メットーラの結婚式 出席者集合中
●前話、テキスト修正しました。
参加 → 出席
少し待ってから、ハクレンが次の混代竜族を紹介してくれた。
四人の女性。
オータット。
オーワメアー。
ハイフリーニアルス。
ラクトロイ。
それぞれ、さきほどの四人の妻になる。
そして、オージェスたち三人が嫌いじゃないけど苦手だと評した四人でもある。
オージェスたちとは血縁的に近いらしく、また結婚するまではオージェスたち同様に“魔黒竜”の称号を求めて暴れていたらしい。
オータットとオーワメアーは姉妹。
二人はオージェスの叔母(母の妹)になるらしい。
ハイフリーニアルスはハイフリーグータの叔母。
ラクトロイは、キハトロイの伯母(母の姉)。
数が少ないからだろうけど、ドラゴンの血縁は狭いなぁ。
四人と無難に定型文の挨拶。
……
四人の後ろにギラルとグーロンデがいるけど、まだこの四人に用事があるのか?
四人が無礼を働いたらすぐに殴れるように見張っているだけ?
そんな心配をしないと駄目な四人なのか?
今日はメットーラの結婚式だから、騒動は困るんだが。
俺がそう言うと、四人は慌てたように否定した。
祝うために来た?
変なことしない?
本当か?
強く、何度も頷いている。
まあ、なにかやったわけじゃないからな。
とりあえずは信じよう。
男性陣も待っていることだしな。
結婚式はメットーラたちが到着して、少ししたら行う予定だ。
それまでは案内役の指示に従ってもらえると助かる。
混代竜族の案内役は……
ギラルとグーロンデがやってくれるみたいだ。
頼んだぞ。
しばらくして、メットーラ、ウルザ、アルフレート、ティゼル、トライン、アサ、アース、マアが村にやってきた。
メットーラは挨拶もそこそこに、村の女性陣に連れられて行ってしまった。
結婚式の準備があるからなぁ。
俺はウルザたちと話をする。
二人、見慣れぬ人物を連れているからだ。
一人は中年男性。
両目を黒い布で隠している。
吸血鬼のロベルトだな。
手紙で知っている。
メットーラの結婚相手、ギィーネルの部下で友人だと。
ギィーネルの結婚式にいるのは当然だな。
ああ、フローラの知り合いらしいので、あとで案内しよう。
?
なぜ首を横に強く振る?
「フローラさまにお声がけできる身分ではありませんので」
身分って……
え?
フローラって身分が高いの?
普段の様子からそんなことはないと思う。
ああ、吸血鬼のなかでの身分が上ということね。
なるほど。
そう遠慮することもないと思うが……
種族的な事情は、他の種族には理解しにくい。
余計な介入はせず、本人に任せるとしよう。
なので、始祖さんとルーとフローラがやってきてロベルトを連れて行くが、俺はなにも言わない。
ロベルトがこっちを見てなにか言いたそうにしているが、両目を黒い布で隠しているからな。
なにを言いたいか、ちょっとわからない。
すまない。
黒い布の下が、助けを求める目じゃないことを願っている。
さて、もう一人。
こっちは女性で、ウルザに紹介された。
彼女の名はトーシーラ。
混代竜族で、メットーラの妹。
メットーラから聞いているので名は知っていたけど、実際に会うのは初めてだ。
メットーラとトーシーラの姉妹仲はよく、そのメットーラの結婚を聞いて、この場……じゃなく、メットーラのいる場所に駆けつけた。
個人的には結婚には反対だけど、言って止まる姉じゃないし、姉の幸せを願っているのは本当なので渋々、かなり渋々、結婚式に出席するとのこと。
いろいろと複雑なんだな。
まあ、メットーラの妹なら歓迎する。
「ありがとうございます」
ところで一つ、聞いてもいいかな?
「なんでしょう?」
ライメイレンのところで働いているんだよな?
「ええ。
ライメイレンさまにお仕えしております」
うん、ライメイレンが広大な縄張りを留守にするとき、その縄張りを任される優秀な妹だとメットーラから聞いている。
ライメイレンの腹心的な存在だと。
「メットーラ姉からそのように評価されているとは。
嬉しい限りです」
縄張りを任される君がここに来る許可をライメイレンに取ったか?
「ちゃんと出かける旨を記した手紙を残しておきました。
問題ありません」
なるほど。
でも、ライメイレンはその手紙を読んでないと思うのだが?
ライメイレン、ここしばらく村にいるから。
それで問題ないのか。
あ、でもライメイレンが怖い笑顔でトーシーラの背後に忍び寄っているから、問題はあるのかな?
あるみたいだ。
ライメイレンがトーシーラの肩を掴んで連れて行ってしまった。
ライメイレンのそばにヒイチロウとグラルがいるから、すぐに解放され……ライメイレンがヒイチロウとグラルをドースに任せた?
長くなりそうだ。
だが、トーシーラもここまで来たのだから、結婚式には出席させてやってほしいと言っておく。
さて。
メットーラが来たことで、もうすぐ結婚式が始まる。
それまでウルザたちと話でもしながら待てばいいのだが……
大半の者が、結婚式の手伝いにこの場から離れている。
まあいい。
トーシーラを紹介してくれたウルザが残っている。
そのウルザに聞かせたい話があるんだ。
うん、そこそこ重要な。
あー、ウルザよ。
なにか忘れてないか?
忘れていない?
そんなことはない。
忘れているぞ。
ちょっと考えてみてくれ。
……
駄目?
そうか、じゃあヒントだ。
氷。
……
氷の魔物のことだ。
村に置いたっきり、迎えに来なかっただろ。
もう春だ。
めちゃくちゃ拗ねているぞ。
夏場、どこにいようかなーって聞こえるように言ってくるんだ。
返事に困る。
手紙にも何回か書いた。
迎えに来いと。
どうするんだ?
もう少し、預かっていてほしい?
あまり邪険にしてやるなよ。
違う?
氷の魔物が過ごしにくい環境だから、調うのを待っているだけ?
それならいいが……
わかったわかった。
預かるのはかまわない。
ただ、お前から氷の魔物にちゃんと言っておくんだぞ。
あと、ちゃんと迎えに来るように。
まだまだウルザには言いたかったが、メットーラの結婚式が始まるようなのでここまでにした。




