料理文化団への評価
料理文化団の成果で入手した新しい調味料。
植物などが原料で使われている場合は、その植物の採取をしてもらっている。
五村でも入手が可能ならいいのだが、そうでない場合は育てないといけないからな。
あと、調味料に使われていなくても、各地の珍しい植物の採取も頼んでおいた。
珍しいということは、広まっていないということ。
つまり、違う環境で育てるのはかなり難しいかもしれない。
しかし、こちらには【万能農具】がある。
さらに、実際に採取された植物があればイメージはしやすい。
【万能農具】ならなんとかしてくれるだろう。
育てる場所は四村の空中庭園を選んだ。
理由は秋だから。
【万能農具】で成長が早くなると言っても、どれだけの期間で育つかわからない。
空中庭園だと、ほぼビニールハウスみたいなものだから成長が遅くても安心できる。
なので、遠慮なく何十種類も一気に育てた。
俺の知る植物に近い……いや、面影のある植物が多かったから。
細長いユリとか、あまり綺麗じゃないバラとか、ダイコンのようなカブとか。
もともとそういう植物なのか生育不良なのかはわからないけど、育ってくれればわかるだろう。
楽しみだ。
料理文化団が持ち帰ってきてくれた調理器具は、それなりに使えるがあまり便利ではなかった。
考えてみれば当然で、器具も進化する。
進化した結果が、今使っている器具だ。
各地で残っている珍しい調理器具は、時代に取り残された調理器具と言えるのかもしれない。
手間がかかって不便だからな。
古美術品としての価値はあるだろうか?
美術品好きのプラーダがいたら聞けたのだが、いまは商隊に同行しているから不在だ。
戻ってきたら見せてみよう。
そうそう、何点か紅茶を淹れるのに使う道具があったのは嬉しい。
これらは五村の職人に頼んで、模倣品を作ってもらっている最中だ。
さて、料理文化団の成果で紹介された調理器具のなかには、記録だけのものがある。
調理器具を見つけたものの、入手や持ち運びが不可能だった場合だな。
五村にハイエルフ、山エルフ、ガットたち鍛冶師を呼んでその記録を渡し、調理器具の再現が行われた。
実際に見て記録した料理文化団のメンバーがいるので、それほど難しいことではない。
まあ、その調理器具が実際に使えるかどうかは別問題だが。
うん、本来は料理ではなく別のことに使う物を、調理器具にしているのではないかと思うことが多々ある。
有限な資源を有効活用したのだろう。
悪いことではないと思う。
ただ、拷問器具を調理器具ですと胸を張って発表されても困る。
え?
これは拷問用ではなく、処刑用?
知りたくなかったなぁ。
俺、ヨウコ、文官娘衆と鬼人族メイドが数人で相談し、料理文化団の成果は投資額に対していまいちという評価になった。
美味しい料理がなかったからな。
まあ、だからと投資を止めたりはしない。
引き続き、各地の料理を調べてほしい。
美味しい料理が見つかっていないだけかもしれないのだから。
求め続けることが大事だ。
今回の成果となる調味料や調理器具は、展示できる建物を作ろう。
誰でも無料で見られるようにして。
……金を取ったら誰も見に来ないとか言わないように。
あと、イベントとして展示している調理器具を使った食事会を定期的に開くとかかな。
わかっている。
そのときは、ちゃんと改良して美味しいと思える料理を出すようにするよ。
各地の味を守るのも大事だけど、美味しさの追求を忘れてはいけない。
食事が美味しいのは正義なのだから。
秋の天気のいい日。
村の外れでサツマイモを焼いた。
夏の終わりに収穫したサツマイモだ。
季節的には少し早いけど、育ったのだから美味しくいただこうと思う。
ところで、サツマイモを焼き始めたとき、俺の横にはクロとユキだけだった。
焼き終わりかなと思ったとき、俺の横には多くのクロの子供たちがいた。
ザブトンやザブトンの子供たちもいる。
ルーやティア、リアたちもいる。
……
だ、大丈夫だ。
サツマイモはまだある。
焼かないと駄目だけど。
落ち葉は少ないから、木を集めるように……って、もう集めてあるのね。
了解。
結果、野焼きみたいな規模になってしまったけど、美味しく焼けたので問題なし。
みんなでサツマイモを楽しんだ。
ある日、ヨウコから相談があった。
白鳥レースのグッズ販売を五村の認可制の事業とし、ほかの店でもグッズを販売できるようにしたいらしい。
俺としてはグッズ販売を独占する気はないので、許可を出す。
「うむ。
では、村長のやっておるグッズ販売の店に名をつけてほしい」
ああ、そうか。
同じようにグッズ販売をする店がでると、名がないとややこしいか。
少し考え、決めた。
五村グッズ販売店、“クグイ”。
クグイは白鳥の古い呼び方だ。
正確にはクグイではなくクグヒらしいのだが、言いにくいのでクグイでいいだろう。
白鳥の神の使いであるオデットとオディールも、この店の名に問題ないと言ってくれたしな。
そのグッズ販売店の商品ラインナップに鴨やアヒルのヌイグルミが追加された。
まあ、鴨やアヒルがショーやレースを頑張っていたから、そのご褒美だな。
……
ご褒美になるのかな?
人気向上には繋がるとは思うけど、直接的じゃないな。
あとでなにか食べ物を差し入れておこう。
余談だが、山エルフが作ったポーズを変更できる白鳥の人形も商品ラインナップに追加された。
ただ、こちらは数が少ない上に不定期の入荷なので幻の商品扱いされている。
店頭に並べた瞬間、消えるように売れるらしいし。
見張っている人がいるのだろうか?
なににせよ、買ってもらえるのは嬉しいことだ。
大樹の村に戻ると、魔王からポーズを変更できる白鳥の人形を自慢された。
……
どうしよう。
そこにいる山エルフが作った物だと言ったほうがいいのかな?
あ、それは知ってる?
よかった。
反応に困ったぞ。
それで、知っていて自慢してきたのは……
人形の足を見ろ?
白鳥の足だが……
ん?
これは数字?
通しナンバーか?
おおっ、一桁の若い番号だ!
たしか、これまでに売り出した白鳥の人形は三十体ほどのはず。
よく手に入ったな。
献上品か?
違う?
白鳥レースを観戦に行ったら、ちょうど品出しのタイミングで買えたと。
へー。
しかし、それだと手に入れたのはかなり前にならないか?
部下たちが見せてくれとせがむから、なかなかこっちに持ってこれなかったと。
なるほど。
部下を大事にする姿勢、さすが魔王だ。
見習いたい。
魔王と話をしたあと、自分の部屋に戻り、戸棚を確認。
そこには山エルフが作ったポーズを変更できる白鳥の人形があった。
グッズとして売る前に、俺に渡されたものだ。
その足をみて……
……
ふむ、気を使わせているな。
山エルフたちに、なにか報いたいものだ。
遅くなりました。




