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村の外のパレード シャシャートの街 調整

村長視点です。


 よくわからないが、くじらの白骨をドースたちがボコボコにした。


 これでもかというぐらいにボコボコにした。


 あの鯨の白骨がなにをしたというのだろうか?


 しかし、俺が口出しできる距離じゃないので、遠くから見守るだけにしよう。



 それよりアシュラ。


 踊りが止まっているけど、いいのか?


 大丈夫?


 よかった。


 スケルトンたちも土に還ったみたいだしな。


 一安心だ。


 鯨の白骨は土に還っていないけど、ドースたちがなんとかするだろう。


 さっきまでやっていたルールのわからない競技も終わったようだし、問題なしだな。


 それじゃあ、アシュラ。


 さっきの踊りに関して……


 いやいや、怒っているんじゃないんだ。


 俺の知っている盆踊りに似ていたからな。


 こんな感じの踊りなんだが……


 アシュラの踊りとは違う?


 そうなのか?


 アシュラのは手と足の動きで呪文を唱えている感じ?


 へー。


 あれを見ると、誰もが同じ動きをしたくなるのに俺がしなかったのが不思議?


 いや、俺も踊りたくなったぞ。


 踊っていいのかわからなかったから、ひかえただけで。


 しかし、あれが呪文……つまり魔法だとすると、アシュラの踊りをほかの者が踊って大丈夫なのか?


 大丈夫?


 手と足の数が足りない?


 …………


 なるほど。


 アシュラ専用ってことか。



 ドースたちが鯨の白骨を破壊し尽して戻ってきた。


 すっきりしたかと思ったのだけど、笑顔はない。


「逃げられた」


 そ、そうなのか?


 倒したように見えたが?


「力の大半を捨てさせただけだ」


 あれはなんなんだ?


 前にクジラを倒しに行ったが、その関係か?


「あー、どう言えばいいものか……教えられぬ内容もあってだな……」


 ドースが言葉をにごしながら教えてくれた。


 あれは一万年ほど前に、ドースたちの祖先と死闘を繰り返した存在らしい。


 立ち位置的には魔獣や魔物ではなく、精霊になるそうだ。


 へー。


 それで、逃がしたって話だが、危険なのか?


「危険な存在ではあるが、あそこまで力を捨てたのだから五千年ほどは大丈夫であろう。

 困るのは我らの子孫になるか」


 そうか。


 返事に困るな。


 十年、二十年ならなんとかしなきゃと思うが、五千年先のことまで面倒はみれない。


 記録を残して、伝えるぐらいかな。


 ん?


 ドースが、困った顔で視線を俺に向けてきた。


 その視線を受け、ドースがちらりと目を動かした方向を見る。


 ……


 文官娘衆の一人がこちらにやってくる。


 えっと……


 一連の騒ぎで、パレードの進行がかなり遅れているな。


 わかった。


 文官娘衆のほうは俺がなんとかするから、ドースたちは待機場所に移動してくれ。


「た、頼んだぞ」


 ドースたちが急いで移動をした。


 やってきた文官娘衆はそんなドースたちを睨んでいるが、俺が頑張ってなだめた。



 さて、俺も待機場所に移動するかと思ったところで、アイギスがやってきた。


 なにやら、大きな物を足でつかんでいる。


 俺に?


 なんだこれ?


 ……骨?


 あの鯨の一部かな?


 なんにせよ、変な物を拾って来ちゃ駄目だぞ。


 褒美ほうびを寄越せ?


 おいおい、変な物を持ってきて褒美を求められても困る。


 ……わかったわかった。


 それじゃあ、俺の弁当から一品やろう。


 ああ、俺の昼食用の弁当だ。


 今朝、パレードが始まる前に俺が作ったやつだ。


 それでいいか?


 よし。


 これだが……


 うぉいっ、焼き魚弁当のメインを持っていくなっ!


 こういう場合は、メインを外して二番手三番手のオカズを狙うものだぞ!


 口というかくちばしをつけているから、返せとは言わないが……


 地面に置いて食べるのが嫌だからって、弁当のふたを求めるな。


 わかった。


 弁当は全部やる。


 ここがシャシャートの街でよかった。


 俺の昼食は、マルーラで頼むとしよう。


 でもって、この骨だが……


 どこかに埋めて供養くようしてやるか。


 ……


 ………………


 んー……なんだろう?


 この骨、変な感じがするな。


 埋めて大丈夫か?


 埋めるより、神社で祭るほうがいいか?


 なぜだか、目の届く場所にあったほうが、面倒がなくていいように思う。


 パレードが終わったあとにでも五村の神社に持っていき、銀狐族に任せよう。




 村の外のパレードでは、初日で五村とシャシャートの街のパレードを終わらせる予定になっていた。


 五村で少し遅れがあり、シャシャートの街ではかなり遅れた。


 日が落ちる前に終わる予定だったが、残念ながら日が落ちても終わっていないぐらいの遅れだ。


 なので、シャシャートの街では夜通しお祭り騒ぎが続いている。


 それを横目に、シャシャートの街にある大きな宿の一室で緊急会議が行われた。


 参加しているのは俺、魔王、文官娘衆と魔王国の文官が数人。


 会議の議題は簡単だ。


「明日中に王都の手前まで進む予定でしたが、決行しますか?」


 今日はなんとかなるだろうけど、かなり無理した。


 その状態で明日も予定通りにと実行しても、なにかしらの影響がでると予想される。


 明後日に予定している王都でのパレードを大事にするなら、一日延期したほうがいいのではないかという文官娘衆や魔王国の文官たちからの提案を受けるかどうか。


 延期と簡単に言っているが、一日延期するとパレードの移動用に確保している転移門の封鎖が一日延びる。


 また、延期するとパレードの参加者の宿泊費や食費は当然、増える。


 延期したくてもそう簡単には決断できない。


 悩みどころだな。


 ……


 悩みどころだが、なぜその会議に俺が参加しているのだろうか?


 俺は文官娘衆の指示に従うぞ。


 さすがに、ここで無茶や無理を言ったりはしない。


 現場が難しいと言っているのに、なんとかしろとかはさすがに言えない。


 ただ、魔王はどうなんだろう?


 このパレードは、シャシャートの街から王都のあいだにある街や村の調査をするためのおとりだ。


 延期しても、そちらに影響はないのだろうか?


 なにかしらの予定が狂ったりするんじゃないだろうか?


 一応、秘密らしいので言葉にはしないが……


 心配そうに見てしまった俺に、魔王がしっかりとした顔で聞いてきた。


「村長は延期しても大丈夫か?」


 俺?


 俺は大丈夫だ。


 村の留守中の指揮は、ザブトンやフローラに任せている。


 なにかあっても無難に対処してくれるだろう。


 それに、万が一があっても転移門ですぐに戻れるしな。


 こっちは気にしなくていいぞ。


「そうか。

 では、一日延期で進めよう」


 魔王がそう決断し、決定した。


 やはり、この会議に俺はいらなかったと思うのだが?


 参加するなら、俺よりもイフルス代官とかのほうがいいんじゃないだろうか?



 そういえば、そのイフルス代官から食事に誘われていたりする。


 シャシャートの街でのパレードの前に、ドースたちと一緒に騒いですまないという謝罪の席だ。


 俺は気にしていないと言ったのに、ミヨは自分の褒賞メダルを出してまで、この席の約束をとりつけた。


 謝るなら俺にじゃなくて、文官娘衆や魔王国の文官たちだと思うのだけどな。


 一応、イフルス代官との食事はパレードが終わってからとミヨは言っていたが、一日延期になったらすぐにでもと言ってくるかな?


 覚悟しておこう。


 ちなみに、文官娘衆や魔王国の文官たちを同席させるかと聞いたら、苦笑いをしながら拒否された。


 そっちはそっちで、別の席を用意するそうだ。


 一緒でもいいんだけどな。





●パレードの進捗

初日、五村、シャシャートの街を終了。



感想、いいね、ポイント、ありがとうございます。

励みになります。


誤字脱字報告、助かっています。

なぜ、イフルス代官をイフ「スル」代官に間違えるのか。

キーボードでローマ字入力なのに……

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― 新着の感想 ―
[一言] ドラゴンと張り合える存在に"畏怖する"ってことですかねぇ
[一言] 突然失礼します。 「イフルス(一括変換)」ではなく? 「イフ」「ルス」みたいにしていたりしませんか? なんて、結局は「一つの文字列」として「書いているつもり」で「イフ」「ルート」「スル」みた…
[一言] >しかし、あれが呪文……つまり魔法だとすると、アシュラの踊りをほかの者が踊って大丈夫なのか? >大丈夫? >手と足の数が足りない? 「アシュラ」、自分の名前さえ覚えていなかったのに、そう云…
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