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異世界のんびり農家 作者:内藤騎之介
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新しい村を作る



 新しい村を作る場所が決定した。

 大樹の村の西にある川を越え、少し南に下った場所。

 直線距離で……十キロぐらい?

 川が北から南南西に向かっているので、新しい村の方が川に少し近い。

「選定の理由は?」

「まず、上下関係から川上は不可です。
 必然的に川下から選びました」

 え?

 リアの答えに少し困惑する。

「上下関係?」

「はい」

「えっと……それ、必要?」

「必要です」

 濁りの無い瞳で言われた。

 そうか、必要なのか。

 ま、まあ、良いか。

「それで川下で……川の向こう側なのは?」

「新しい村が反乱を起こした際、川で止める為です」

 ……

「反乱?」

「はい。
 可能性として考えなければいけません」

「考えないと駄目なのか?」

「駄目です」

 そ、そうか。

 駄目なのか。

 ……

 深く考えないようにしよう。

「選んだ場所の近くに、大きな魔物や魔獣はいませんから。
 ザブトンさんの子供や、クロさんの子供達で防衛が可能です」

「な、なるほど」

 そう言えば、自主的な出産調整をしていると思ったクロ達が、今年は頑張っていた。

 ひょっとして、新しい村の警備の為に数を増やそうとしているのだろうか?

 それとも、新しい村が出来る事で収穫が増えるのを見越してだろうか?

 そのどちらかもしれない。

 それはそうと、パートナーが多いマサユキが疲れた目をしていたな。

 同情。

 凄く理解できるぞ。


 新しい村に意識を戻す。

「建設予定地はわかった。
 じゃあ、とりあえず俺が行って森を拓けば良いのかな?」

「そうですが、その前にお願いしたい作業があります」

「ん?」

「橋です」

「橋?
 あ、ああ。
 川を越える為に橋か」

「はい。
 今後の資材運搬の事を考えても、橋があると助かります」

「それはそうだな。
 ……これまでは川を避けてたのか?」

「いえ、渡れる場所がありますからそこで。
 クロさん達は、飛び越えてますけどね」

「そうか」

「水路をそのまま道として使いますので、水路近くに橋を架けられればと思います」

「わかった。
 指示してくれ」

「はい。
 よろしくお願いします」



 新しい村建設隊の第一陣。

 代表、俺。

 建設要員、ハイエルフ、リアを含め八名。

 作業要員、リザードマンが五名。

 護衛、クロの子供達が十頭。

 定期連絡員、クーデル。



 川幅は五メートルぐらい。

 水の深さは一~三メートルぐらいで場所によってまちまち。

 川辺は砂ではなく、岩場。

 立っている場所から一メートルぐらい低い。

 少し北に向かうと、滝のようになっている場所があり、高さは七メートルぐらい。

 水路はこの滝の高い場所から水を貰っている。


 橋は、滝から少し下流に作る。


 橋。

 イメージが吊り橋だったが、リア達の考える橋は違った。

 川幅を越える大きく太い木を一本、架ける。

 動かないように両端を固定。

 歩きやすいように、木の上面を削る。

 削った上面の幅は一メートルぐらい。

【万能農具】を使ったので、あっと言う間に終わった。

「こんなので良いのか?」

「ええ。
 あと数本架けましょう。
 お願いできますか?」

「了解」

 川に五本の橋が架けられた。

 距離的には見える範囲だ。

「並べて太い橋にした方が良かったんじゃないかな?」

「大きい橋を架けると、大きい魔物や魔獣が通っちゃいますから」

「ああ、そうか」

 その辺りも注意しないと駄目か。

「橋の両側をある程度、拓いて貰えますか?
 魔物や魔獣の接近を見つけやすくする為です」

「了解」

【万能農具】で木を切り、地面を掘り耕す。

 土のままだと寂しいので、芝を育てる事にしてみる。

 これで橋に関しては終了。


 次は村かと思ったが、違った。

「では、村長。
 こちらの方角になります」

 俺は新しい村の建設予定地に向け、道を作り始めた。

 うん、確かに道は必要だ。

 木を切り倒し、切り株は【万能農具】のクワで土にする。

 道幅は五メートルぐらい。

「私達は、周辺警戒と狩りをしておきますので」

「わかった。
 俺の進路がズレたら指摘してくれ」

「わかりました」

 俺は黙々と日が傾くまで道を作った。

 俺が【万能農具】の扱いに慣れた所為か、昔よりも道を作る速度が速くなったが、それでも数日掛かった。



「ここが建設予定地か」

「はい」

 場所の良し悪しは俺にはわからない。

 わからないが、リア達がここだと言っているのでそれを信じた。

「村長。
 この木です」

「ん?」

 リアが俺を案内したのは、一本の大きな木。

 大樹の村の真ん中にあるような木だ。

「この木を新しい村の中心にしたいと思います」

「なるほど。
 わかった」

 俺はその木の周辺を耕す。

 どこに何を作るかはリア達が考えているとの事なので、まずは木以外を更地にする。

 この時、注意しないといけないのが、余計な事を考えないようにする事。

 考えると、作物の芽が出る事があるからだ。

 せっかく出来た作物の芽を潰すのは惜しいので、畑になってしまう。

 俺的にはありだが、色々計画しているリア達に申し訳ない。

 無心で俺は【万能農具】を振るった。

 数日の作業で、大きな木を中心に広大な更地が出来た。


 次に、井戸を掘る。

 これまで、水は水筒に入れて運んで居たが、井戸のお陰で少し楽になる。


 次にトイレ。

 うん、トイレは大事だ。

 尻拭き用の草も確保し、手洗い用の桶も設置する。

 今度、スライムを連れて来よう。


 大きな木と井戸とトイレ。

 そして森を拓いた時に確保した大量の材木。

 建設はまだ始まらないみたいなので、俺は大きな木の傍に社を作る。

 俺をこの世界に送ってくれた神様と、【万能農具】をくれたであろう神様の二柱を祭る為だ。

 ハイエルフ達が手伝ってくれたので、社はあっと言う間に完成。

 納める二柱を彫る。

 うん、なかなかのイケメン。

 大樹の村と同じように、クロとユキも彫って狛犬のように配置する。

 少し遊び心を加え、等身大のザブトンも彫ったが……

 配置場所に困った。

 似合うのは社の上だが、神様を祭る社の上に置くのは不敬な気がする。

 困っていたら、ザブトンの子供達が来て大きな木の上に運んで行った。

 そこに配置するのか。

「構わないが、落とさないように固定しろよ」

 あと、今気付いたが、大きな木の上に何十匹ものザブトンの子供が到着していた。

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