収穫とメンバー選出
大樹の村で収穫が始まる。
この収穫が終われば、あっという間に冬だ。
なので、のんびりしている暇はない。
ドラゴン一家の宴会を強制終了。
収穫を手伝ってもらう。
ダンジョンで訓練を続けていたクォルン、ドマイムも呼んでダイコン、ニンジンなどの根野菜の収穫をお願いする。
妊娠で動けないハクレン、ラスティの代わりは……マークとヘルゼが自主的に立候補してくれたので、任せた。
残りは米、小麦、大麦、トウモロコシの収穫だ。
頑張ろう。
大樹の村以外の収穫はもう終わっているので、一村、二村、三村、四村から応援がやってきてくれた。
助かる。
ラミア族、巨人族も、慣れた手つきで収穫した作物の加工をしてくれている。
どちらも酒造り関係だけど、細かくは言うまい。
ドラゴン一家が宴会を続けたおかげで、倉庫に余裕があると思ったけど……
溢れた。
ゴロウン商会や五村への販売分を、急いで運び出していく。
ヨウコが、五村屋敷の倉庫にも限界があるとぼやいていた。
早々にゴロウン商会に受け取ってもらおう。
魔王たちへの販売分は、いつも通りにビーゼルが運んでくれる。
手伝えないのが心苦しい。
約二週間で、大半の収穫が終わった。
収穫した作物は、乾燥が必要なものは乾燥させているのだが、今年はちょっと天気が悪い。
時間がかかりそうだ。
最悪、魔法で乾燥させないといけないかもしれない。
魔法で乾燥させると、味が落ちるんだよなぁ。
自然の力は偉大だ。
なので、天気には頑張ってもらいたい。
そう思いながら、収穫終了を祝って宴会を行う。
今年も一年、ご苦労さま。
ああ、ドラゴンたち、宴会は今日だけだぞ。
このあたりで区切りをつけるように。
今回の収穫期間、天使族は狩猟に力を入れた。
ただ、マルビット、レギンレイヴを中心として、グラップラーベアに挑んだが敗北していた。
クロたちの角のついた槍を使えば勝てただろうけど、それだと肉を無駄にしてしまって狩りの意味がなくなる。
もう少し戦法を考えなければと、宴会の場で反省会をしていた。
一方、兎や猪を中心に狙ったハイエルフとクロの子供たちは、大猟で笑顔だ。
だが、その笑顔を凍らせたのが温泉地からやってきた死霊騎士たち。
パニックカリブーを二頭、もってきた。
冬の備えとしては、ハイエルフやクロの子供たちの大猟のほうがありがたいのだが、パニックカリブーの角はそれを忘れさせるほど美味い。
死霊騎士たちはそのまま宴会に参加……の前に、俺に頼み?
死霊騎士たちから頼みとは珍しい。
なんだろうと思ったら、温泉地にいるヨルのことだった。
なんでも、魔物の襲撃によって投石機が一基、修理不能なまでに壊れてしまったらしい。
投石機はまだ残っているのだけど、愛用していた投石機だったらしく、ずっと泣いているからなんとかしてほしいそうだ。
わかった。
新しい投石機を用意しよう。
山エルフたちと一緒に作るから、投石機じゃないものができあがるかもしれないが。
ヨル専用だ。
これなら泣きやむだろう。
死霊騎士たちも納得したように、頷いてくれた。
しかし、ヨルと死霊騎士たちは仲よくやっているんだな。
よかった。
死霊騎士たちは宴会に参加。
そして、その死霊騎士たちに話しかけているのが、死霊魔導師とクエンタン。
死霊魔導師が子供たちの教師として働き始めたので、住居を温泉地から大樹の村に変更した。
だから、会うのは久しぶり……でもないみたいだ。
死霊魔導師とクエンタンは定期的に温泉地に戻り、いろいろと研究をしている。
危ない研究ではない。
温泉地に近づいて退治されている魔物や魔獣を解剖して、調べているそうだ。
腐らせるだけよりはいいが……ほどほどにお願いしたい。
温泉地でのんびりしていたミヨには休んでいてかまわないと言ったのだが、収穫で忙しい時期に休んでいるほうが疲れると言って収穫に参加してくれた。
助かるけど、申し訳ない。
そして滞在が延びてしまったが、本人的には気晴らしになったと笑っているからよしとしよう。
ただ、書類仕事には手を出さなかったな。
文官娘衆たちが残念がっていた。
あと、シャシャートの街の代官さんには、謝罪の手紙を出しておこう。
ミヨの滞在が延びたことで、手紙を無視したと思われてはいけないからな。
こういった気配りは面倒だが、しないとさらに大きな面倒が舞い込むことになるのだ。
注意しないと。
このあたり、ヨウコは熟知していて手抜きがない。
見習いたいものだ。
宴会の席で、海岸のダンジョンの話をした。
未踏破らしいということで、盛り上がった。
ただ、場所はシャシャートの街から東に三日ほど進んだ場所の海岸。
五村からなら、二日半ぐらいの場所だ。
魔王の直轄地ではあるが、魔王国領なのでクロたちやザブトンたちは一緒に行けない。
クロの子供たち、ザブトンの子供たちが残念そうにこっちをみてる。
すまない。
そして、妊娠中のハクレン、ラスティも不参加。
本人が希望しても、俺が許可しない。
体を大事に。
ハクレン、ラスティが我慢しているのだから、ほかのドラゴンたちも我慢してほしい。
うん、ドライム。
行く気満々だったところ悪いけど我慢して。
話の流れから、俺が行くのは無理そうだったが逆転があった。
レギンレイヴとルィンシァが、俺の希望を止めるのに難色を示したからだ。
だが、俺が希望したからと危険な場所に行くのを止めないのも問題だと、多くの住人が反対した。
そこで、妥協案が出された。
ダンジョン探索には複数のグループで参加。
時間差で入り、俺の参加するグループは最後というもの。
俺は別に強い魔物や魔獣と戦いたいわけじゃない。
ちょっと変わった場所を見てみたいだけだ。
なので、その妥協案に俺は不満がない。
受け入れた。
そのあと、宴会の席ではあるが探索参加希望者によるグループ分けが行われ、盛り上がった。
参加するグループが俺のいるグループを含め、八つ。
……
俺のグループにレギンレイヴとルィンシァがいるのはかまわないが、フェニックスの雛のアイギスとオルトロスのオルがいるのはどうなんだろう?
アイギスはともかく、オルは俺にまだ懐いていないぞ。
クロたちやザブトンたちの代わり?
ははは。
頼りないとは言わないでおこう。
あと、この誰も記入されていないグループはなんだ?
アルフレートやゴールたち?
ああ、戻ってきたときにダンジョンの話を聞いたら参加を希望するか。
わかったけど、このグループが一番最初に入るというのはやめてほしいな。
うん、俺のあとを希望。
でも、それだとアルフレートたちが怒るだろうから、最後から二番目で。
さて、ダンジョンに思いを馳せるのもいいが、まずは冬の準備。
ダンジョンはそれが終わってからだからな。
ああ、ラミア族や巨人族のダンジョンに訪問するのも忘れていない。
東のダンジョンのゴロック族に会いに行くこともな。
万能船があるから、移動は楽だろう。
ところで……
海岸のダンジョンの話が始まってから、ずっと頭を傾けている始祖さん。
どうかしたのか?
まだ二日酔いが残っているとか?
「いや、そうではなく……」
じゃあ?
「言いにくいのだけど、そのダンジョン。
私が作ったやつかもしれない」
……
これはひょっとしたら、探索前に探索が終わってしまったのかな?
すみません。
次回の更新、ちょっと遅くなります。




