表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
663/978

箱の就職活動

あけまして、おめでとうございます。

本年もよろしくお願いします。


 村にやってきた十五個の箱。


 基本的な性能は次の通り。



・意思がある。


 箱は独立した意思を持っている。


 そして、これまでの会話から、かなり賢いと思われる。



・物を収納できる。


 箱だから当然。


 収納できるのは箱の大きさまで。


 短辺が一メートル、長辺が一メートル六十ぐらいかな?


 高さは蓋を含めて八十センチぐらい。


 箱のサイズより大きい物を収めるとかはできないそうだ。



・収納した物を保存できる。


 極端に劣化しなくなるそうだ。


 真空保存みたいな感じかな。


 なので生き物を入れるのは駄目というか、ある程度の大きさの生き物を入れると保存機能が失われ、ただの箱と同じになるそうだ。


 子供や動物が間違って入っても安全なのは嬉しい。



・箱の中で収納した物を並べ替えができる。


 ふたが閉じている必要があるが、箱の中の物を自在に並べ替えることができる。


 その際、物理的に移動が不可能でもなんとかなっているので、魔法はすごいなと改めて思う。


 あ、箱がすごいのね。


 すまなかった。



・箱の蓋の自動開閉。


 鍵の開け閉めを含め、箱の意思で蓋を開閉できる。


 蓋に鈴をつけると、箱が呼んでいるのがわかりやすくていいかもしれない。



 こんな感じだろうか。


 あとは個々に得意、不得意、好きな作業、嫌いな作業がある感じ。


 なので、同じ箱だからと同じ仕事を振るのはよろしくない。


 できるだけ箱の要望を聞く形が好ましいだろう。



 というわけで、箱を手に入れた次の日。


 箱による村の見学が行われた。


 箱に希望を聞いても、どんな働き口があるかわからなかったからだ。


 ただ、サイズがそれなりにあるので、体格のいいミノタウロス族や巨人族に協力してもらい、移動。


 俺が全部の箱に同行できないため、箱たちには「はい」「いいえ」などの簡単な単語を書いた板のたばを持たせた。


 これで意思疎通ができるだろう。


 問題があれば、適時改善していこう。


 ……


 ん?


 山エルフたちが集まってなにをやっているんだ?


 大きな車輪がついた板……台車だな?


 箱たち専用の台車?


 それに箱を乗せ、蓋にこの板をセットする?


 箱が蓋を開閉する力を使い、前進する仕組みか。


 よくできている。


 そして、それなりの速度だ。


 すごいぞ。


 それで、方向転換はどうやってするんだ?


 研究中と。


 ブレーキは?


 それも研究中か。


 まあ、蓋を開閉するアクションしかできないからな。


 方向転換やブレーキはむずかしいか。


 なるほどなるほど。


 最後に、壁にぶつかっている箱に対して、言うことは?


「前面に緩衝材クッションを装着すべきでした」


 素直に謝るように。



 三日後。


 箱たちの村見学は、単語の追加が少しあった程度で問題なく終わった。


 見学に三日もかかったのは、箱たちが思った以上に好奇心が強かったからだ。


 そして、これから就職面接を行う予定だったのだが……


 すでに働く場所を決めた箱がでていた。


 まず、十七番の箱。


 翻訳仕事をメインにしたいとのことで、文官娘衆のところに行くことが決まった。


 次に、三番、四番、五番、二十番の箱。


 この四つの箱たちは、厨房で働くことになった。


 厨房を管理する鬼人族メイドたちは当初、箱たちを置くことに難色を示したが、箱たちが自分たちの能力をアピールすると態度を改めた。


“小麦粉などの粉類を、ダマを残さずに完璧にふるうことができます”


攪拌まぜる作業も完璧にできます”


“調理手順に合わせ、調理器具や食材を渡すことができます”


“箱に収められた料理の保温が可能です”


 鬼人族メイドたちは、この四つの箱はすでに厨房仲間として迎え入れている。


 もう手放せないそうだ。


 十番の箱は、ルーの説得に応じてルーの研究室に置かれることになった。


 魔道具などの管理をさせるのかなと思ったら、研究の手伝いをやってもらうそうだ。


 ティアやフローラも十番の箱に色々と頼む?


 かまわないが、あまり無茶を言わないようにな。


 二十一番の箱は、二村にのむらに行くことになった。


 ミノタウロス族に運んでもらっている最中に二村の話を聞き、そこで物を収めて暮らしていきたいと言ってた。


 同じように、巨人族に運んでもらっていた二十二番の箱は、巨人族の話を聞いて、巨人族のいる北のダンジョンに行くことを希望。


 巨人族たちはすごく俺に遠慮していたが、許可を出した。


 箱の希望通りにするのが大事。


 十二番の箱は、大樹のダンジョン内での設置を希望。


 モヤシやキノコ類を保管したいそうだ。


 変わっているなと思うが、なにを収納するかは箱にとって大事だそうだ。


 問題ないので許可。


 こんな感じ。



 まだ決まっていないのは、一番、二番、七番、十五番、十八番、四千五十一番の六つ。


 あ、十八番がヴェルサの元に行くことを決めたようだ。


 五村での執筆活動に興味があると?


 別に構わないが……あー、えーっと……ヴェルサの書くのはあれだぞ?


 理解しているならかまわない。


 でもって、四千五十一番。


 お前は山エルフのところか。


 二番の箱が壁にぶつかったところを見てなかったのか?


 見てなお、行きたいと?


 山エルフたちが受け入れているから、よしとしよう。


 四千五十一番は山エルフたちに任せた。


 あとは一番、二番、七番、十五番。


 一応、お前たちを欲しいという希望はでている。


 一村いちのむら三村さんのむら、それとラミア族のいる南のダンジョンだ。


 一村と三村は、二村に二十一番の箱が行くから、それに対抗してというわけではないだろうけど……


 二番の箱、七番の箱。


 行ってくれるか?


 よし、頼んだぞ。


 では二番の箱が一村。


 七番の箱が三村だ。


 そして、十五番の箱。


 お前は南のダンジョンに行くと?


 わかった。


 乱暴に扱わないように、言っておくからな。


 元気でやるんだぞ。



 最後に残った一番の箱。


 わかっている。


 お前は屋敷のホールに置かせてもらおう。


 当面は子供たちの玩具の収納を任せるが、なにか希望があったら言うように。






箱の設置場所。


1    大樹の村のホール。


2    一村。


3    大樹の村の厨房。


4    大樹の村の厨房。


5    大樹の村の厨房。


7    三村。


10   大樹の村、ルーの管理下。


12   大樹のダンジョン。


15   南のダンジョン。


17   大樹の村、文官娘衆の管理下。


18   五村、ヴェルサの管理下。


20   大樹の村の厨房。


21   二村。


22   北のダンジョン。


4051 大樹の村、山エルフの管理下。





更新、遅くなってすみません。

今年は更新量を増やすつもりで、頑張ります。

よろしくお願いします。


あと、書籍の九巻、購入してくれた方々、ありがとうございます。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
文官娘衆の仕事が立て込んできたら何箱か借りてきて書類仕事させたらはかどるのではないかと思いました。勉強して翻訳が出来るなら計算したり手紙書いたりなんかもお手の物…とか。
箱の中身のその後は?
[一言] >ヴェルサだけは何一つ貢献してないのに村に居てたり五村に優遇されたり箱を優遇されるのはおかしい。 彼女は「始祖さんの妻」という立場ですからねぇ。 五村を他の村と同じに見るのは間違いなのでは…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ