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収穫祭の反省会


 収穫祭の翌日。


 各村から来ていた者や来客が帰っていく。


 その時、代表者が祭壇前の三つにわけたお供え物の作物から一つを持ってかえる。


「この村の者は右の作物から。

 それ以外の者は左の作物から持ち帰るのが一般的かな」


 始祖さんがそう説明してくれる。


 どの作物を持って帰るかは自由。


 早い者勝ちだそうだ。


 その上、代表者が作物を持ったら急いで帰る決まりなので、来客を早々に追い払う意味があるのかもしれない。


 考えてみれば収穫祭は秋の終わり。


 冬に向けた準備の時に、言葉は悪いが客は邪魔だ。


 まあ、それは普通の村で、この村では余裕があるのでもう少し滞在してくれてもいいんだけど……


 挨拶をして帰っていく姿は、ちょっと寂しい。



「ところで、真ん中は?」


「神の取り分ですので、今日の昼まではこのままで。

 そのあとは村長が受け取ってください」


「了解」





 夜。


 屋敷の会議室で、収穫祭の反省会が行われた。


 参加者は……自主参加。


 結構な数が会議室に集まった。


 自主性が高いと考えるべきか、言いたいことが多いと考えるべきか。


 一回目の開催だ。


 問題点があって当然。


 意見が多いことを喜ぼう。



「カレーの辛さへの挑戦は、ある程度のところでとめるべきでしょう。

 辛いだけで美味しくなければカレーではありません」


 一村住人の意見に、魔王が深く頷いた。


 ちなみに、ビーゼル、ランダンは帰っている。


 魔王は明日まで、こっちで子猫たちと戯れるらしい。


 その魔王が手を挙げ、発言。


「野球の放送に関して、もう少しルールを浸透させる必要がある」


 確かに舞台で放送した名場面集は、野球のルールが浸透していなかったので反応がイマイチだった。


「野球のルールはややこしい部分が多く、見ていても理解できません。

 ルールを説明してくれる人が必要です」


 文官娘衆の一人の意見。


「それに関して、一案があるのですが……」


 放送部の代表、イレが手を挙げた。


「野球のルールを説明した映像を撮りましょう。

 これで、野球を浸透させるのです」


「さすがイレ。

 見事な考えだ。

 天才だな」


「ありがとうございます。

 魔王さま」


 イレと魔王は仲良くやっているようで、なにより。



「舞台のスケジュールですが、少し詰め込みすぎだと思いました。

 また、舞台を見ていると周囲のテントを楽しむ余裕がなくなります」


 ハイエルフの一人がそう意見を出す。


 これには多くの者が頷いた。


「テントで手がいっぱいで、舞台が見られなかったのが残念です」


「舞台の様子を各所で放送してくれましたが、数が少なく……」


 鬼人族メイドや、リザードマンたちからも、なんとかして欲しいと言われた。


 次回は、もう少しスケジュールに余裕を持つか、収穫祭を二日構成にして初日をテント、二日目を舞台にするとかのほうがいいかな?


 冬の間に考えておこう。



「妖精女王ばかり甘味を食べられてずるいとクレームが出ています。

 主に子供たちから」


「子供たちが来たら分けるように言っただろ?

 独占したのか?」


「いえ、ちゃんと分けたのですが子供たちに同行していた大人が止めたので」


 俺は会議に参加しているハクレンを見る。


「食べ過ぎると駄目だから、一人一つだけにしたんだけど。

 他のテントでも食べたりするだろうし」


 ハクレンは悪くない。



「子供たち専用の休憩場所は、評判が良かったです」


 山エルフの一人がそう報告してくれる。


 ただ、休憩場所のメインは子供たちの面倒を見ている大人で、子供たちは常に外に行きたがるので大変だったそうだ。


 来年は、子供たちが喜びそうな玩具か何かを置くのがいいかもしれない。



「あと、舞台の進行ですが、ポンドタートルが舞台に上がりにくそうでした」


 確かに。


 ポンドタートルは亀にしては移動速度が速いが、階段で少してこずった。


 途中で気づいた巨人族が舞台の中央まで運んでくれた。


 事前にスロープなどを用意すべきだった。



 他に収穫祭をやっている間の警備体制の問題。


 キアービットたち天使族と、クロの子供たちが普段通りに頑張ってくれたが、そのために収穫祭には十分に参加できなかった。


 やはり、来年は二日開催にすべきか。


 しかし……


「文官娘衆の負担はどうだ?

 今年は始祖さんが収穫祭の仕切りをやってくれたが、来年は俺たちでやる予定だが?」


「武闘会に比べると楽ですね。

 事前に舞台スケジュールやテントでの内容が報告されたのが大きいです」


 それはよかった。


 正直、俺は武闘会のほうが楽だったんじゃないかなと疑っていた。


「武闘会は住人の大半が参加しますし、全員がそれなりに熱中しますから……あと、当日に無茶振りをする方が多く」


 無茶振りをするのは俺じゃないよな?


 ドースとかギラルとかだよな?




 とりあえず、反省会で色々な意見が出たことを喜ぼう。


 改善し、来年につなげたい。


「村長。

 今さらになってしまうのですが……」


 文官娘衆の一人が、手を挙げた。


「なにかな?」


「村長の作った焚き火台、今も燃えていますがどうしましょう?

 消そうと思って水をかけても小さくなるだけで、消えないんですけど」


 ……


 考えないようにしていたのに、見つめさせられた。


 問題を起こした火だからなぁ。


 始祖さん、意見は?


「石製の焚き火台を作り、そこに火を移して村のオブジェにするのはどうかな?」


 そうすることにした。




 翌日。


 石製の焚き火台の設置場所は居住エリアに。


 転倒しての火災が怖いので、石製の焚き火台の形は台形。高さは一メートルぐらいに収めた。


 子供たちが接近して火傷しても困るので、周囲に柵を張り巡らせる。


「この火、手を入れても熱くないのですけど?」


 獣人族の女の子が火に手を入れて大丈夫とアピールするが、心臓に悪いことをしないでほしい。


「この火は大丈夫でも、他の火だと火傷するだろ。

 子供たちに変なことを覚えさせないためにも、柵は大事」


 柵をガッチリ作る。


 万が一を考え、周囲に水を置いておく場所も。


 あー、クロの子供たち、フェニックスの雛のアイギス、わし


 それは水飲み場じゃないからな。


 いや、まあ活用してくれるならそっちのほうがいいか。


 クロの子供たちは大丈夫だろうけど、アイギスと鷲は火に注意するんだぞ。


 火傷しないとはいえ……アイギス、火に飛び込むんじゃない!


 心臓に悪いから。


 まったく。





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― 新着の感想 ―
アイギスはフェニックスだから、「忍法、火の鳥!」なんて やってるのかな?(笑)
やっぱフェニックスだから火が好きなのかな?
武闘会の方も面白いのだが。
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