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後始末

ラムリアス 鬼人族メイドのナンバー2。獣人族の世話役担当。



女性を世話する~の表現に関して、苦言をいただきました。

失礼しました。

女性を娶る~に変更しております。



 屋敷の一室でまったりしていると、ガルフがやってきた。


 奥さんと話は終わったのかな?


「すみません。

 ご迷惑をおかけして」


 迷惑というほどじゃないさ。


 根本は、俺が移住者を求めたことにあるしな。


「前々から、話し合いはしていたのですが、なかなか合意にいたれず」


 そんな状況で、なんやかんやと俺がガルフを連れまわしたから、こじれてしまったか。


「拗れたというほどではないのですが……

 後日、改めて妻とともに謝罪をさせてください」


 謝罪は必要ないよ。


 どうしてもって言うなら、夏の収穫が近いからそこでの活躍に期待する。


「はっ」


 それより、一ついいかな?


「なんでしょう?」


 ガルフの子でも、護衛を任せるかどうかは実力を見て決めるよ。


「もちろんです。

 いえ、そうであるべきです」


 そうか。


「はい。

 俺……いえ、私たちは必要とされたとき、必要だと認めてもらえるように勝手に準備しているだけです」


 えーっと、ありがとうと言うべきかな?


「それはそれで村長らしくありますが、できれば五村ごのむらの武闘会のときのヨウコさまの挨拶を思い出していただければ」


 武闘会のときのヨウコの挨拶?


 あー、なるほど。


 では、改めて。


はげめ」


「ははっ」




 ガルフが部屋から出て少しあと、セナがやってきた。


「村長。

 今回はご迷惑をおかけして、申し訳ありません」


 セナが謝るのは、ガルフの奥さんからの相談を受け、対処したのが村の獣人族を代表するセナだからだ。


 本来なら、今回の話は獣人族のなかで終わるはずだった。


 しかし、セナは村の獣人族の代表だが、年上家族のデリケートな問題に対処できるはずがない。


 そこで、援軍を外に求めた。


 それがルーやティア。


 そして、話が大きくなってしまった。


 ルーやティアではなく、兄の妻(ナーシィ)に相談していれば、もう少し穏便だったかもしれない。


 が、まあ、種族の代表者とその兄嫁では力関係がいびつになる。


 相談しにくかったのだろう。


 ……


 ん?


「あの?

 どうかしましたか?」


 ああ、すまない。


 ちょっと考えごとをしていた。


 それより……あー、セナに謝ってもらう必要はない。


 セナの相談に乗った者が、問題を少し大きくしただけだ。


 謝るべきは、その者だろう。


「?」


 セナには心配をかけたな。


 あまり気にするな。




 セナが部屋から出て行ったあと、俺は少し待った。


 次にやってきたのはヨウコだった。


 まだ昼なのに、大樹の村(ここ)に来たってことは……


 やはり、今回の件の主犯はヨウコってことでいいのかな?


「主犯というのは言いすぎであろう」


 ヨウコは俺の前に椅子を持ってきて、座る。


 悪びれた様子はない。


「せいぜい道案内役程度だと思うがな。

 ……どこでわかった?」


 セナの相談相手。


 セナにとってルーやティアは相談しやすい相手ではない。


 なんだかんだ言って、ルーやティアは自分の研究を含め、多忙だからな。


 そこに本来は自分が解決しなければいけない問題を持ち込むのは、抵抗があるだろう。


 となると、獣人族の世話役を頼んでいるラムリアスに相談する。


 そのラムリアスは、ゴールたちが魔王国の学園に行ってからは屋敷での仕事に重点を置いている。


 俺の仕事の補佐、ヨウコの仕事の補佐など。


 俺の仕事の補佐をしているときに相談にはいかないだろう。


 つまり、ラムリアスに相談しに行くと、高確率でヨウコの耳に入る。


 という感じで推理した。


「なるほど。

 そう怒るな。

 ……と、いうほど怒ってはいないようだな」


 まあ、お陰で色々と考えさせられたからな。


「それはよかった」


 だが、ピリカを巻き込んだのはどういうことだ?


 ヨウコらしくない。


「あの剣聖、ガルフと少しぎくしゃくしていたからな。

 暴れさせて、すっきりさせようと考えていたところに、ちょうどいい話題が来たものだったからの」


 それで巻き込んだと?


 乱暴じゃないか?


「なに、勝負に勝ったとしても、剣聖は妻にしろとは言わんよ」


 そうなのか?


 いや、しかし、呼び出して話を聞いた感じでは……


「本気で婚姻こんいんを望むのであれば、負けた者は勝った者の言うことをなんでも一つ聞いてほしいなどと回りくどいことは言わん。

 勝ったら妻にしろと言っているはずであろ?」


 そう言えば……そうか。


「剣聖もガルフの家庭を壊そうなどとは思っておらん。

 ただ、友人の結婚話を聞かされて、諦めていた恋心が再燃しただけであろう」


 あー、そんな感じなのか。


 しかし、それにしてはガルフが断れない雰囲気になっていなかったか?


 だから俺はレギンレイヴを乱入させたのだが……


「我は場を提供した。

 武器もな。

 しかし、片側が望まぬ婚姻を強引に進めるような野暮やぼな真似はさせんよ」


 だったら、ひと言ほしかったな。


 俺が騒いだから、問題が大きくなった。


 いや、大きくしたかったのか。


 だから、ヨウコは自分のところで問題を止めず、ルーやティアを巻き込んでいる。


 ナーシィも知っていたことから、大樹の村の女性陣はほぼ知っていたのだろう。


「うむ。

 少し騒いで、ガルフの奥方の頭を冷やそうと思ってな」


 ……冷やさなければいけないほど、熱くなっていたのか?


「家の中の問題が外に出ておるのだ。

 少なくとも冷静ではなかったであろう」


 むう。


「まあ、村長には迷惑をかけた。

 その代わりというわけではないが、剣聖はこちらで面倒をみよう」


 大丈夫なのか?


「無駄に歳は重ねておらん。

 任せよ」


 わかった、頼む。




 ヨウコが部屋を出て行ったあと、少し考える。


 ヨウコがルーやティアだけでなく、大樹の村の女性陣を巻き込んだ理由を。


 ガルフの奥さんを落ち着かせるためだけではないだろう。


 俺に考えさせることが目的だったのかな?


 そのため、各自の考えが出やすい問題を放り投げたと。


 ああ、違うか。


 俺に考えさせるのが目的だが、その先があるわけだ。


「後継者や役目の継承、技術の継承。

 それらを考えたくても、実行できない者がいることを」


 つまり、子作りのペースが落ちているとの非難。


 いや、頑張ってくださいとのエールか。


 ヨウコに頼んだのはルーやティアではないな。


 アンやリアあたり……


 いや、グランマリアか。


 俺はルィンシァのアドバイスで、少しではあるが自分のやりたいことを前に出した。


 その影響で、夜の回数が減った。


 なのに、天使族の妊娠と出産が続く現状。


 そのあたりを心配したのかな。


 うーん。


 申し訳ないが、このあたりはマイペースでやらせてもらおう。


 こっちの世界では、甲斐性のある男性が多数の女性をめとるのは当然のようだが、俺の心の棚が、心の本屋さんになっているんだ。


 心の図書館になるのは防ぎたい。


 俺が控えても、積極的な者は積極的に攻めてくるしな。





村の住人「積極的な者? 誰のことかしら?」

鬼人族メイド(ラムリアスさまだな)



更新が遅くなって、申し訳ありません。

生活リズムを戻そうと無理をしたら、無理が返ってきました。

もう若くない。

自分の身体を大事にしたいと思います。


あと、のんびり回の予定でしたが、「後日談(今回の話)」を優先しました。

すみません。



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― 新着の感想 ―
こういう人情の話も見ている分には面白いですね。 ヒラクの寿命がどのくらいなのかによりますが、異種婚姻であれば「役目、技術」の話は定番ですね。第一は、幸せなままでいて欲しいという思いがあります。 やはり…
村の発展と村長の子供たちの活躍が読みたい。作者さんには悪いが、こんなごちゃごちゃしたどうでもいい話は読みたくないのだ…
なんかモヤモヤしますなぁ。書き方のせいか分かりませんが違和感が拭えない。最初のガルフの思いをくるっと手のひら返しで奥さん寄り。ようやく火楽が考え始めましたが、これから変わっていくのかな?それともやっぱ…
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