけるわけにもいかないので、下水タンクも作っておこう。


 ついでに向こうに渡す手土産を積み込む。


 頻繁に行き来する場合、手土産は最初の一回でいいらしいけど、雄のメレオをお世話してもらうわけだからな。


 手ぶらというわけにはいかない。


 もちろん、雄のメレオの待機場所が最優先。


 積み込むのは無理のない量だ。



 準備が完了したら、さっそく出発したいのだが……


 問題発生。


 ダガ、ガルフ、ビーゼルが背負子への搭乗を拒否。


 まだ悩んでいるのか?


 ヨウコや聖女のセレスと相談したあとかなり元気になっていたから、大丈夫だと思ったのだけど……


 違う?


 そっちは消化できた?


 ただ怖いと。


 ……


 ………………


 ま、まあ、たしかに怖いか。


 すまない。


 俺の感覚がおかしかったようだ。


 そうだな。


 怖いよな。



 ダガ、ガルフ、ビーゼルは転移魔法で先行して移動することになった。


 代わりに同行者をどうしようかと思ったけど……


「護衛なら私がいれば大丈夫でしょ」


 たしかにハクレンと一緒なら問題ないか。


 ルーたちも納得している。


 ただ、希望者はいないかと探したけど……


 それぞれ忙しいのね。


 雄のメレオの飼い主も駄目と。


 いつになるかわからないから、予定が組めなかったからな。


 仕方がない。


 俺とハクレンで雄のメレオを輸送しよう。


 ところでハクレン。


 今回は重装甲なんだな。


 拘束されているみたいでイマイチなんじゃなかったのか?


「移動に問題はないわよ」


 ハクレンの重装甲を見せてもらったときに、思いっきり褒めたからだろうか?


 見た感じ、無骨ぶこつな全身鎧が変形してお洒落しゃれな全身鎧になる変形拡張は、ロマンに溢れていた。


 子供たちに人気なのもわかる。


 ドラゴンの姿でも、それは変わらない。


 子供たちが、きゃっきゃと重装甲を褒めている。


 しかし、人間サイズのものがドラゴンサイズに大きくなるのは、魔法の便利さだな。


 ん?


 なんでも可能なわけじゃない。


 使う素材を厳選しているからと。


 それとドラゴンサイズになったとしても防御力とかは元の人間サイズのままだから、見た目ぐらいの意味しかないと。


 なるほど。


 おっと、背負子に乗っている雄のメレオが急ごうと急かしてきた。


 すまない。


 飼い主との別れは……すませているんだな。


 怖くは?


 耐えてみせると。


 よし。


 それじゃあ、出発しよう。


 目指すは、メレオの飼育場。


「村長。

 実はその場所に直接行くのは難しくて、まずはあの滝のある湖でいいかな」


 ん?


 そうなのか?


「あそこの地形って、似たような感じだったから。

 近くにいけばわかると思うけど、ふらふらするのはちょっとね」


 湖なら大丈夫なのか?


「大きい湖だったから上から見えると思うし、あのあたりは何回か行ったことがあるから」


 わかった。


 それじゃあ、湖を目指して出発しよう。





よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
これで元の飼い主がライバルに敗北したら……
まあリアルでも、宇宙(ソラ)に上がると、人生観変わるって宇宙飛行士の多くが言ってるもんな(^_^;)。<事前に勉強や映像による知見を受けてても… ましてやダガ達には、あきらかにまったく体験したことの…
ルーは、ついて行かないと 「#441 番外 ルーの研究」で村長の解を実体験できるかもしれないチャンスなのに
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ