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五村での食事会


 獣人族の三人、ゴール、シール、ブロンの結婚相手と俺は挨拶をした。


 その後に食事会を予定していたのだけど、それは少し遅れてしまった。


 五村の住人たちが、ゴールたちの結婚を祝うパレードを準備していたからだ。


 主導したのはルー、ティア、フローラ、ヨウコ、ユーリ、聖女のセレス。


 あと、元四天王の二人が頑張ったそうだ。


 クロトユキに常連客がいたのは、挨拶の進行を外で待機している者たちに連絡するため。


 考えてみれば俺が常連客を追い出そうとしたとき、ルーやティア、ヨウコがやんわりと擁護にまわっていた。


 それならそうと言ってくれたらいいのに。


 サプライズでゴールたちに秘密だったのはわかるが、俺にまで秘密にすることはないだろう?


 派手にするのを嫌がると思ったと……


 なるほど。


 確かに嫌がったかもしれない。


 しかし、ゴールたちの結婚を祝うパレードなら協力するさ。


 ああ、嘘じゃない。


 パレードだって初めてのことじゃないしな。




 ゴールたちが乗る馬車よりも派手な馬車に俺が乗るのはどうなんだろう?


 主役は俺ではなく、ゴールたちだと思うのだけど?


 あ、いや、ルー、そんな悲しい顔しなくてもちゃんと乗るから。


 オープンカー仕様の馬車ね。


 俺と一緒に乗るのは魔王とヨウコ。


 魔王とヨウコがいれば、それほど目立たないだろう。


 魔王の秘書っぽい感じで乗り切ろうと思う。


 無理だった。


 ヨウコはともかく、どうして魔王が俺の秘書っぽい感じになっているんだ?


 おかしくないか?


 あ、あっちに手を振るのね。


 了解。




 パレードはクロトユキから酒肉ニーズまでのルートかと思ったのだけど、五村を二周半した。


 五村の大半の住人がパレードを見物している。


 そして、その後方に乱立した屋台群。


 歓迎してくれるのは嬉しいが、ここまで盛大にする必要があるのだろうか?


 あるらしい。


 まず、結婚は周囲に認知されて有効となる。


 本人同士の約束ではないそうだ。


 だから、五村の教会で神様にも報告して祝福してもらう。


 確かに報告は大事だな。


 始祖さん、セレスが教会の準備をしていた。


 結婚式モードというのか、冬なのに花で綺麗に飾りつけられていた。


 花は大半が造花のようだ。


 できれば春にやりたかったと言われても困る。



 次に、ゴールたちは俺の子供として扱われる。


 五村の村長の子供の結婚であるなら、五村の住人全員に周知させる必要があるそうだ。


 五村の人口を考えれば全員に周知させるのは現実的ではないが、周知させるために努力した姿勢をみせておかねばならないらしい。


 正直、その感覚が俺にはわかりにくかったが、ヨウコがわかりやすくたとえてくれた。


「国王の息子の結婚を、国民が知らぬは双方の恥であろ?」


 なるほど。


 でも、たとえとはいえ、俺を国王にするのはやめてほしいな。



 最後に、大きな理由が一つ。


 それはパレードの最後尾。


 たくさんの男女のカップルが、歩いている。


 五村の住人で、結婚をしようと考えていた者たちだ。


 今日だと、ゴールたちのパレードに参加できる。


 そして、教会では無料で祝福してもらえる。


 まあ、無料というか費用が俺持ちになるだけだが。


 結婚を費用面で迷っていた者たちへの後押し。


 ゴールたちの結婚という幸せのお裾分けだ。


 だから、屋台の支払いも俺持ちで今日は無料、食べ放題。


 しかし、俺が聞いていた数よりもパレードへの参加者が多い。


 教会での祝福って高いのかな?


 そうではなく、これまでに結婚した者たちも参加しているらしい。


 五村に住んでいる者たちが全員、盛大に祝えるわけではないそうだ。


 不安そうにしなくても、参加を断ったりはしないさ。


 パレードに参加する者を少しでも増やして、俺への注目を減らしたい。


 もちろん、祝う気持ちも忘れていないぞ。


 だから、村長コールはやめてくれ。




 パレードの最後に、ゴールたちを迎えたのはアルフレート、ティゼル、ウルザたち大樹の村の子供たち。


 ゴールたち、びっくりしていた。


 そして俺もびっくりした。


 いや、別に子供たちを参加させないつもりはなかったんだぞ。


 ただ、今日は挨拶。


 式は別の日に盛大にやろうと考えていただけで、子供たちの参加はそのときでいいかなぁと。


 そう、今日は挨拶だけのはず。


 パレードで結婚式の様相になってしまっただけで……


 もう一回、盛大に式をやろうと言って受け入れてもらえるだろうか?


 ゴールたちと相談して決めよう。


 とりあえず、ウルザ、ティゼル、ナート。


 色々と聞きたいのはわかるが、質問責めは止めるように。


 ゴールたちが困っているから。




 酒肉ニーズでの食事会は問題なく進行。


 酒肉ニーズのメニューだけでなく、他の店からも料理を持ち込んでいるので雰囲気は……まあ賑やかでいいか。


 ただ、匂いが混じるから甘いのは右側手前、焼肉は左側奥、ラーメンは右側奥で。


 子供たち、お酒は駄目だぞ。


 でもって、ゴールたちは……俺はまだ早いと思うのだけど、この世界では飲酒してもOKな年齢。


 さらに結婚するのだから、特に問題はないそうだ。


 でも、飲み過ぎないように。


 全員、酒のトラブルを警戒して、あまり飲んでいない。


 注意する必要はなかった。


 いいことだ。


 ホウも酒を口にしていなかった。


 ……


 頑張れ!




 食事が終わったあと、ゴールたちの結婚相手はビーゼルの転移魔法で王都に帰っていく。


 ゴールたちも王都に。


 ゴールたちは結婚を機に村に戻ってくるつもりだったのだけど、来年の春にアルフレートとウルザが学園に通うので、まだしばらくは王都で生活を続けることになった。


 魔王、ビーゼル、グラッツの三人にも王都滞在をお願いされたそうだ。


 村に戻りたいと言ってくれるのは嬉しいが、結婚相手とちゃんと相談するように。


 街での生活とは、全然違うからな。


 全員が全員、村での生活を望むとは思えないし、馴染なじむかどうかもわからない。


 それに、仕事をしている人もいるだろう。


 ホウは仕事を続ける約束をしているしな。


 まあ、考えるのは俺じゃない。


 ゴールたちだ。


 俺は相談されたときに、考えるとしよう。



 とりあえず、後片付け……したいが、人が減らない。


 帰った人の分だけ、外から人が入ってきている。


 外もまだお祝いが続いているな。


 これ、いつまで続くんだ?


 ひょっとして一晩中?


 そんなものなのか。


 ……


 まあ、貯まっていたお金を、派手に使うことができたと喜ぼう。


 前々から、ヨウコやゴロウン商会から言われていたしな。


 子供たち、徹夜は駄目だぞ。


 ちゃんと帰るように。


 泊まるにしても、ヨウコ屋敷でだ。


 ここで泊まるのは迷惑だからやめるように。


 ハクレン、子供たちの誘導を頼む。


 いつの間にかいるドライムとドース、飲むのは構わないが周りに絡まないように。


 魔王を解放してやってくれ。





更新が遅れてすみません。

リズムを取り戻せるように頑張ります。

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― 新着の感想 ―
魔王様が一番の被害者かな?
そして3人は王都で魔王国の重鎮に成った。
[一言] 振る舞い酒どころか振る舞い祝福ww そしてここぞとばかりに金を放出w 貯まる一方で困っていたからなぁδ( ̄、 ̄;)ポリポリ 後,魔王様、がんがれ〜( '▽')o尸゛
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