カキ氷
カキ氷。
氷の塊を削り、シロップをかけるだけのシンプルな甘味。
作るのが簡単なうえ、氷の塊は魔法で作れるので、大樹の村ではそれなりに知られた存在だ。
冬に暖かい部屋の中で食べる者もいるが、やはりカキ氷のシーズンは夏だろう。
なので、カキ氷製造機を整備する。
……
俺が整備する前に、山エルフあたりが整備したようだな。
カキ氷製造機の動作によどみがない。
清掃だけするか。
ルー、氷を作っているが使う予定は……わかった。
準備しよう。
わかっている。
新作の味だな。
ルーがカキ氷を食べて、頭痛に悶えていた。
アイスクリーム頭痛だったかな。
急いで冷たい物を食べると、脳が錯覚を起こして頭痛を覚える現象らしい。
個人差があり、発生する人としない人がいるとか、どこかで聞いた覚えがある。
対処方法はいろいろあるらしいが、俺個人としては温かいお茶を飲むのがいいと思う。
ルーが温かいお茶を飲んでいる横で、カキ氷に誘われて来た妖精女王は問題なく二杯目を楽しんでいた。
「この抹茶味、最初はどうかと思ったが悪くない。
小さなモチや餡とも合っている」
お褒めの言葉、ありがとう。
あと、小さなモチは白玉な。
まあ、白玉もモチの一種だから小さなモチでもいいけど。
ん?
クロの子供の一頭……クロニじゃないか。
クロニもカキ氷を食べたいのか?
珍しいな。
かまわないが、カキ氷はゆっくり食べるんだぞ。
おっと、喉をつまらせる可能性があるな。
白玉はよけて……
クロニよ。
なんだい、この足は?
白玉を食べたいのか?
……わかった。
小さく切っておこう。
ただ、白玉だけだとそれほど美味しいものじゃないぞ。
甘くないしな。
カキ氷の甘い部分と一緒に食べるように。
頭痛で悶えるクロニがいた。
ゆっくり食べるように言ったのに。
いや、たしかに早く食べないとほかのクロの子供たちが集まってきて大変になるかもしれないけどな。
そんな気は使わなくていいんだ。
ほら、温かいお茶。
妖精女王はお代わり。
わかった。
ルーもお代わり?
あ、お茶のお代わりね。
了解。
集まってきたクロの子供たちは、もう少しまってくれ。
追加の氷をルーに作ってもらわないといけないから。
数の多いクロの子供たちのために、大きなタライにカキ氷を大量に作ってみた。
かき氷の自重で、中央部が氷に戻ってしまった。
失敗。
シロップをかける前でよかった。
横着せず、一杯ずつカキ氷を作ろう。
氷を削り、希望のシロップをかけ、フルーツを添えていく。
抹茶小豆白玉、人気だな。
そして、頭痛で悶えないように。
クロの子供たちの分が終わったら、次はカキ氷作りを手伝ってくれたザブトンの子供たちの分だな。
山エルフたちが人型ゴーレムを改造してカキ氷製造ゴーレムを作ってくれたけど、これは俺が自分でやらないと駄目なやつなんだ。
そのゴーレムは出店とかで頑張ってもらおう。
そして来たんだから手伝っていくように。
白玉が足りなくなりそうなんだ。
自分でもカキ氷を食べてみた。
シロップはイチゴ味。
抹茶は品切れだ。
美味しい。
別のカキ氷を食べてみる。
同じイチゴ味。
……
なるほど、味が違う。
これは氷の味の差か。
実はルーに氷を作ってもらうのが大変そうだったので、なんとか氷を用意しようと考えた。
ルーの魔法のやり方は、魔法でなにもない場所に氷を生み出し、それを大きくしていくスタイル。
なので、最初に水を用意しておき、それを凍らせたほうが早いし、労力も少ないのではないかと俺は思った。
結果、用意した水を凍らせるほうが労力も少なく、早かった。
しかし、味に大きな差があった。
最初から魔法で作った氷のほうが美味しい。
理由はわからないが、明確な差があった。
俺でもわかるぐらいだからな。
労力に見合った味ということか。
いや、凍らせ方に問題があったのかもしれない。
冷蔵庫の氷と氷屋さんの氷にも、明確な味の違いがあったはず。
要研究だな。
まあ、それはそれとしてルー。
すまない。
もう少し頑張ってくれ。
ほら、今日の勉強が終わった子供たちがこっちを見ている。
うん、俺も頑張る。
翌日。
改良型カキ氷製造ゴーレム。
初期型を使う前に改良型ができていた。
なんでもパフォーマンス性を向上させたらしい。
昨日、使わなかったのはそういった理由じゃないんだが……
とりあえず、見てみた。
……
パフォーマンス性を向上させたって、氷をカキ氷を削る場所にセットするまでのことか。
たしかに迫力はあるが、三回に一回は氷を落とすのはどうなんだ?
氷だから滑ると。
まあ、そうだな。
地面に落ちた氷は……もったいないが、ため池に流してしまおう。
魔法で氷を作ってくれたフェンリルたち、すまない。
そして、完成した数杯のカキ氷は……
いただこう。
一杯だけな。
さすがに全部は無理。
ええい、ゴーレムの顔を悲しそうにするんじゃない。
後ろで操作したの、見えてたぞ。
ちょいと短いですが。




