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王都での生活 ミヨ編 問題解決の裏側

前回の話は、ややこしくてすみませんでした。

また、マイケルさんの余裕のない発言、申し訳ありません。

マイケルさんは、基本的には良い人です。


 私の名はミヨ=フォーグマ。


 太陽城で働くために生まれたマーキュリー種の一人です。


 まあ、その太陽城も四村よんのむらに名前が変更になり、私の職場も外に求めることになりました。


 最初は転移門の管理をする予定だったのですが、その転移門がなくなってしまったので文官仕事をすることに。


 これが間違いだったと思います。


 シャシャートの街にあるビッグルーフ・シャシャートに会計の応援として派遣され、いつの間にか責任者になっていました。


 そして終わることのない書類仕事……


 知っていますか?


 寝るというのはベッドの上で横になることであって、机に伏せて気を失うことではないのですよ。


 おっと、愚痴がでました。


 すみません。



 粘り強く環境改善を訴えた成果か、文官の数が揃えられてやっと仕事がなんとか回るようになりました。


 ええ、大変でした。


 ほんとうに。


 途中、私が育てた部下を引き抜かれたときは、精神が暗黒に塗りつぶされるところでした。


 あの恨みは忘れません。


 いまだに部下、返してもらえていませんし。



 そして現在、私はシャシャートの街の代官屋敷で、秘書をやっています。


 なぜでしょう?


 ビッグルーフ・シャシャートで食事を楽しんでいたとき、出会ったのがイフルス代官でした。


 一緒に食事をして、舞台で歌っていたら、いつの間にか職場に連行されていました。


「数字に強いんだって?

 これ、どう思う?」


 イフルス代官は、そう言って私に書類を渡します。


 これ、私が見て大丈夫な書類なのでしょうか?


 まあ、仕事内容はそれほど難しくはないですが、書式を揃えるところから始めたほうが……やっていい?


 え?


 ほんとうに?


 仕事に余裕が出たので、ついつい引き受けてしまいました。


 まあ、シャシャートの街の極秘情報をこれでもかってぐらい入手できているので、メリットがないわけでもありません。


 頑張るとしましょう。




 そして頑張っているある日。


 ゴロウン商会とダルフォン商会の話し合いが、イフルス代官屋敷で行われました。


 私は中立なので余計な口を挟みません。


 ただイフルス代官屋敷の者として、聞いているだけです。


 話し合いは日を改めて、何度も行われましたがまったく進みません。


 原因はわかっています。


 まず、ゴロウン商会。


 作物の買取価格を下げるようにダルフォン商会に言われていますが、下げられるわけがありません。


 すでにこの辺り一帯の作物の買取価格は決まっていて、それを基準に各取引が行われているのです。


 その基準をるがすと、各方面に影響がでます。


 買取価格を下げるのは受け入れにくいでしょう。



 それに対して、ダルフォン商会。


 魔王国のためという大義名分を振りかざし、買取価格を押し付けるやり方では誰がうなづくというのですか。


 いや、まあ、ダルフォン商会を敵に回すことを考えれば、大抵の人は頷くのでしょう。


 しかし、ゴロウン商会は引けません。


 引くわけがないのです。


 買取価格を下げることによって一番損をするのが、作物の権利を持っている大樹の村の村長なのですから。


 ゴロウン商会としては、金貨や銀貨の代わりに作物の権利で支払うことを提案して受け入れてもらった手前、作物の権利で村長に損をさせるわけにはいきません。


 村長は気にしないでしょうが、周囲がどう動くかわかりません。


 村長が抑えてくれるとは思いますが……ゴロウン商会としては危険過ぎるギャンブルです。


 だから、ゴロウン商会は買取価格を下げることには頷きません。



 大樹の村の村長のことは、極秘事項ですのでダルフォン商会には説明できません。


 ゴロウン商会のマイケルさんは、やんわりとあの手この手で言えない事情があるとアピールしているのですが、ダルフォン商会の代表であるデリンテッドさんは察しません。


 逆に、ゴロウン商会が魔王国に対して悪意があるのではないかと疑っている始末。


 これは困ったなと思っていたときに、ビーゼルさんがやってきました。


 ビーゼルさんの目的は、ゴロウン商会のマイケルさんとダルフォン商会のデリンテッドさん。


 ゴロウン商会の買取価格の問題が魔王さまの耳に入ったそうです。


 関係者を直接連れて行くなんて乱暴な。


 でも、一番早い解決法かもしれません。


 え?


 私も?


 イフルス代官に報告する役目ですね。


 了解です。




 ビーゼルさんに連れられてやってきたのが、王都にあるガルガルド貴族学園の敷地内。


 アルフレートさまたちが住まうお屋敷でした。


 うーん。


 アルフレートさまたちが住まうにしては、小さい。


 屋敷には……アルフレートさま、ウルザさま、ティゼルさま、アサ、アース。


 それと、魔王さま、ランダンさま、ホウさま……知らない人が何人かいます。


 アサがこそっと教えてくれました。


 魔王さまの奥さまとダルフォン商会のリドリーさん。


 あと、混代竜族のメットーラさんですね。


 覚えました。


 あちらは……魔王さまたちが連れて来た給仕ですか。


 二人ほど、暗殺者みたいな人がいますが……魔王さまの護衛ですか。


 了解しました。



 でもってティゼルさま……なんです?


 ハイタッチ?


 いえーい。


 ハイタッチと同時に、メモを渡されました。


 ……


 問題の流れと、解決案が書かれています。


 えっと、こうなるように誘導しろと?


 違いますね。


 ここに書かれた結果になるわけですね。


 話し合いの最中、ティゼルさまはこっそりとメモを魔王さま、アルフレートさま、ウルザさま、ホウさま、ランダンさまに渡しています。


 あ、マイケルさんにも。


 ダルフォン商会の人には渡していないのですね?


 まあ、ダルフォン商会の要求通りにするわけですから、ダルフォン商会の利害を調整する必要はないですか。


 わかりました。


 最後の美味しいところはいただきます。


 ですがこれ、私が持ってる村長に対しての切り札が減るのですが……


 ティゼルさま、それを減らすのも目的にしていません?





感想、誤字脱字指摘、ポイント、ありがとうございます。

これからも頑張ります。


ただ、書籍化作業等をしているのですがこれが遅れ気味で、少し更新のリズムが狂うかもしれません。

ご容赦ください。


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― 新着の感想 ―
それまでの黒幕然とした立ち回りとラストのオチの落差に風邪を引きそうなくらい笑ったwww 紐付きてw というかどんだけ危険物扱いなんだよって言いたくなるけど、紐を付けていても今回の騒動を動かしていたから…
[一言] >ここに書かれた結果になるわけですね。 『陰のフィクサー・ティゼル』爆誕、了解です。
[一言] ちなみにこの時のティゼルの年齢は10歳
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