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ウルザの友達


 大樹の村には、明確なお客としてウルザの友達がいる。


 魔王やドースたちはお客ではなく、友人枠か親類枠だろう。


 お客ではない。


 お客ならもう少し遠慮があると思う。


 はっきり言えば、部屋にこもって子猫たちとたわむれたり、子供の名前を考える名目で宴席を続けたりはしない。


 もう少し屋敷のあるじである俺に気を遣うだろう。


 子猫たち用のブラシや宴席の料理をねだるのはどうなのかな?


 いや、作るし用意するけどね。


 わかってる、ミエルたちの分も作らないと怒るからな。


 ソウゲツの分も作るよ。


 宴席の料理はアンたちに伝えているから、とりあえず餅でも食べているように。


 酒はドノバンたちに言ってくれ。


 知らない仲じゃないだろ。



 話を戻して、ウルザの友達は普通の女の子だ。


 自分のことを暗殺者だと言ってしまう少し困ったところはあるが、年齢を考えれば仕方がないことなのだろう。


 アルフレートも、そういったことを言うことがあるしな。


 いや、アルフレートだけじゃないか。


 ティゼルやナートも時々、壮大なことを言う。


 ウルザは……そういうことを言わなかったな。


 なんにせよ、そういったことは初対面の人には言わないほうがいい。


 アルフレートたちは、そのあたりをわきまえていると思うが……ウルザの友達はそうではなかった。


 少し問題のある子なのかと思ったが、二回目の挨拶ではちゃんとしていた。


 一回目は緊張していたのかな。


 特技は急所突きとか言ってたし。



 挨拶のあとは、ウルザの友達は子供たちと一緒に行動している。


 ウルザよりナートに懐いているように思えるのは気のせいかな?


 ウルザが友達を放置して、ハクレンにべったりだからかもしれない。


 ウルザの友達は雪合戦のときは、魔王を守って大活躍だった。


 魔王も褒めていたな。


 ウルザの友達は微妙な顔をしていたけど。


 雪合戦だったからかな。



 ウルザの友達は風呂が好きなようだ。


 一日に何度も風呂に入っている。


 ただ、温泉はいまいちっぽい。


 ウルザが温泉に連れて行ったのだが、震えて帰ってきた。


 温泉には入らなかったらしい。


 死霊騎士たちから、ウルザの友達を心配する伝言をもらうぐらいだ。


 温泉に悪い思い出でもあるのだろうか?


 いや、行く前は喜んでいたような気もするが……


 うーん、謎だ。



 ウルザの友達は、朝昼晩と出る食事はちゃんと食べている。


 昼食に戸惑うかと思ったけど、ウルザたちが学園で昼食を取ることを薦めているので大丈夫だそうだ。


 好き嫌いもないようで、奇麗に食べてくれる。


 ただ、食べるスピードが速い。


 大勢で食べる機会が少なかったのかな?


 いや、逆に多かったからか。


 取ったりしないから、ゆっくり食べていいんだぞ。



 ウルザの友達は、森には行けない。


 ウルザやアルフレートが止めるからだ。


 なので、ウルザの友達はナートたちと一緒にガルフやダガに剣を習っている。


 実力はまだまだだが、筋はいいそうだ。


 ピリカからも褒められていた。


 褒められているのに微妙な顔をしていた。


 ピリカが褒める前に、ガルフやダガに負けていたからだろうか?


 ガルフやダガに勝てなくても、ピリカの実力が高いのはわかりそうだけどな。


 ん?


 ああ、俺は参加しないぞ。


 弱いからな。


 ……


 いや、そんな変な顔をしなくても。



 夜。


 ウルザの友達は、五村ごのむらから大樹の村に戻ってくる聖女のセレスのところによく行っている。


 セレスとしては仕事が終わったモードなので少し迷惑そうだが、追い返したりはしないようだ。


 ただこの二人、最初に会ったときはいきなり戦闘になった。


 ウルザの友達は両手に短い剣。


 セレスは素手。


 セレスが危ないと思ったが、剣撃を軽やかにかわしたセレスは左フック三連打でウルザの友達の脇腹を攻め、動きが鈍ったところを右ストレートをボディ……多分、胃を狙ったんだろう。


 それで決着した。


 止める間がなかった。


 そのあと、二人の仲はいい。


 あの戦闘はなんだったのだろう。


 ちなみに、胃液で汚れた床は俺が掃除した。



 ウルザの友達はお客なので、屋敷の一室を貸している。


 最初は宿を希望したのだけど、冬だと外が寒いからとウルザに会うのが大変だろうとアルフレートが勧めた。


 俺も反対はしない。


 ただ彼女、ベッドの上ではなくベッドの下で寝るんだよな。


 クロの子供たちやザブトンの子供たちからの報告でそれを知ったのだけど……俺にはどうしようもない。


 下手なことを聞いて、誘っていると思われては困るしな。


 床には絨毯を敷いているし、寒いということはないだろう。


 彼女の生活習慣かもしれないし、余計なことは言わないでおく。



 サンゲツが滞在しているとき、当然ながらウルザの友達もサンゲツを見た。


 大きな口を開けて驚いていたな。


 ちょっと笑ってしまった。


 まあ、サンゲツは三階建てぐらいのサイズだ。


 驚くのも無理はない。


 ただ、自在にサイズを変えられるのだからサンゲツも普通の虎サイズで来てくれたらいいのに。


 あ、いや、人の姿で来てくれたらよかったのだ。


 まあ、五村に来るまでは人の姿だったらしいし、大樹のダンジョンを突破するときに本気モードということであのサイズだったのだろう。


 ヨウコもあれぐらいのサイズになれるし、聖獣は大きいのがデフォルトなのかもしれない。


 ちなみに、五村で購入したサンゲツのお土産は、商人たちによって輸送される。


 けっこう、お金がかかるみたいだけど、聖獣はお金も持っているのかな?


 あ、サンゲツは故郷で大きな商会を持ってるんだ。


 へー。


 今回の取引で、そこと繋がりができるから定期的に購入する可能性があると。


 ヨウコがそう教えてくれた。


 ……


 醤油と味噌の増産計画、急ごうか。


 ほかにもあるよな。


 香辛料系か。


 酒肉ニーズで肉に大量に使っているから、目を付けられてしまったかな。



 ウルザの友達は、美術品にそれなりに興味があるようだ。


 俺の彫った彫刻をまじまじと見ている。


 悪い気はしない。


 神様の像のときは始祖さんが説明しているけど、迷惑なら迷惑と言って大丈夫だぞ。


 ザブトンの子供たち、ザブトンを自慢したいのはわかるが大物を運んでこなくても。


 ん?


 クロの子供たちも……ああ、隠していたユキの像を見せたいのね。


 かまわないぞ。


 手伝おう。


 ……


 あれ?


 ウルザの友達はどこに行った?


 あ、いたいた。


 テーブルの下になにか落としたのか?


 ……


 ベッドの件を考えると、床が好きなのかな?


 ウルザの友達は変わっているな。





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― 新着の感想 ―
聖女のスタイルは一歩と思ったけどゲロ道だったか…
[一言] 意識して手加減だと277話の対ヨウコ戦があります。槍を投げるとき、頭は気が引けるからと足に投げています。始祖さんお膳立ての勝負で、村長がヨウコに槍を投げてみろという状況でした。
[気になる点] ヒラクは戦闘のとき万能農具だと思うけど槍使うとして手加減みたいのは出来るんだろうか、意識次第な気がするけど全てが必殺になってしまうんだろうか
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