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異世界のんびり農家 作者:内藤騎之介
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ドラゴン一家



 ドライムの父、ドース。

 ドライムの母、ライメイレン。

 ラスティに再確認し、覚える。

 ドライムの姉、ハクレン。

 これは嫌でも覚えた。

 もう一人の姉の名がスイレン。

 ハクレンに似ているがハクレンと間違える事は無い。

 間違えるのはドライムの妹の名前で、セキレン。

 ハクレン、スイレン、セキレン。

 似たような名前を付けたなぁ。

 一番下の弟の名前は、ドマイム。

 相手の記憶力を試しているのだろうか。

 頑張って覚える。

 スイレンの旦那さんの強面マッチョの名はマークスベルガーク。

 マークと呼んで欲しいと言われた。

 見た目と違い、色々と苦労しているようだ。

 仲良くなれる気がする。

 そのマークとスイレンの娘がヘルゼルナーク。

 愛称のヘルゼ呼びを許して貰えた。

 ……

 本当に頑張って覚えよう。



「あのラスティさん。
 ドース……様って、北大陸の竜王ですよね。
 先々代魔王様を引退に追い込んだという」

「先々代魔王の事は知らないけど、お爺様は北の大陸に住んでいるわよ。
 竜王なんて呼ばれ方してるの?」

「魔王国ではもっぱら……あと、ライメイレン様って、南の大陸に居たんじゃ……」

「普段はそうね」

「ふ、夫婦だったんですね。
 あと、ラスティさんとヘルゼルナーク様が親戚だったなんて」

「あはは。
 あれとは良く喧嘩したからねー。
 ……ところで、私は“さん”で、ヘルゼが“様”なの?」

「すみません。
 ラスティ様」

「逆。
 私の方に寄せなさい」

「ラスティさんと、ヘルゼさん?」

「そうそう。
 じゃあ、その調子で挨拶しに行こうか」

「苛めないでください」



 ドライムの一族を歓迎する宴会は、なんだかんだと五日ほど続いた。

 これまでで一番長い宴会になった。

 まあ、俺の参加が三日目以降で、そこで仕切り直しされたからかもしれない。

 この宴会の最中、もっとも輝いた村人は、ドワーフ達だろう。

 ドラゴン相手に酒のウンチクを語りながら、注いで回っていた。

「確かに美味い」

「私はもう少しキツい先ほどの方が……そうそう、これです」

「果実を入れて味を変えるのか。
 うーむ、飲みやすい。
 何杯でもいけてしまえそうだ」

 一番人気は蒸留酒。

 二番人気がカクテル類。

 ドワーフ達が作った酒がキツかったり、味が尖っていた時に俺が果実を混ぜたのが始まり。

 酒が関わる事に関しては熱心なドワーフ達は、ベテランバーテンダーの腕を習得し、あらゆるカクテルを生み出している。

 最近は酒に合う料理やお摘みの研究を始め、マリアージュがどうとか言い出していた。

 酒と共に出されるその研究成果で、ドライム達を喜ばせていた。

 もっとも輝いた村人がドワーフ達だとすれば、もっとも忙しかったのは鬼人族だろう。

 ドラゴン達はかなり食べた。

 出来上がった料理が次々と消える。

 ドラゴン達の分だけでなく、村人が食べる分も必要となる。

 子守班以外は厨房に入り、ハイエルフ達に給仕を任せて頑張った。

 それでも料理が間に合わず、リンゴやナシ、オレンジ、バナナ、パイナップル、スイカ、イチゴなどが間を持たせる為に出された。

 ヘルゼはお酒よりもこっちの方が良かったらしく、シャクシャクと食べた。

 小さな女の子の見た目だが、身体分以上の量を食べている。


 もちろん、食事だけで五日も持つ筈が無く、合間合間で余興なり遊戯なりが行われる。

 余興に関しては歌、踊り、パフォーマンスと色々行われたが、結婚式の友人達が行うレベルで輝く所は少なかった。

 それでもお手玉、ケンダマによるパフォーマンスはそれなりにウケたらしい。

 後半しか見ていないが、俺が一番良かったと思うのはラスティの使用人のブルガ、スティファノのコンビによるドツキ漫談。

 しかし、元からドラゴン達に仕えているだけにドラゴン達には見慣れた物だったのでウケなかった。

「くっ、新ネタをやるべきだったか」

 仕方なく、俺が場繋ぎで登場。

 舞台っぽい場所に上げられ、どうしようかと思ったが、俺には前の世界で病魔に倒れるまで社会人として働いていた経験がある。

 そして、その経験の中にある強い武器。

 飲み会や接待などで使えば爆笑間違いなしの一発芸。

 それはモノマネ!

 ……

 モノマネ?

 駄目だ!

 オリジナルを知らない人達にモノマネをやってもウケない!

 ここは異世界。

 アウェー。

 つまり、外国と考える。

 外国。

 ふふふ、外国人相手にだって接待した事はある!

 くらえっ!

 子供騙しの手品!

 ……

 ドラゴンの目は肥えていたようだ。

 あと、手品は魔法が使えない者がやるので珍しくないらしい。



 遊戯に関しては、ゴルフとチェス、囲碁が活躍した。

 ゴルフは、のんびりとプレイできるのが気に入られ、チェスと囲碁は頭脳戦を。

 遊んでいる時はお酒を控え、お茶、紅茶、コーヒー、ジュースなどを出した。

 酒の消費量が半端無いからだ。

 このままだと、寝かせている酒まで飲まれてしまう。

 幸いにもお酒以外の飲み物の評価は高く、喜ばれた。

 トラブルらしいトラブルはなかったが、問題はチェスと囲碁で熱くなった事だろうか。

 もちろん、村人の実力者には接待なる言葉と意味を教えているので大丈夫だった。

 クロ達ですら、いきなり相手をボコボコにしたりはしない。

 ルールを覚えたての相手なのだ。

 勝敗よりも、ゲームの面白さを伝える事に終始した。

 問題は接待なる言葉と意味を知らないドラゴン同士の勝負だ。

 特にドライムの両親戦や、姉妹戦は白熱した。

 素人同士の戦いなのに、名人戦みたいな気迫を感じさせられる。

 その余波で、数頭の牛と山羊が気絶したのが問題と言えば問題。

 チェスや囲碁はなんだかんだで一対一なので、多人数で遊べる物として双六を出そうとしたのだが、飾っていた麻雀に目を付けられてしまった。

 流石はドラゴンと言おうか。

 ルールを完璧に覚え、器用に牌を摘む。

 俺は和気藹々とした家族麻雀を期待したが駄目だった。

 ドラゴンは争わないと生きていけない種族なのだろうか。

 優勝者はハイエルフのリゼ。

 途中、殺気を垂れ流す事を自重しなくなったドラゴン相手に一歩も引かずに頑張った。

 ちなみにその殺気の余波で、鶏達が数日ほど卵を産まなくなった。

 妊娠中のティアは大丈夫だろうかと心配したが、鶏と一緒にするなと怒られた。

 アルフレートは相変わらず平然としていたので、やっぱり大物になるだろうとルーと一緒に親馬鹿を出してしまった。



 こうしてなんだかんだと日が過ぎ、ドライム達が帰る事になった。

「世話になった」

 ドースが代表して頭を下げる。

「いえいえ」

 備蓄の半分が消えた。

 いや、冬に困ったりはしないが、キツい出費だった。

 まあ、楽しかったから良いか。

 それよりも、問題は色々とお土産を遠回しに要求された事だ。

 酒や作物は覚悟していたが、まさか遊具関連を希望されるとは思わなかった。

 特にチェス、囲碁、そして麻雀牌。

 偉い人は自分で作ったりせず、作れる人に頼むのだなと覚えた。

 使い古しを渡せないので、新しく作って送る事を約束する。


 そして、ラスティとハクレンを置いて、帰っていった。

 ……

「ハクレン?」

「なんです?」

「どうして残っているんだ?」

「えー、私の口から言わせるんですかー……頭を掴むのは止めて下さい。
 痛いです」

「どうして残った?」

「お父様が、ここに残って奉仕せよと」

 俺はラスティを見る。

 嘘じゃないとラスティが諦めたように頷く。

「ラスティ。
 お前にとっては伯母になるが、大丈夫か?
 邪魔なら追い返すぞ」

「あはは。
 大丈夫よ。
 ハクレン(お父様の)お姉様とは、仲が良いから」

「ふふん。
 ラスティちゃんを育てたのはこの私……痛い痛い痛いっ」

 ここに攻撃してくるとか同じ事をしてるしな。

 まあ、ラスティが良いなら障害は無い。

「奉仕か。
 わかった。
 使い倒してやるから覚悟しろ」

「あの、村長?
 前々から思っていたんだけど、私に対する態度が他の方々と比べて違うというか悪いと言うか痛い痛い痛いっ」

 住人が一人、増えた。





 魔王の城 どこかの研究室

「ドラゴンの血脈が判明しただと?
 門番竜とラスティスムーンの親子関係以外は、長年の謎だったろう?」

「はい。
 報告によれば、竜王ドースと南方の台風竜ライメイレンが夫婦で、その子供の一人が門番竜ドライムだそうです。
 その門番竜の妻が北の白竜姫グラッファルーンで、娘が有名な狂竜ラスティスムーン。
 でもって、西方の人間の国を縄張りにしている悪竜マークスベルガークが門番竜の姉の魔竜スイレンを娶って、生まれた娘が暴竜ヘルゼルナークだそうです。
 あと、百年ぐらい前にかなり西で暴れていた真竜ハクレンと、三十年ぐらい前に南で暴れていた火炎竜セキレンですが、共に竜王と台風竜の間の子だそうです」

「有名所が全て血縁だと?
 あと、個体名があっさりと出ているが、正しいのか?
 歴史的な発見だぞ。
 信用できるのか、その情報は?」

「本人達から聞いたから間違いないそうです」

「本人……達?」

「はい、本人達だそうです」

「魔王軍に、ドラゴンに質問できる人材って居たか?」

「魔王様ぐらいじゃないですか?」

「じゃあ、その報告は魔王様が?」

「違うみたいです」

「そうか。
 ……その報告をした人材をなんとしても確保するように。
 上手くすればドラゴンの鱗を手に入れてくれるかもしれん」

「鱗一枚で、凄い武器や防具が作れますからね。
 頑張って確保します」





 大樹の村

「村長、何を持っているんです?」

「ドースさん達が置いていった……鱗だな」

 一枚で畳一枚分ぐらいの大きさがある。

「ラスティさんのとは違いますね。
 厚みがあって、平たい岩みたいです」

「だな。
 だけど、結構軽いんだぞ。
 持ってみるか?」

「はい。
 ……あ、凄く軽い。
 へぇ」

「今、持ってるのがドースさんので、あっちにあるのがライメイレンさんの。
 その向こうが……スイレンさんのだっけ?
 いや、セキレンさんのだったかな?
 売れば金になるから好きにしろって言われているんだけど……どれぐらいの価値があるんだ?」

「えーっと……あそこにあるのはヘルゼルナークさんの鱗ですよね。
 その小さな鱗一枚で……魔王国の王都に豪邸が建てられるぐらいです」

「結構な価値って事か」

「はい」

「目の前にそれなりの数があるんだが?」

 集めると、小さな家ぐらいの量になる。

「ですね。
 私の中の何かが壊れた気がします」

「そうか。
 マイケルさんやビーゼルに売るのはどう思う?」

「トラブルの元です。
 地下室にでも放り込んで、封印……いえ、貯金しましょう」

「なるほど。
 トラブルは困るな」

 お金には困っていないので、貯金する事になった。

「なので、家で出た鱗はちゃんと指定の場所に置くように」

「えー、めんどくさー痛い痛い痛いっ」

「私は了解しました。
 お任せください」


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