南と北と東のダンジョン訪問
天気のいい日を選び、俺は万能船に乗って移動を開始した。
目的地は、南のダンジョン。
ラミア族のお宅訪問だ。
秋の武闘会のころに、ラミア族からダンジョンに来てもらえないかと打診があった。
新しく生まれた子供たちを見てもらいたいそうだ。
最初は褒賞メダルを何十枚か用意して俺を呼ぼうとしたのだが、そういった内容なら褒賞メダルは不要と受け取るのは断った。
ラミア族が希望したからではないが、同じように俺を呼ぼうとしていた巨人族からも打診があったので、南のダンジョンの次は北のダンジョンに寄る予定だ。
そのあとは、前々から言われているゴロック族のいる東のダンジョンに向かう。
同行者は少数。
冬だから相手方に迷惑をかけたくないからな。
なので、同行者は天使族のティア、レギンレイヴ、スアルロウ。
ティアは俺の妻代表として。
本来なら妻代表はルーなのだが、ルーは短距離転移門の量産を急いでいるので今回は不参加。
仕方がない。
レギンレイヴとスアルロウは俺の護衛。
グランマリアたちも同行したがったが、子供がまだ小さいからな。
無理はさせられない。
ティアたちのほかに同行するのがハイエルフのリア、山エルフのヤー。
リアはティアの補佐、ヤーはラミア族と巨人族にお願いがあるそうだ。
山エルフたちは人手不足で困っているから、それ関連かな。
山エルフたちには苦労をかける。
あと、一村のジャック、二村のゴードン、三村のグルーワルド、四村のベル、五村のユーリも同行する。
普段はこういったことに同行しないメンバーだが、各村の交流を考えて俺が同行の話を振ったら賛成してくれた。
かなり乗り気なのか、みんないい服を着ている。
最後に、こういった行事には常に同行しているであろうクロの子供たちとザブトンの子供たちの選抜メンバー。
凛々しい顔をしたクロの子供十頭と、ザブトンの子供二十匹。
ザブトンの子供たちは、冬なので外に出したくないのだが、当人たちの希望なので受け入れた。
冬の寒さを気にしないザブトンの子供、レッドアーマーとホワイトアーマーは当然のように万能船に乗り込んでいた。
わかっている。
ザブトンから色々と言われていたからな。
ついてくるなとは言わないよ。
これが今回の同行メンバー。
残念ながらハクレン、ラスティは妊娠中だから連れていけない。
フローラ、鬼人族メイドのアンには屋敷の留守を任せ、獣人族のセナには家畜たちの世話をお願いした。
ドワーフのドノバンは……うん、酒造りで手が離せないんだな。
かまわないさ。
獣人族のガルフとリザードマンのダガは同行を希望したが、五村のヨウコの手伝いに行くように頼んだ。
ヨウコからは俺に来てほしそうだったが、荒事に俺を呼ばないでほしい。
ガルフとダガで手に負えなければ、俺だって無理だ。
アルフレートやウルザ、ティゼルも同行を希望したが、同行させるとなるとさらに人がついてきそうで遠慮してもらった。
海岸のダンジョンには連れて行くので、それで許してほしい。
ゴールたちは……ガルフとダガの手伝いで五村に行ってくれるのか。
助かる。
留守中の村のトップはアルフレート。
これは俺とアルフレート以外の村の住人たちからの推薦で決まった。
アルフレートは緊張しているな。
微笑ましい。
しかし、まあ問題はそう起きないだろうから気楽にな。
万が一のときは、周りにいる者に頼るように。
……
ごめん。
ルーを頼って。
うん、ルーで。
いや、ドースやギラル、始祖さんに不満があるわけじゃないんだぞ。
ほんとうだぞ。
出発。
到着。
目の前には南のダンジョンの入り口がある。
万能船だと速いなぁ。
ドラゴンに比べれば遅いが……おっと、失言。
すまない、万能船。
お前は荷物をいっぱい運べるもんな。
助かってるよ。
万能船で運んでいる荷物のうち、ラミア族に渡す分を降ろす。
基本、大樹の村の作物と、五村からの献上品。
大樹の村の作物はいつも通りだが、五村からの献上品は多種多様。
五村で作っている金細工、銀細工、ガラス製品、革製品、木工品、鉄器、陶器、漆器、武器、防具、魔道具、酒、家畜の肉、鶏の卵、味噌、醤油などなど。
それと交易で手に入れる宝石、麻布、羊毛、羽毛、金、銀、鉄鉱石、木材、塩、家具、絨毯、美術品、書物。
俺も把握しきれないが事前にアンが目録を作ってくれたので、それをラミア族の長であるジュネアに渡す。
喜んでもらえているようだ。
このあと、目的であるラミア族の子供をみる。
ラミア族はリザードマンと同じ卵生なので、卵から孵って少しぐらいの子供たちとあう。
うん、サイズは小さいがちゃんとラミア族だ。
しかし、卵生ならラミア族のそれなりに豊満な胸はなんなのだろう?
卵から孵ったあと、母乳生活が少しの期間続くのね。
なるほど。
生態に少し興味があっただけだ。
味見したいわけじゃないから、気にしないでくれ。
え?
子供の名付け?
俺に?
ひ、一人だけだぞ。
……
ラミアの子なので、ラミコ。
駄目だ。
これだとアラクネのアラコとかぶってしまう。
えーっと……
名付け、めっちゃ頑張った。
だって卵なんだもん。
特徴ないもん。
性別が女性だという情報しかないんだもん。
まあ、ラミア族は喜んでくれているようでよかった。
……
次の長、決定?
えーっと、別に俺に気を使う必要はないぞ。
長には、長の実力がある者にすべきだと俺は思うなぁ。
この子、まだ卵だし。
俺たちを歓迎してくれる宴が開かれた。
事前に行くことを伝えているので準備万端なようだ。
遠慮するのも無粋なので、素直に歓迎される。
宴前に挨拶?
わかっている。
ちゃんと準備してきた。
かんぱーい。
あ、料理がおいしくなってる。
頑張っているんだな。
おっと、宴に涙は似合わないぞ。
俺が言うのもなんだが、食べて飲もうじゃないか。
宴のあとはジュネアと歓談し、一泊となる。
ああ、もちろんジュネアとは別の部屋だぞ。
歓談だって、ほぼ南のダンジョン周辺の報告みたいなものだったし。
色っぽいことにはならない。
ティアが傍にいるしな。
翌日の昼。
出発となる。
昼なのは、のんびりしたからではなく当初の予定通り。
昨日の宴に参加できなかった者たちと挨拶する時間を作るためだ。
それとラミア族からの返礼の品を見る時間。
大樹の村に直接帰るわけではないので、この返礼の品は春にでも運んでもらうことになっている。
これで俺の予定は終わりだが……ヤーの頼み事は大丈夫だったのかな?
問題なく終わったようだ。
では、出発……
あ、見送りのパフォーマンスがあるのね。
了解。
寒い外でなにやら準備しているラミア族の頑張りは、受け止めるさ。
南のダンジョンを出発した万能船は北のダンジョンに向かうのだが、直進するのではなく逆時計回りに大きくカーブして進む。
時間調整のためだ。
あと、大樹の村の上空を通過しないためもある。
上空を通過するのは不敬とか無礼とかではなく、上空を通過すると一回戻ったことになってしまい、訪問を後回しにされたという形になるのを避けるためだそうだ。
このあたり、天使族のマルビットやルィンシァに教えてもらった。
巨人族は気にしないと言ってくれるが、知ってしまったからには配慮するのがマナーだろう。
北のダンジョンに到着。
南のダンジョンと同じことをする。
手抜きではなく、ラミア族との扱いの差をなくすため。
種族が違うので、完全に同じは無理だけど頑張った。
……
昨日のことなのに意外と覚えていないものだ。
ティアとリアがいてくれてよかった。
巨人族の子供の名付け?
かまわないが、すでに名前があるんだろ?
改名させる?
いや、わざわざ改名させることは……
わ、わかった。
えーっと……
名付け、すごく頑張った。
ジュネア ラミア族の長。
マルビット 天使族の長。
ルィンシァ ティアの母。補佐長。
更新、遅くなってすみません。
ラミア族の子、巨人族の子の名付けに関しては、まだ出さない方向で。
ここで名前を書いても、出番はかなり先になるので。




