猛吹雪のあと
猛吹雪が収まった次の日は、晴天だった。
太陽が雪に反射して眩しい。
さて、問題となるのが目の前の……俺の首ぐらいまで積もった雪だな。
これまでどれだけ積もっても五十センチぐらいだったのに、一気に記録を三倍に更新だ。
一階の扉を開けて驚き、二階の窓から見ているのだが……
この雪、どうすればいいんだ?
例年通りなら、雪はため池か川に放り込んでいるが、この量は現実的じゃないよな?
【万能農具】でなんとかなるかな?
俺が悩んでいると、クロの子供たちが窓から飛び出して雪に突っ込んだ。
そして、どうやっているのか知らないけど、雪を融かしながらそのまま潜っていく。
おおっ。
同じように、次々とクロの子供たちが雪に突っ込んで潜っていった。
クロの子供たちが潜ったあとは、綺麗なトンネルができている。
これで雪問題は解決するかな?
そう考えた時、少し離れた場所の雪がゴボッとへこんだ。
クロの子供たちが無作為に雪を融かしたから、トンネルが崩れたのだろう。
大丈夫か?
びっくりしただけ?
わかったけど、融かすのは計画的にな。
そう声をかけていると、遠くの雪がゴボッとへこんだ。
もうあんな場所に?
いや、違うな。
あれは小屋に避難したクロの子供たちだ。
その証拠に、次にへこんだ場所は屋敷に近付いている。
雪から顔を出して、方角を確認。
俺に気づいたのか、雪の上に出て一気にこっちにやってきた。
あ、待て。
その辺りは屋敷から出たクロの子供たちが雪の中を移動してたから……
遅かった。
違うぞ。
それは落とし穴じゃないからな。
落ちたからって、恥ずかしがることはないんだぞ。
クロの子供たちの活躍により、まずは屋敷の周囲の雪が融かされた。
一階から外出が可能に。
次にやるのは建物の各所にできたツララを折ることと、屋根の上の雪を下ろすこと。
ツララも屋根の上の雪も、落下したら危ないからな。
ツララは発見しだい、棒で叩いて折る。
ちょっと楽しい。
屋根は斜めになっているので地面ほど積もっていないけど、五十センチぐらいはある。
それをどうやって落とそうと考えていると、フェニックスの雛のアイギスが自信満々に出てきた。
任せろというなら任せるが……大丈夫か?
何をするかわからないが、建物にダメージを与えるのは駄目だぞ。
あと、鷲が凄く心配そうに見ているが?
わかった。
アイギス、お前の自信に溢れるその目を信じた。
アイギスは炎を纏い、飛び上がった。
おおっ。
その炎で屋根の雪を融かすつもりか。
……
こういってはなんだが、お前の炎と屋根の上の雪では、雪のほうが圧倒的な気がするが?
気のせいかな?
五分後、アイギスが涙目で戻ってきた。
いいんだ。
お前は頑張った。
鷲、悪いが慰めてやってくれ。
屋根の上の雪は、屋根に上って落とそうと思う。
問題は、どうやって屋根に上るかだな。
いつもなら、ルーやティア、グランマリアなど飛べる者に持ち上げてもらうのだが、今は飛べる者の大半が五村に行っている。
今いるのは……
クーデル、コローネ、キアービットたち天使族は、周辺警戒に出ている。
フローラは研究に没頭して完全に夜行性になっていて、朝食後に寝ると言ってた。
起こすのはかわいそうだな。
残るはマルビットとルィンシァ。
……
マルビットに身を預けるのはなんだか怖い。
ルィンシァはティアの母親だしな。
抱えられて飛ぶのはなんだか気恥ずかしい。
となると、どうすべきか。
自力で登るのは危ないし怖い。
うーむ。
仕方がない。
方法をかえよう。
ドラゴンの姿になったドースに、屋根の上の雪を払ってもらった。
ありがとう。
村の除雪作業をしながら、被害がないか小屋を見回っていると、ルーが五村から戻ってきた。
五村へ避難している者たちの代表として、村の様子を確認しにきたそうだ。
連絡が遅くなってすまない。
もう少し雪をなんとかしたら、連絡しようと思っていたんだ。
この雪だから、戻って来いと言われても困るだろ?
五村へ避難している者たちは大丈夫か?
五村は晴天続きで何も問題ない……あれ?
どうした?
どうして問題はなかったと言い切ってくれないのかな?
なにかあったのか?
子供たちが、五村の子供たちと揉めた?
五村の子供たちに、新入りと思われて……喧嘩になったと。
怪我は?
大丈夫?
そうか、よかった。
アルフレートが頑張ったのか?
凄いぞ。
揉めた子供たちの親が真っ青になって謝罪にきた?
いや、子供の喧嘩だろ?
子供のしたことだし、あまり大事にはしないように。
それで終わりか?
いや、続きがある?
え?
喧嘩のあと、ウルザとナートが五村の子供たちを片っ端から叩きのめして配下にした?
……え?
配下?
……
な、仲良くなったということでいいのかな?
仲良しグループを作ったみたいな。
違う?
……
ま、まあ、子供のすることだし、お、大事にはしないように。
仲良しグループは解散させるように。
子供でも数が揃うと危ないから。
もう遅い?
その仲良しグループと五村の警備隊がぶつかった?
ウルザはピリカとやりあった?
なにがあったんだ?
五村に避難して、まだ三日目だよな?
わ、わかった。
子供たちをこっちに戻せるように、急ぐ。
明日には受け入れられるようにするから。
遅い?
できれば、今すぐ?
わかった。
屋敷とダンジョンまでの道を最優先で除雪するから、それが終わったらで。
それでいい?
よかった。
あれ?
……
ルーが炎の魔法で屋敷からダンジョンまでの道の上の雪を融かした。
地面が見える。
「これで五村への避難組は、村に戻っても大丈夫よね?」
……了解。
本当になにがあったのだろう。
……
心の準備、必要かな。




