18年目の春
登場人物紹介の更新だけだと寂しいので、通常更新も。
ため池の氷が割れる音を聞きながら、もうすぐ春だなと思っていたら、すぐに春になった。
おはようザブトン。
ザブトンの子供たちは、頑張っていたぞ。
あと、ハクレンが子供を産んだ。
双子だ。
いまは昼寝中だけど、起きたら呼ぶからみてほしい。
ああ、ドースは大喜び……というか、宴会が続いている。
冗談だと思ったのだけど、あれはラスティの出産まで続けるつもりだな。
参加してもいいけど、ほどほどにね。
まあ、ザブトンなら大丈夫……
ウルザがザブトンに飛びついていた。
続いて、アルフレート、ティゼルが。
まあ、久しぶりだからね。
ただ、俺としてはヴェルサを紹介したかったんだが……あれ?
ヴェルサはどこに行った?
さっきまでここにいたと思ったのに……
ヴェルサは屋敷のどこかに隠れていたらしい。
らしいというのは、ザブトンが糸でぐるぐる巻きにして連れてきたからだ。
うん、隠れていたのは不審だけど不審者じゃないから。
というか、ヴェルサはどうして隠れていたんだ?
気まぐれ?
本当か?
いや、いまさらヴェルサの奇妙な行動には驚かないけどな。
少し前に始祖さんと一緒に村にやってきたヴェルサは、最初は大人しかったのだけど、村の各地を案内すると奇妙な行動を始めた。
まず、牛や馬の前で興奮。
例の創作活動の一環かと思ったら違った。
「神馬に……神牛……それがこんなに……」
なにを言っているのやら。
普通の馬と牛だぞ。
ちょっと賢いだけで。
そして山羊の前で……
「山羊……?
これ……山羊?」
そう呟いたところで、山羊の突進をくらってた。
あれ、思ったより痛いよな?
すごくよくわかる。
でも、山羊たちに雪玉を投げるのはやめてほしい。
当たらないし、調子に乗らせるだけだから。
中庭を案内し、少し目を離した隙にヴェルサは鶏たちに追いかけまわされていた。
たぶん、卵を取ろうとしたんだろう。
取っていい卵は、決まっているんだ。
それ以外に手を出そうとすると、追いかけられる。
うん、痛いよな。
わかる。
「神鶏……」
なんでもかんでも神をつけるのはやめてもらいたい。
ほら、鶏のリーダー格が調子に乗って鳴き始めたじゃないか。
大樹の近くの社。
「目が、目がぁぁぁっ!」
いや、だから光っていると言ったのに……
それに、そこまで大げさにするほど光っていないぞ。
少し前に生まれたヒカルのほうが光っているぐらいだ。
とりあえず、落ち着いたらお参りを……強制じゃないから、無理しなくていいぞ。
屋敷の廊下を歩いているフェニックスの雛のアイギスを見て、ヴェルサは隠れた。
……
アイギスは突いてこないぞ。
そうじゃない?
じゃあ、なにを……?
ヴェルサはしばらくアイギスを観察し、なにか結論を出したのか普通に接するようになった。
本当になんだったのだろう。
ドースたちの宴会をみて少し驚いたあと、参加。
妙に馴染んでいるな。
いや、悪いことじゃないけど。
ただ、ドースとギラルの意見が割れたとき、ギラルの肩を持つのはなにか理由が?
例の趣味が絡んでいるわけじゃないだろうな?
それが理由じゃない?
よかった。
しかし、マークとドライム、ドマイム、クォルン、各自、妻と一緒にいるように。
腕を組むか手を繋いでいるのが理想だ。
いいから。
今は俺の言うことに従っておけ。
ん?
どうしたドライム?
妻のグラッファルーンがラナノーンの世話にかかりっぱなしで、相手してもらえない?
まあ、ラスティが妊娠中のいまだけが世話ができるチャンスだからな。
しかたがない。
ヴェルサの前では、ほかの男性と近づかないように。
おっと、俺にもだ。
一応、この村にいるときは控えると約束してくれているのだが……「控える」だからな。
注意しよう。
で、話を戻すがヴェルサはどうしてギラルの肩を持つんだ?
ああ、昔の戦いで暗黒竜が味方だったから……ギラルの先祖になるのかな。
昔の暗黒竜の話題で盛り上がった。
妖精女王とヴェルサが出会ったとき、二人はピシッと固まった。
しばらく、そのままで俺がどうしようか悩み始めたころ、二人は近づいて握手。
なにやら協定ができたらしい。
どんな協定なのか二人に聞いても、なにも教えてもらえなかった。
予想するに両者とも長生きだから、昔の恥ずかしいことなんかを黙っているとかだろうか。
まあ、仲良くパンケーキを食べているので問題なし。
そのほか、鬼人族メイドたちの料理を食べては感動したり、世界樹を見て驚いたりしてた。
鬼人族メイドの料理は、五村の料理大会で優勝した料理だから美味しいのはわかるが、涙を流さなくてもなぁ。
そんなヴェルサも落ち着いたと思ったのに、まだまだ油断はしちゃいけないってことだな。
とりあえずザブトン、ヴェルサを縛っている糸を解いてやってくれ。
紹介がまだだったけど、始祖さんの奥さんなんだ。
……ん?
ザブトンとヴェルサ、知り合いだったのか?
「いえいえいえいえいえいえいえいえいえいえいえいえ、知り合いだなんて滅相もない」
ヴェルサ、そこまで必死に否定しなくても。
ああ、ザブトン。
なんでも彼女は魔神に仕えし三十七人の軍団長の一人……ヴェルサ、どうして邪魔をするんだ?
「この村にいるときは例の趣味を完全に封印しますので、その件はご内密に」
よくわからないけど、ヴェルサがそこまで言うなんて……わかった。
約束だぞ。
ザブトンが起きると、春が来たと思える。
うん、今年も頑張っていこう。
18年目突入です。
のんびり行きます。
改めまして。
ポイント、感想、レビュー、ありがとうございます。
これからも頑張ります。
誤字報告、助かっています。




