ウルザを歓迎する
●人物紹介
ヒイチロウ ハクレンの第一子。竜族。九歳ぐらい。
グラル ギラルの娘。竜族。
ヒカル ハクレンの第二子(双子)。竜族。二歳ぐらい。
ヒミコ ハクレンの第三子(双子)。竜族。
ククルカン ラスティの第二子。竜族。一歳ぐらい。
サクラ アンの第二子。鬼人族。生まれてから一年経過していない。
ラムナ ラムリアスの第一子。鬼人族。
セット セナの第二子。獣人族。
ナート セナの兄のガットの娘。獣人族。村の子供たちのまとめ役。
ウルザが突然戻ってきたことに驚いたが、もっと驚いたのはそのウルザをハクレンがいきなり連れて行ってしまったことだ。
ハクレン、嬉しいのはわかるが少しは話を……
ハクレンはウルザにヒカル、ヒミコを抱っこさせながら楽しそうに喋っている。
……
しばらくは無理だな。
ヒイチロウとグラルも、ハクレンたちのところに行くのね。
わかった。
で、えーっと……
連れてきた氷の魔物はどうしよう。
屋敷の玄関前で困っている様子。
気持ちはわかる。
困るよな。
とりあえず中に入らないか?
いや、おかまいなくと言われても……
あ、屋敷の中だと暑くてまずいのか?
違う?
屋敷の中に入っても大丈夫だけど、氷の魔物だから床とかを濡らしてしまうと。
なるほど。
それなら、外にカマクラを作るか。
カマクラとは?
雪で作る家みたいなものだ。
家ほど立派じゃないけどな。
なに、みんなで作ればすぐだ。
いやいや、気にするな。
ウルザが連れてきたんだ。
歓迎するよ。
お茶は……あれだな。
冷えたジュースを用意しよう。
ウルザが連れてきた氷の魔物は、基本は人型だ。
一言で表現するなら、氷で作った兵士。
ただ、顔は獣系……氷のライオン……かな?
顔の造形の豪華さに比べ、体の造形がシンプルだ。
バランスが悪い。
もう少し体の装飾が豪華なら、兵士じゃなく将軍と表現したかもしれない。
この氷の魔物、かなり腰が低い。
それほど強くないのだろうか?
一応、俺の横には護衛としてフェンリル一家がいるが……
ずっと氷の魔物を睨んでいる。
このフェンリル一家の反応、そしてやってきたタイミングから考えるに……
ウルザが連れてきたのが疑問だが、この氷の魔物がひょっとして村を騒がせていた氷の魔物なのかもしれない。
もしくは関係者とか?
一応、確認してみたら……
謝られた。
騒がせていた本人らしい。
ああ、自分で雪を掘って埋まろうとしないで。
村を騒がせたとしても、悪気はなかったんだろ?
いや、悪意はあった?
だけど、怖い存在に気づいて逃げたら、フェンリル一家に追いかけられたと。
あー、えっと、どうしよう。
悪意があったと言われると困る。
あ、こら、フェンリルの子供よ、氷の魔物の足を噛むんじゃない。
唸るのも駄目。
め、迷惑をかける気はもうないよな?
ここに来たのも、仲直りのためで……逃げた先でウルザにやられて、この村でのことを知られたから連れて来られたと……
……
しゃ、謝罪する気持ちはあるかな?
ある?
よし、よーし、話が進んだ。
もう悪いことはしないな?
村に迷惑をかけないという……
努力目標でいい!
絶対に迷惑をかけないとか無理だから!
誰しも、なにかしら失敗する!
迷惑をかけないという気持ちが大事!
ん?
最終判断が自分ではできない?
主によって、いろいろと左右すると。
なるほど。
君の主は誰だ?
ウルザ?
なぜ?
いや、疑ってはいない。
君がそう言うなら、そうなんだろう。
ならばウルザの迷惑にならないように頑張ろう。
うん、許す。
この村に迷惑をかけたことは許すから。
実害は……水路が凍ったぐらいだしな。
今度から気をつけてくれたらいい。
ほら、カマクラも完成したし、キンキンに冷えたジュースもやってきた。
休んでくれ。
俺は温かいお茶をもらうけど。
ウルザがハクレンから解放されたので、捕まえて話を聞く。
アルフレートやティゼル、トラインは?
……しばらくは戻ってこれそうにないか。
むう。
いや、ウルザだけでも顔がみれてよかったぞ。
それで、あの魔物はどうしたんだ?
お前が主と言っているが?
倒して従えたのか?
違う?
勝手にやってきて、勝手に主と呼んでくると。
敵意がないみたいだからティゼルの手伝いをさせようとしたら、どこかの村の戦力に追われていると告白してきたと。
ああ、追っているのがフェンリルだったから、この村だと思って慌てて連れてきたわけね。
なるほど。
いや、こちらもいろいろと対策を考えていたところだから、連れて来てくれたのはありがたいが……
できれば事情を説明してから、ハクレンのところに行ってほしかった。
わかっている。
ハクレンが連れて行ったもんな。
ウルザは悪くない。
それより、ヒカルとヒミコは大きくなっていただろう。
ククルカン、サクラ、ラムナ、セットも見ていってくれ。
あと、ウルザが戻ってきたと聞いて、ナートが待っている。
いろいろと話したいことがあるんだろう。
向こうに行くのはいつぐらいにするんだ?
今日は泊まっていくのか?
もちろん歓迎するよ。
おっと、ナートが待ちきれないようだ。
俺との話は食事のときにでもな。
夕食時。
アルフレートたちの様子を聞きながら、ちょっと豪華な鍋を楽しんだ。
料理を担当しているアンたちも、ウルザを歓迎しているようだ。
ウルザが連れてきた氷の魔物は、屋敷の玄関前のカマクラの中。
そこでドース、ギラル、魔王と一緒に麻雀をやっている。
なにをやっているんだとは言わない。
ドースたちが、氷の魔物をイースリーの代わりにしているのだろう。
氷の魔物が困っていないかと思ったけど、氷入りの酒を楽しんでいるようだから大丈夫かな。
ドワーフたちが、シャーベット状になった酒を飲む感覚に驚いている。
おっと、鬼人族メイドたち。
氷の魔物を製氷機のように使わないように。
暖かい部屋で鍋をやっていると、冷たいものが飲みたくなるけどさ。
麻雀の邪魔になるだろ。
本人がお役に立てるなら幸いですって言っているにしてもだな。
え?
アルフレートたちのところだとあまり役に立てないと。
氷の魔物なんだから、食糧を保管するとかに役立つだろ?
冬だからって、まるっきり冷やさなくても大丈夫ってことはないだろうし。
炎の魔物や石の魔物が大活躍しているのに比べると地味?
そ、そうかもしれないが、冷やすというのは大事なことだからな。
……
え?
炎の魔物とか石の魔物もいるの?
風の魔物もいると。
全員、ウルザを主としていると。
へ、へー。
鬼人族メイド「氷の魔物……台所に欲しいですね」
感想、いいね、ありがとうございます。
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これからも、よろしくお願いします。




