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ティアだって頑張っている

●人物紹介

 グーロンデ  竜族、ギラルの妻。


 オーロラ   天使族。ティアの第二子。ティゼルの妹。

 ローゼマリア 天使族。グランマリアの娘。

 ララーデル  天使族。クーデルの娘。

 トルマーネ  天使族。コローネの娘。


 ルィンシァ  天使族。ティアの母親。

 ラズマリア  天使族。グランマリアの母親。

 スアルロウ  天使族。双子天使のスアルリウ、スアルコウの母親。


 氷の張ったため池の上。


 子供たちが、勢いよくクッションぐらいの大きさの氷のかたまりを押して滑らせる。


 そして、滑った氷の塊は別の氷の塊にぶつかり、コーンといい音を立てた。


 子供たちがやっているのは、カーリング……ではなく、氷上おはじきみたいなもの。


 交互に氷の塊を滑らせ、相手の氷の塊を定められたエリアから追い出す感じ。


 細かいルールはまだない。


 今朝、始まった遊びだ。


 最初は凍ったスライムでやっていたのだが、それはかわいそうだと止めた。


 スライムの代わりに使われたのが、氷の魔物が作った氷の塊。


 氷の魔物がぶつかったときの音にこだわり、無駄に高密度な氷の塊だった。


 普通、氷と氷がぶつかってもコーンという音はしないもんな。


 重いのが欠点で狙った場所に滑らせるのが難しくなっているのだが、逆に子供たちはやる気を出している。


 まあ、楽しんでいるならいい。


 氷の魔物も、あたたかい目で子供たちを見ながら、乱入者用の氷の塊を作り続けている。


 何人か並んでいるんだ。


 ハクレンとかグーロンデが、子供たちと一緒に遊んでいるしな。


 ため池のほとりでは、グーロンデのお供のオルトロスのオルが待機している。


 グーロンデの様子が気になるようだが、氷の上には行かない。


 一度、行って盛大に転んだからな。


 怪我とかはなかったのだけど、子供たちに心配されたのが気に入らないらしい。


 グーロンデが呼んでも行くのを渋っているから、かなりだ。


 だが、それを笑ったりはしない。


 よしよしとオルの二つの頭を撫でながら、子供のいないときに氷の上を歩く練習をしようと言ってやる。


 俺も二回ほど、氷の上で転んだからな。


 ちなみにだが、ため池の上で遊ぶのはため池の底で冬眠しているポンドタートルたちに迷惑じゃないかと思うが、ため池が蒸発するような大爆発でも起こさない限りは大丈夫らしい。


 ため池の中ならともかく、ため池の上は縄張りの外なので気にならないそうだ。


 前にポンドタートルたちが起きていたときに聞いて、そう言っていたので間違いない。





 大樹の村の北側の水路で、ティアの作ったゴーレムが一列に並んで水路に張った氷を砕いていた。


 放置すると、水路全体が凍ってしまうからな。


 必要な処置で、冬になると定期的に誰かがやっている仕事なのだが、今回はティアがやっている。


「私も活躍しないと立場が……」


 天使族が増えたので、村での存在感を増やしたいらしい。


 十分、あると思うけどな。


 存在感。


 ああ、違うか。


 ほかの天使族に、ティアが村のために働いている姿を見せないといけないのか。


 働いていないことはないんだけどな。


 ティアもなんだかんだ部屋に篭って研究したりしているから、目立たないだけで。


 ちゃんと村のために働いている。


 なんだかんだいっても、ティアは大樹の村の初期メンバーの一人。


 ルーと一緒に、副村長的な立ち位置で各村の住人のことを気づかって行動してくれている。


 そのうえで、今は文官娘衆も多数参加するようになっているが、ハウリン村との交渉窓口を担っているしな。


 魔法知識もルーに負けないぐらいあるので、そういった面でのアドバイスも助かっている。


 あと、ティアの働きを語るうえで欠かせないのがゴーレム生成。


 ティアはゴーレムを生成することができるが、それは人型だけじゃない。


 様々な形のゴーレムを生成できる。


 扱う素材だって、土だけじゃない。


 鉄や液体でだってできる。


 これは、すごい高度な技術らしい。


 このゴーレムの生成を使って、ティアはさまざまな試作品を作っている。


 とくに山エルフの作る物に、よく使われている。


 例を出すなら……(パイプ)


 筒は穴のあいた棒だが、この穴のサイズが意外と重要。


 目的に適した穴のサイズにしなければいけない。


 そのサイズが最初からわかっていればいいのだが、そうでないときは作って試すを繰り返さないといけない。


 これがかなり大変。


 まあ、だいたいは目測でなんとかなるのだけど、場合によってはミリ単位の調整が必要だったりする。


 そんなとき、ティアに頼めば指示した素材とサイズで筒を作ってくれる!


 ありがたい!


 筒だけでなく、歯車やスクリューなど、調整が面倒な部品の生成もしてもらっている。


 ティアに頼んで試作部品を作り、最適な形を見つけてから本番の製作を開始するのが、山エルフたちのスタンダードになりつつあるぐらいだ。


 だから、ティアが村のために働いていないことはない。


 が、マルビットかルィンシァあたりに「もっと見える形で」と注意されたのだろう。


 たぶん、ルィンシァだな。


 オーロラを奪いつつ、言っている様子が想像できる。


 まあ、ティアはティアで気分転換を兼ねて、外に出てきたのかな。


 ここしばらく、ルーと一緒になにかやっていたようだから。




 夕食。


 俺のいるテーブルに、ティアとオーロラが座った。


 オーロラを奪還したのかと思ったけど、ルィンシァも一緒にいるからまだのようだ。


 オーロラは……


 ティアとルィンシァのあいだで、両方に話題を振っている。


 気を使わせてすまない。


 俺も頑張らせてもらおう。


 なに、今日の夕食は話題になる。


「村長。

 今日の料理ですが……いつもと違いますね」


 ルィンシァが、少し考えながら言う。


 今日の夕食のメインはオデン。


 ルィンシァの意見にティアやオーロラも同意しているが、なにが違うのかはわからないようだ。


 実は、味はいつもと同じ。


 ただ、チクワとハンペンなどの練り物の食感が違う。


 いつもなら鬼人族メイドたちの手作りだが、今回は大型機械による大量生産の実験をしているのだ。


「大量生産?

 あ、この前の?」


 ティアが思い出したようだ。


 混ぜるためのスクリューの試作を頼んだからな。


 鬼人族メイドたちが、一応は合格点を出した味なんだが……どうだ?


「大量生産品と考えるなら、十分な味です」


 ルィンシァが、そう言いながら五村で販売するのか聞いてきた。


 販売はシャシャートの街でだ。


 ミヨに、魚を使う料理を求められてな。


 練り物ならいろいろな種類を作れるし、発展性もある。


「それほどの種類が作れるものなのですか?」


 それこそ、ティアが協力したスクリューでな。


 具材によって練る速度や密度を、スクリューの交換で対応できるようになっている。


 山エルフたちはスクリューを自動で交換できるようにしようとしていたが、整備や清掃のことを考えて取り外し式にするように言っておいた。


 自動で交換する仕組みを採用すると、本体の大きさが三倍以上になってしまうしな。


 それなら、スクリューの違う三台を用意したほうが圧倒的にいい。


 山エルフたちは残念がっていたが、なんでもかんでも自動化する必要はない。


 手作業をちょっと入れるだけでコストが大きく下がるなら、入れるべきだろう。



 おっと、話題が途切れてしまった。


 またオーロラがティアとルィンシァのあいだで頑張っている。


 あー、なんとか話題をと考えていると、オーロラが俺に話を振ってきた。


「お父さま。

 ローゼマリアやララーデル、トルマーネの様子をもう少し見に行くようにしてください。

 寂しがっていますよ」


 あ、ああ、そうだな。


 行くようにしよう。


 しかし、たずねたいと打診しても、グランマリアたちから別の機会にと言われるのだが。


「それはグランマリアお母さまたちの部屋が散らかっているからです。

 お父さまが行くとなれば片づけますので、頻繁に行くと言っていただけると助かります」


 散らかっている?


 ローゼマリアたちは大丈夫なのか?


「ローゼマリアたちは、グランマリアお母さまのお母さまであるラズマリアさまが守っています。

 大丈夫です」


 ……あれ?


 それじゃあ、なぜ俺は別の機会と言われるんだ?


「ローゼマリアたちに会えば、そのままグランマリアお母さまたちともお話しますよね?」


 なるほど。


 俺はグランマリアたちの私生活に関してはあまり口を出さないが、散らかった部屋を見ればさすがにその話題になる。


 それを避けるために、グランマリアたちは部屋を片づける必要があると。


 ……


 グランマリアたちの性格を考えると、片づけるよりもこっちに来て話をすると思うな。


「それだと部屋が片づかないので、お父さまにお願いしているのです」


 わかった。


 部屋を片づけるように注意しつつ、ローゼマリアたちに会いたいと言っておこう。


「よろしくお願いします」


 オーロラがそう言ったあと、ティアを見た。


 ティアはちょっと視線をそらした。


 あー……


 ティアの部屋も散らかっているのかな?


 なんだかんだでティアも研究者タイプだからな。


 散らかっているなら、ティアも片づけるように。


 俺がそう言うと、オーロラがありがとうございますと頭を下げた。


 うーん、この話題の本命は母親であるティアへの注意だったのか。


 直接言わないのは……言ったけど聞かないから、俺を使った感じかな。


「そうそうお父さま。

 私はもっと弟や妹がほしいです」


 ……


 ひょっとして話題の本命はこれだったか。


 微笑ましい要望だが、そこはかとなくルィンシァの影響を感じる。


 ルィンシァがニコニコしているから。


「ラズマリアさまやスアルロウさまからも言われてます」


 そ、そうか。


 あー、オーロラには苦労をかける。


「いえ。

 弟や妹がほしいのは私の本心です。

 よろしくお願いします」


 子は授かりものだから。


 気長に。


 そう気長に待ってほしい。


 うん。


 あと、ティアとルィンシァ。


 食後に話があります。


 オーロラへの教育に関してです。


 残るように。





お待たせしました。

コミケから帰って疲れを抜いているときに、大阪の大規模停電でパソコンをやられ、復旧に時間を取られました。(コミケより疲れました)

バックアップは大事。

あと、あまり弄っていないと思っていたのですが、ソフトをなんだかんだとカスタマイズ(文字サイズとか表示形式とか)していたようで、元通りにするのがかなり面倒でした。


なんとか、定期的な更新を再開できるように頑張ります。

よろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
試作品作成はとんでもなく貢献しているのでは…
タートルって爬虫類だから両棲類と違って水面に顔を出して呼吸する必要が有る筈だけど魔物だから関係無いのかな? 罠猟で水面下で捕獲された亀が溺死する事が偶に有る。
[気になる点] もう二年以上【【登場人物表】種族と名前一覧】の更新がありませんね。 登場人物も増えましたので、そろそろ【【登場人物表】種族と名前一覧6】を掲載していただきたいです。 [一言] オーロラ…
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