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硬貨計算機


●スライダー式硬貨計算機・初期型


 死の森で伐採された材木で作られた試作品。


 シンプルなデザインだが、魔石を大量に使っており、あらゆる硬貨に対応。


 どこに配備するかで揉めたが、文官娘衆が勝ち取った。



●スライダー式硬貨計算機・先行量産型


 一秒でも早く欲しいとの要望に応え、山エルフがほかの仕事を放り出して作り上げた。


 初期型に比べてデザインはさらにシンプルになったが、製作ごとに改善されていき、性能面では同等以上を誇る。


 八台が作られ、五村ごのむらとビッグルーフシャシャートに三台ずつ。


 二台が大樹の村に配備された。



●スライダー式硬貨計算機・量産型A


 大樹の村に配備された先行量産型を見た魔王国の王族と貴族が、平静を装いながら「いくらかね?」と強気交渉をした結果、生産が開始された。


 量産速度を上げ、コストを下げるため、機能の一部を削除オミット


 魔王国で流通する硬貨を中心に対応する計算機となった。


 生産台数二十四台。


 二十台が魔王国に贈られ、四台はゴロウン商会に贈られた。



●スライダー式硬貨計算機・贈答型


 量産型Aの外装デザインを豪華にしたバージョン。


 貴族が使うために、もう少しデザイン面を強化してほしいとの意見を取り入れ、製作を開始。


 デザイン面では、山エルフが五村に新設した工房が活躍。


 手作りの専用箱がセットで、ゴロウン商会から金貨二枚で販売されているが常に売り切れ状態。


 予約をしても、入手は最低でも一年待ち。


 量産型Aを回収し、改装されたバージョンも何台か存在する。



●スライダー式硬貨計算機・量産型B


 庶民に届く価格帯でという希望を採用し、耐久性とデザインを捨てた量産型。


 材料は五村周辺で集められ、部品の一部の製作を外部に発注。


 低価格帯を目指した。


 しかし、それでも銀貨十五枚前後の価格となり、今後の販売量が心配される。


 余談ではあるが、裕福ではあるが贈答型には手が出ない商人が、量産型Bを勝手に改修した結果、計算性能にトラブルが発生していたりする。


 改造、改修は認可のある工房でお願いしたい。



●スライダー式硬貨計算機・特殊型


 褒賞メダル専用の計算機。


 屋敷のホールに設置されており、誰でも使えるが……


 使っている人は、いまのところいない。


 春、村長が配るときに使うぐらいだろう。





 某人間の国某所にて。


 財務大臣と部下の会話。


「これが、魔王国で話題の硬貨計算機か」


「はい。

 なかなかの品です」


「我が国で生産は可能か?」


「可能ではありますが……その」


「なんだ?」


「魔石がそれなりの数、使われているので……量産は厳しいかと」


「なるほど」


「それと、我が国で流通している硬貨は対応外でして、その調整は難しいかと」


「むう。

 それでは使い物にならんな」


「はい。

 購入時に、地域対応の硬貨にカスタマイズをしてくれるとの話もあったらしいのですが、断ってしまって」


「……なぜ断ったのだ?」


「どこの国から来たか、バレてしまいますので」


「うぬう。

 確かにバレては困る。

 だがしかし……」


「指定の工房に持ち込めば、カスタマイズは大銅貨一枚でしてくれるそうですが……」


「悩ましい……

 我が国の技術が、魔王国の技術に劣ると宣言するようなものだ。

 そんなことはできん。

 ぐぬぬぬぬ…………

 え、ええいっ!

 必要ない!

 これは我が国には必要ない物だ!」


「わかりました。

 そういうことにしておきます」


「購入代を無駄にはできん。

 研究は続けるように」


「承知しました」


 後日。


 魔王国から地域対応の硬貨にカスタマイズされた贈答用が届けられ、財務大臣は品に罪はないと活用した。






 別の某人間の国某所にて。


 財務大臣と部下の会話。


偽金(にせがね)?」


「はい。

 硬貨計算機で弾かれる硬貨があって、調べたら……かなり巧妙に作られています」


「どれほどだ?」


「王宮にある銀貨を適当に千枚選び、調べた結果は十二枚が偽金でした」


「千枚をチェックしたのか?」


「それは硬貨計算機がありますから」


「なるほど。

 便利なものだ」


「魔王国製なのが、気に入りませんが」


「誰が作ろうが、いい品はいいのだ。

 それを忘れるな」


「すみません」


「しかし偽金が千枚のうちに十二枚もあったのか。

 多いな」


「はい。

 ですが、いまの段階で気付けてよかったかと」


「確かにな。

 大手の商会を集め、注意を促せ。

 偽金が入ってくるルートを調べろ。

 他国の陰謀である可能性がある」


「了解しました」


「それと、硬貨計算機を活用して王宮にある金を全てチェックだ。

 偽金を使うなど、あってはならん」


「ははっ」


 一部の国に仕掛けられた偽金による経済混乱は、大臣の迅速な対応によって事前に処理された。




ちょい短めですが。

会社の健康診断に備えて、早めに寝ないといけないので。

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― 新着の感想 ―
貨幣の価値を下げる行為とか犯罪だけど それ以上にその価値を管理しているドラゴンや悪魔たちに対する宣戦布告となるんじゃ 「よろしい、ならば戦争だ」って始まる蹂躙劇
カリオストロ公国の仕業ですね解ります(笑)
[一言] そろそろ文官娘衆には機械式計算機が必要なんじゃないか?w
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