子供たちの仕事
ある程度大きくなった村の子供たちは、午前は勉強、午後は何かしらの仕事をしている。
遊ぶのは仕事が終わってから。
俺としては勉強さえちゃんとしていれば仕事をしなくても構わないと思うのだけど、子供たちに何かしらの役割を持たせるのは大事だと母親たちから説得された。
子供たちも仕事を嫌がっている様子はないので、認めている。
認めているのだが、その仕事内容に関して俺は少々、無関心だったと反省。
いや、仕事内容は聞いている。
だが、実際に俺がやっていない仕事も多く、その大変さが理解できていなかったように思える。
そこで、俺もやってみることにした。
まず、牛、馬、山羊、羊、鶏の小屋の清掃手伝い。
清掃作業のメインは獣人族の女の子たち。
その手伝いなので、簡単だと思っていたが……意外と重労働。
特に糞を所定の場所に持って行くのが辛い。
その場で【万能農具】を使って土にしようかと思ったぐらいだ。
……
とりあえず、山エルフに台車の製作を頼んだ。
小屋などで使うから、段差を考慮してタイヤは大きめ。
いや、一輪の手押し車でいいのか。
台車はキャンセル。
一輪の手押し車を頼む。
……
一輪の手押し車か。
一人だったころを思い出すなぁ。
次は牛、馬、山羊、羊のブラッシング作業。
この作業もメインは獣人族の女の子たち。
その手伝いだが、やっている作業は獣人族の女の子たちと同じだ。
注意点は、それぞれの動物に合わせたブラシがあるので間違えないようにすること。
それと、動物たちの様子をチェックすること。
普段と様子が違う時などは、獣人族の女の子たちに報告するそうだ。
なるほど。
とりあえず、道具を借りてやってみた。
牛と馬は素直だな。
問題なし。
まあ、牛や馬のブラッシングは俺もやったことがあるので困らない。
困ったのは山羊と羊のブラッシング。
なぜか山羊は俺に突っかかってくるからな。
ええい、順番だ順番。
並べ……と言っても無駄だよな。
なぜ獣人族の女の子の指示は聞くのだ?
くっ、エサを与えている者とそうでない者の差か。
羊は俺に近寄ってこない。
俺を見ると逃げる。
なぜだ。
ちょっと心に傷を負った。
それを見ていたクロの子供たちが、羊を集めてくれた。
ありがとう。
……
でも、だから俺が羊から嫌われているのかな?
違うと思いたい。
鶏の卵集めも子供たちの仕事だ。
メインは鬼人族メイドが中心に行っているのだけど、鶏の卵を産む時間はバラバラなのだそうだ。
早朝に産む個体もいれば、昼ぐらいに産む個体もいる。
鬼人族メイドは朝、鶏小屋から鶏を出し、鶏小屋内に産まれている卵を回収する。
子供たちは、それ以降に産まれた卵を探し、集めるのだそうだ。
なかなか大変そうだが、個体ごとに産む場所がだいたい決まっているので慣れると楽な作業らしい。
俺は子供たちに卵がある場所を教えてもらいながら、卵を集めてみた。
なるほど、言われた場所に卵がある。
やってみて思ったのが、卵を入れる籠のサイズ。
基本、大人サイズなので子供たちは持ちにくそうだ。
子供たちサイズの籠を作ろうと思う。
村の清掃手伝い。
基本、各家庭で清掃はしているので、やることはゴミの回収だ。
所定の位置に置かれているゴミ箱を回収し、新しいゴミ箱を設置する。
……
ゴミ箱は重くはないが軽くもない。
サイズが子供たちが持つには少し大きいぐらいだな。
これも一輪の手押し車……では、ゴミ箱を運びにくいか。
ゴミ箱輸送専用の台車を山エルフたちに頼む。
水路やため池の清掃手伝い。
これは子供たち全員ではなく、リザードマンの子供が中心でやっている。
水路やため池に入った落ち葉や石などを取り除く作業。
注意点は、村から離れた水路に行かないこと。
魔物や魔獣が出て危ないから、村から離れた水路の清掃は大人のリザードマンの仕事になっている。
俺もやってみたいが……まだ水は冷たい。
無理。
何か作業を楽にする道具はと考えてみるが……
水中メガネ。
リザードマンたちは、そんなものを必要としなかった。
シュノーケルも不要。
……
すまない。
何か必要な物があったら言ってくれ。
遠慮しなくていいからな。
褒賞メダルも不要だから。
ハチミツ採取。
獣人族の女の子たちがザブトンの子供たちと協力して瓶や壷にハチミツを入れるので、それを回収するだけ。
すごく厳重に瓶の蓋がされているな?
子供たちが舐めないようにか?
違う?
妖精たちが舐めないようにと。
なるほど。
……
妖精が舐めにくるのか?
時々?
今度、妖精女王に言って、注意してもらおう。
大丈夫だ。
デザートに使うハチミツが減るぞと言えば聞いてくれるさ。
クロの子供たちの運動。
フライングディスクやボールを投げて、クロの子供たちを運動させると。
なるほど。
時々、俺がやっていることだな。
……
これ、別にしなくていいよな?
駄目?
凄い勢いでクロの子供たちが集まっているのだけど?
鍛冶手伝い。
鍛冶をするわけではなく、倉庫から鍛冶に使う道具や材料を持ってくるだけ。
ちゃんと指示されるので、それほど難しくはない。
子供たちの安全を考え、立ち入り禁止の場所もしっかり定められている。
特に問題はない。
問題はないが、気になる点はある。
ガットが丁寧に作業を説明しているところだ。
職人だから、見て覚えさせるのかと思ったけど違うんだな。
「何をやっているか教えたほうが、子供たちもやる気がでますから」
なるほど。
「それと、子供たちが鍛冶に興味を持てば……という下心も少し」
わかる。
俺も誰か一人ぐらい、農業に興味を持って欲しいと考えなくもない。
料理手伝い。
作業内容は食材を洗うことと、皮剥きなどの下拵え。
子供たちは、ナイフを器用に使いながら皮を剥いていく。
俺より上手いかもしれないが……危なくないか?
正しい持ち方でナイフを扱えば、指を落とすことはない。
万が一の時は、治癒魔法を使うと。
そうか。
それは安心だが……
ガットに頼んで、ピーラーを作ってもらった。
使い方は、ここを皮に当てて……こう。
歓声があがった。
おもに鬼人族メイドたちから。
ははは。
俺も初めてピーラーを使った時は、驚いた。
こんな便利な道具があるのかと。
どうして忘れてたのかな。
すまない。
ちなみに、刃を交換すればギザギザにカットできたりもするぞ。
はい、まずは子供たちと鬼人族メイドの分を作ってもらいます。
ガットすまない。
ふむ。
今の季節の子供たちの仕事は、こんなものになる。
軽く見ているつもりはなかったが、なかなか大変だった。
収穫直後だと、今回の作業に加えて作物を加工したり、樽や箱に詰める作業などもあるそうだ。
うん。
これまで、頑張って手伝ってくれているなと思っていたが、理解不足だった。
すまない。
改めて感謝する。
一応、改善できる点は改善したつもりだが、それは俺の目線でだ。
まだまだ不便なことがあるかもしれない。
遠慮なく言うんだぞ。
とりあえず、俺は子供用の籠を作ることにする。
卵を集める時に使う籠だ。
少なくとも、子供たちの数は作らないといけない。
山エルフたちは……一輪の手押し車やゴミ箱回収用の台車作り、頑張ってくれたからな。
籠は俺が頑張ろう。
……
ん?
どうした、アルフレート。
籠を作るのを手伝いたい?
ティゼルやウルザも?
自分たちが使う道具だし、俺が仕事を手伝ったお礼?
……
ありがとう。
それじゃあ一緒に作ろうか。
村長が教えるまでもなく、世界に最初からある調理器具。
・大工道具の鉋を逆さまにしたようなスライサー。
・おろし金。
・泡立て器。
一輪の手押し車=ネコ車です。




