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ドライムの活躍

●登場人物紹介


ドース       竜王。

ライメイレン    ドースの妻。


ギラル       暗黒竜。ドースのライバル。

グーロンデ     ギラルの妻。


ハクレン      ドースの娘。長女。


スイレン      ドースの娘。次女。

マークスベルガーク スイレンの夫。


ドライム      ドースの息子。長男。

グラッファルーン  ドライムの妻。


セキレン      ドースの娘。三女。

クォルン      セキレンの夫。


ドマイム      ドースの息子。次男。

クォン       ドマイムの妻。


ラスティ(スムーン)ドライムとグラッファルーンの娘。

ヒイチロウ     ハクレンと村長の息子。

グラル       ギラルとグーロンデの娘。

ヘルゼ(ルナーク) スイレンとマークスベルガークの娘。



 ドースを先頭に、ギラル、ライメイレン、ハクレン、スイレン、マークスベルガーク、セキレン、クォルン、ドライム、グラッファルーン、ラスティ、ドマイム、クォン。


 少し遅れて見学組のヒイチロウ、グラル、ヘルゼルナークと、その護衛の混代竜族が三十頭ほど。


 ドラゴンの力を理解できる者がこの光景をみれば、世界を滅ぼす気かと叫ぶだろう。


 そんなドラゴンの一団が向かう進路の先にいるのは、空を飛ぶクジラの群れ。


 三十メートルクラスの小さいクジラが四十頭。


 三百メートルクラスの大きいクジラが十五頭。


 これだけでも記録にあるなかで最大の空を飛ぶクジラの群れなのだが、まだ追加がいた。


 千メートルクラスの超巨大な空を飛ぶクジラだ。


 見た目からも明らかに群れのボスと判断できた。


 だが、大きくてもクジラはクジラ。


 防御力は高いが、攻撃力は低い。


 また、ドラゴンに比べれば鈍重と言われる機動力のなさ。


 ドラゴンたちは、いつも通りに攻撃を開始した。


 そして、いつも通りに退治できるはずだったのだが、想定外があった。


 今回の空を飛ぶクジラの群れには、護衛がついていた。


 空を飛ぶサメ。


 十メートルぐらいのサイズで、ドラゴンよりも素早い。


 そして、ドラゴンに傷を与えるだけの攻撃力を持っていた。


 そのサメが七匹。


 超巨大なクジラのかげに隠れていたのだ。


 完全な奇襲だった。


 だが、慌てる必要はない。


 一団の前衛にいたドースやギラル、ライメイレン、ハクレンは、サメの攻撃を回避し、的確に反撃。


 あっというまに四匹のサメを真っ二つ、もしくは消し炭にした。


 残る三匹もすぐに同じ目にあうと思ったのだが、空を飛ぶサメたちは狡猾こうかつにもドースたちを避けて一番弱いドラゴンを狙った。


 つまり、見学していたヒイチロウ、グラル、ヘルゼルナークを。




 それを防ぎ、守ったのがドライム。


 だから帰ってきたドライムは傷だらけだった。


 ドラゴン姿から戻れないぐらいに。


 噛まれたあとが痛々しい。


 だが、命に問題はないので一安心。


 すでに治癒魔法、薬は使っているのであとは安静にしているだけでいいそうだ。


 世界樹の葉は、ドライムが遠慮した。


 グーロンデの負傷と比較したからかな?


 なんにせよ、俺としては息子を守ってくれたドライムに感謝しかない。


 なので、三回目の武勇伝も笑顔で聞く。


 あと、ライメイレン。


 あっちのほうで反省のポーズをとってる混代竜族は、そろそろ許してやったら?


 まだ?


 いいけど、全員がドラゴン姿で外で反省ポーズをしているから、雪が積もり始めているんだが……


 一冬ぐらい、雪の中にいても死なない?


 そうかもしれないけど……うん、説得は無理そうだ。


 ライメイレンは怒っている。


 ライメイレンだけじゃない、ドース、ギラル、ハクレン、グラッファルーン、ラスティも怒っている。


 なだめる側なのは、助けられたヒイチロウ、グラル。


 たぶん、ここにヘルゼがいたらなだめる側だったと思うが、ヘルゼがいるってことはスイレンとマークがいるってことだから、怒るのが二人増える。


 ヘルゼたちやセキレン、クォルン、ドマイム、クォンは村に寄らずに各地に戻っている。


 会えなかったのは少し残念だ。




 ドライムのためにできることをと考え、俺は温泉地で【万能農具】を振るっている。


 ドラゴン姿でも入れる、大きな温泉を作るために。


 冬の寒さは厳しいが、【万能農具】を振るっているときは問題ないし、死霊魔導師が魔法で周囲の気温を上げてくれているので寒くない。


 温泉を作っているのは俺だけじゃない、三十頭の混代竜族も作業している。


 最初は俺の指示に従ってくれるか心配だったが、問題はなかった。


 俺が労働力として使うから解放してやってくれと、ライメイレンたちに頼んだのがよかったのかもしれない。




 大きな温泉は温泉地の南側、少し離れた場所にできた。


 広さは、ドラゴンの姿で二頭がゆったり入れる大きさ。


 円錐えんすいを逆にした形で中央が深くなっている。


 さて、これはドライムのための温泉だが、作った者の特権として一番乗りは許されるだろう。


 一緒に作業した三十頭の混代竜族に、一緒に入るかと聞いたら全力で拒否された。


 まあ、立場的なものもあるのだろう。


 無理は言わない。


 ドライムの入ったあとにでも、どうぞ。


 とりあえず、俺だけで入ってみた。


 ……


 すっごく深い温水プール。


 そして、少し熱い。


 源泉から少し離れた場所になるから、川の水で薄めずにそのまま貯めているだけだからな。


 とりあえず、人間サイズには危険だ。


 泳いでしまう。


 そして、深い場所でのぼせたら、そのままでられて死ぬ。


 注意が必要だと思う。


 丸太の柵を周囲にめぐらして、立て看板を設置。


 死霊騎士やライオン一家たちにも伝えておく。


 あとは、ドライムの使用感を聞いて改善だな。




 ドライムは温泉で寝てた。


 溺れないように頭を温泉の外に出しているのは、さすがだ。


 しかし、仰向けはどうだろう?


 一瞬、死んだのかと思って、びっくりした。


 イビキが聞こえてほっとしたのは秘密だ。


 なに、頭置き場が欲しい?


 了解。


 混代竜族と協力して、頭置き場を作る。


 酒と料理?


 酒は大樽で用意しよう。


 料理はお前たちが持ち帰った空を飛ぶクジラの肉で作るから、ちょっと待ってくれ。



 ドースたちは三十メートルクラスの小さいクジラを十頭あまり持ち帰ってきてくれた。


 ありがたいが、消費に困る……と思ったけど、クロたちやザブトンの子供たち、ライオン一家に大人気。


 なまでもどんどん食べてくれるので、消費は問題なさそうだ。


 もちろん、俺たちが食べる分は残してもらっている。


 クジラ肉。


 専門的なクジラ料理を知らないので、普通の肉の代用品として使う。


 刺身、ステーキ、カラアゲ、煮付け。


 牛肉や豚肉と違う味は、食卓の変化として嬉しい。


 温泉に入っているドライムの分は、ヒイチロウとグラルがドラゴン姿で運んでくれた。


 もちろん、ライメイレンが同行している。


 混代竜族のみんなも、食べて構わないんだぞ。


 遠慮は無用だ。




 ドースの話では、空を飛ぶクジラは超巨大なクジラを含めて半数ぐらいを倒し、残りは追い払った。


 全滅させることもできるが、全滅させるのは駄目だと昔から伝わっているらしい。


 ただ、空を飛ぶサメは全滅させた。


 サメに関しては何も伝わっていないから問題ないそうだ。


 あと、ヒイチロウとグラル、ヘルゼを危ない目に遭わせたサメを許すわけにはいかないと。


 そう言いながらも、息子のドライムを傷だらけにされたことを怒っているとか?


 あ、照れた。




 ドライムは三日ほど温泉に浸かりながら食っちゃ寝してたら、完治した。


 さすがの回復力。


 ドライムが完治したあと、ドラゴンの姿で入れる温泉でドースが仰向けになって寝ていた。


 うーん、親子。





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― 新着の感想 ―
大和煮は?
[良い点] 大きな温泉にはマクラたちや地竜(ダンジョンウォーカー)も喜んでそう。 [気になる点] ハクレンが大樹の村を襲った時、両翼を失ったけど人間になれた。 ドライムが深手の傷を負った時、幾らか治し…
[良い点] ドライム、ばっちりヒーローしたなー。 ラナノーンにも見せたかった? [気になる点] ハクレンもドースと同じ気持ちだった? [一言] マークスベルガークに従ってる大地竜族「この人があの噂の?…
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