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村の外のパレード 五村・裏 後編

文官娘衆の視点です。




●人物

クーデル     天使族。爆撃が大好き。


ドース      竜族。竜王。

ライメイレン   竜族。ドースの妻。ハクレンの母。ラスティの祖母。

ヒイチロウ    竜族。ハクレンの長男。


ギラル      竜族。暗黒竜。

グーロンデ    竜族。ギラルの妻。

グラル      竜族。ギラルとグーロンデの娘。ヒイチロウに運命を感じている。


ハクレン     竜族。ドースとライメイレンの娘。ヒイチロウの母。村長の妻の一人。

ラスティ     竜族。ドライムの娘。ラナノーンの母。村長の妻の一人。


ヘルゼルナーク  竜族。スイレンの娘。ハクレンの次男ヒカルに運命を感じている。


ラナノーン    竜族。ラスティの長女。若い常識人。



 パレードは続きます。


 ガルフさまたち獣人族の一団が登場しました。


 すごい人気です。


 そして、圧倒的な安心感を覚えるのは、私がガルフさまたちの努力を知っているからでしょうか。


 練習、頑張っていましたからね。


 ガルフさまの後ろにいる獣人族のみなさんも、見劣りすることはありません。


 うーん、やっとパレードが始まった感じがするのは私の気のせいでしょうか?



 続く、ハイエルフの一団リアさまたち。


 安定感がありますね。


 何人かの観客が倒れましたけど……


 エルフ族のようですね。


 エルフ帝国からの移住者でしょうか?


 ハイエルフと確執かくしつがあると聞いていますが……


 とりあえず、救護班が駆けつけているようで一安心です。



 そしてクロさんたちインフェルノウルフの行進。


 壮観そうかんです。


 練習の成果がでていますね。


 私は参加していませんが、予行演習は大失敗だったらしく、参加したインフェルノウルフたちがかなり落ち込んで村長になぐさめられていました。


 こういってはなんですが、しょんぼりしているインフェルノウルフはとても愛らしかったです。


 だからでしょうか。


 インフェルノウルフの行進を見る観客の姿は、我が子を見守る父親のような視線です。


 まあ、一部の観客は数に圧倒されていますが……


 大樹の村の全力はこんなものじゃないですよ。


 もっといますから。


 慣れてほしいですね。



 クロさんたちに続いて、天使族のみなさんとハーピー族のみなさんが飛翔を開始しました。


 うーん、綺麗なフォーメーション飛行。


 さすがは天使族ですね。


 ハーピー族のみなさんは、実力不足なのではなく、天使族をサポートする形での飛行なので大きく目立ちません。


 わかる人にはわかるのですが、ちょっともったいないです。


 しかし、ハーピー族としてはあまり目立つ気がないようなので……


 観客のいる場所で騒ぎです。


 天使族とハーピー族の飛行を見て、パニックを起こしているようです。


 パニックを起こしたのは一人二人ではなく、それなりの数いるようです。


 救護班が大活躍……あれ?


 パニックを起こした魔族の男性。


 近くの木の枝を折り、手刀でその枝を即席の槍にして……天使族のいる空に向かって投げたぁっ!


 そ、村長みたいなことを!


 救護班だけでは取り押さえられないようで、警備隊が駆けつけてます。


 すみません。


 頑張ってください。


 あと、後方で魔法を放とうとしている人がいます。


 そちらもよろしくお願いします。


 ちなみに、天使族やハーピー族に被害はありません。


 投げられた槍や放たれた魔法は、ハーピー族によって防がれてます。


 あ、槍を投げ返そうとしないで。


 そのまま持って移動をお願いします。


 クーデルさま、爆撃する相手を見つけたような顔をしない!


 もっと上空、もっと上空を飛んでください!



 天使族とハーピー族のあとは、古の悪魔族の一団。


 ……


 彼らに恐怖を感じるのは魔族の本能でしょうか。


 彼らに喜んで接触するのは、古典好きの同僚ぐらいですからね。


 古の悪魔族は歴史の生き証人。


 ブルガさんやスティファノさん、グッチさんに隙あらば話を聞きに行っている古典好きの同僚の姿は、大樹の村では珍しくありません。


 最近はヴェルサさまやエルメさまという新しい相手も得ましたしね。


 おっと、パレードに集中しなければ。


 彼らの先頭にいるのはプラーダさん。


 五村で働いているメイドです。


 彼女が先頭にいるのは、古の悪魔族として周囲を怖がらせないため。


 彼女は先頭という名誉と同時に、後ろに並ぶ古の悪魔族の威圧を下げる魔法を使っています。


 使っているはずなのですが……


 怖がられてますね。


 プラーダさんの魔法が弱かったのでしょうか?


 それとも、後ろに並ぶ方々の威圧がシャレにならないぐらい高いとか?


 大樹の村のパレードでは、問題なかったですよね?


 プラーダさんに、どうしたのですかとサインを送りましたが、返ってきたのは「後ろ」というサイン。


 後ろ?


 後ろに並ぶ古の悪魔族の方々に問題が……


 違いますね。


 古の悪魔族の方々も後ろを気にしています。


 いや、警戒しています。


 その警戒が威圧となって周囲に振りまかれたのでしょう。


 古の悪魔族の方々が警戒する相手。


 古の悪魔族の次は、ドラゴンたちです。



 ……


 ドースさまたちが、神々しさ全開でやってきました。


 朝日を背にしているので、太陽からやってきたようにも見えます。


 えーっと、なぜここまで全力全開なのでしょうか?


 打ち合わせでは、もっと抑えるという話ではありませんでしたか?


 準備の打ち上げで言った「本番は個人個人が主役! 輝いていこう!」は、物理的に輝くことをお願いしたわけじゃありませんよ!


 誰だ、後光ごこうを出してるの!


 太陽の演出がかすむからやめてください!


 あと、観客が凄いことになっています。


 おがまれたいわけじゃないですよね?


 どうするんですか、これ?



 これは緊急事態です。


 近くの同僚たちと連絡を取り、ドラゴンたちがこうなった原因を探ります。


「ヒイチロウさまが大興奮しています!」


「ヒイチロウさまの様子にライメイレンさま、ご満悦です!」


「グラルさまも大喜びです!」


 ……つまり、ヒイチロウさまが喜んで、それにライメイレンさま、グラルさまが引っ張られたと。


 となると、ギラルさま、グーロンデさまもグラルさまに引っ張られますね。


「ですね。

 ギラルさま、グーロンデさま、グラルさまとのお出かけが思ったよりも楽しいようです」


 村のパレードでも一緒だったと思いますが?


「見知らぬ場所というのが大きいのかと」


 家族で旅行先……


 テンションが上がるのは、ちょっと理解できます。


 ですが、放置はできません。


 とりあえず、先頭のドースさまに抑えるように指示を出してください。


「すみません。

 この状態のライメイレンを止めるのは無理と無視されました!」


 ぐぬっ。


 ハクレンさま、ラスティさまは?


「あー、その、あの二人、子育てでちょっと疲れてたから……」


 疲れてたから?


「はっちゃけてます」


 そ、そうですか。


 私は子供を産んだ経験も、育てた経験もありませんが、見ているだけで大変そうですからねぇ。


 それ以上に、幸せそうでもありますが……


 いや、いまはそれどころじゃありません。


 えーっと、あのドラゴンたちを抑えるにはどうすれば?


 人間関係ならぬ、ドラゴン関係を考えると、まず男性陣は駄目です。


 女性陣を抑え込める根性のあるドラゴンはいません。


 となると、女性陣なのですが……


 駄目です。


 なぜいつもは冷静で抑え役に回る女性陣が、こうも羽目はめを外しているのか?


 意中の相手と一緒に行動できることが、そんなに嬉しいのですか?


 チョロいとか言われますよ。


 こういったときに活躍するラナノーンさまは、大樹の村でお留守番ですし。


 ヘルゼルナークさまでは……親世代や祖父母世代に意見を言うのは無理ですよね。


 わかっています。


 無理なことは言いません。


 言えるラナノーンさまが、凄いだけです。


 しかし、そうなると村長にお願いすることになるのですが……


 村長の出番は次ですから、身動きが取れません。


 くっ、こちらでなんとかするしかありませんか。


 とりあえず、ドースさまにサインを送り続けてください!


 あと、ドライムさまにも!


「あの、そのドライムさまから連絡です」


 え?


 向こうから?


 なにか対策でもあるのでしょうか?


 期待しますよ!


「サインを送るの、女性以外にしてほしいそうです。

 その、妻であるグラッファルーンさまの目が怖いそうで……」


 ……


 私は心を落ち着かせ、三回ほど深呼吸してから叫び(シャウトし)ました。


 夫婦仲が円満でうらやましい限りですねっ!





 余談ですが。


 破談になった私の結婚相手の不幸は偽装でした。


 なんでも私との結婚を嫌がり、幼馴染の女と駆け落ちしたそうです。


 なるほど。


 私は別段、その結婚相手に執着しているわけではありませんし、その結婚相手に興味があったわけでもありません。


 結果的に文官娘衆になれたきっかけですので、感謝すべきなのかもしれませんが……


 正直、気分が悪いです。


 私が嫌だと?


 会ってもいないのに?


 なので逃げた結婚相手の顔が描かれた絵を取り寄せ、何度も見ました。


 ええ、これでもかと見ました。


 殴る相手を間違えてはいけませんからね。


 ふふふ。


 もちろん、殴る練習もしっかりしています。


 ガルフさまや天使族のみなさまから、指導を受けているのですよ。


 なので、このパレードを見ている観客の中にいてくれればいいなと思っています。


 今なら、いろいろと思いを込めて殴れそうなので。





感想、いいね、ありがとうございます。

誤字脱字報告、助かってます。

これからも、よろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
411話 リグネ
エルフ帝国もハイエルフじゃなかったか?
[一言] 今、万感の思いを込めて拳が鳴る。今、万感の思いを込めてパレードがゆく。一つのイベントは終わり、また新しいトラブルが始まる。さらば学園。さらば五村。さらば、平穏な日々。
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