表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
441/978

番外 ルーの研究

2018/06/26 自転、公転関係の説明をちょっと修正。


 ご飯時、ルーがうなっていた。


 転移門の研究が上手くいっていないからだ。


 ここ数日、眉間にシワが寄っている。


 せっかくの栗ご飯を食べながら、そんな顔をされるのは不本意だ。


 だが、俺には手助けはできない。


 ルーの研究内容が、全然理解できないからだ。


 魔力の流れがどうとか、精霊の干渉がどうとか、星の位置がどうとか、俺にはハードルが高過ぎる。


 しかし、だからと言って妻が悩んでいるのをそのままにしていいのか?


 夫として、やれることがあるのではないか?


 俺は食後、ルーに話しかけた。


「ルー。

 研究で困っている部分を俺に説明してくれないか?」


「え?

 でも……」


「俺が理解できたり、何か解決策を考えられるとは思ってないさ。

 ただ、人に説明することで考えをまとめることができるだろ」


 俺ができること。


 それは聞き役となることだ。



「それでね、この二つの数値が太陽を基準にしているみたいなんだけど、設置した場所によって増減が違うの。

 その理由がわからないのよ」


「どう違うんだ?」


「えーっと、わかりやすく言うと。

 一つ目の場所だと、基準が十で、一つずつ増えていくの。

 で、二つ目の場所だと、基準が十一で、二つずつ増えていくの」


「ほうほう」


「三つ目の場所だと、基準が十一で三つずつ増えて……四つ目の場所だと、基準が十で二つずつ増えていく。

 そんな感じでわけのわからないのが二つもあるのよ。

 ああ、実際に数字はもっと多いし細かいわよ。

 一つとか二つはわかりやすく説明するためだから」


「ありがとう。

 設置場所によって変化する太陽を基準にして二つの数値か……要素として考えるなら普通は自転と公転だよな」


「……え?」


「いや、自転と公転」


「なにそれ?」


「え?」


 ……あっ。


 ここはファンタジー世界。


 太陽が動いて、大地が平らな可能性もあった。


 なにせ夜空には月が二つあるしな。


「すまない忘れてくれ」


「駄目。

 詳しく」


 ルーの目が少し怖かった。



 俺はルーに自転と公転を教えた。


 自転は地球が回る動き。


 公転は地球が太陽の周囲を回る動き。


 それをとても簡単に教えた。


 太陽に対しての傾きのある自転、太陽を中心に少しずれた楕円形の公転軌道だからこそ、季節の変化があると。


「そんな馬鹿なって言いたいけど、今まで説明できなかった色々なことが説明できてしまう」


 よかった。


 前の世界と同じ地動説が通用した。


 つまり、大地は球形。


 しかし……


「大地が球形なのは知られていないのか?」


「そう言われていた時代もあるけど、誰も証明できなかったから……

 今は、大地はゆるやかな半球形というのが定説よ」


 ……


 大空を飛びまわるドラゴンの代表として、ハクレンに聞いてみた。


「大地は球形に決まってるでしょ」


 ルーは膝から崩れた。


「ちなみにそれ、子供たちに教えちゃってるけど?

 駄目だった?」


 駄目なことはないぞ。


 だが、ルーへの追撃になってしまったな。


 ルー、大丈夫か?


 起き上がれるか?


 駄目か。


 今日はそのまま寝ると。


 わかった。



 翌日から、ご飯時にルーは唸らなくなったけど、少し遠い目をするようになった。


「私もハクレンさんの授業に出ようかな」


 どう返事すればいいかわからなかったので、俺は黙ってご飯を食べることにした。


 すまない。


 俺は無力だ。


 ルーが本調子になるまで、十日ほど掛かった。




番外エピソードです。

購入特典のSSみたいな物とお考えください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
悲しい笑いさんめちゃくちゃその気持ちわかります― 自分で小説書いたこともないくせにうざいんですよねー
2025/08/12 11:07 いつもの景色
下の方、ごちゃごちゃうるさい。文句があるなら読むな。新規で設定考えるのがどれだけ大変かなんもわかっちゃいない。
2025/07/01 00:12 悲しい笑い
ハクレンは衛星軌道でも飛行可能ですからね〜、ISSが高度400㌔でそこそこ◯く見える。 ISSのLIVEカメラの映像が常に見れるアプリも有ります。 見てると高度計が毎秒百メートル下がって、バーニアを吹…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ