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村長の行進


 朝。


 日が昇ると同時に行進がスタートする。


 スタート場所は、屋敷の正面四百メートルぐらいの場所。


 そこから、屋敷に向かう。


 最初は馬に乗った俺だけ。


 俺の服装も、華美なものではなく質素……質素かな?


 真っ白で、高級そうな生地だ。


 周囲には誰もいない。


 まあ、少し先にいるのは見えているんだけど。


 少しの間、俺と馬だけ。


 久しぶりの乗馬になるが、なんとか様になっているだろう。


 馬の機嫌も良さそうだ。


 ははは。


 行進、これで終わればいいんだけどな。


 そうはいかないよな。



 最初に待っていたのは、フェニックスの雛のアイギス。


 俺の乗った馬を先導するようにゆっくりと飛ぶ。



 次に待っていたのがクロとユキ、そしてマクラ。


 本来ならザブトンが待っているはずなのだが、ザブトンは俺の衣装係に専念するそうだ。


 マクラが代役になった。


 クロとユキが俺の右側に。


 マクラが俺の左側に並んで歩く。


 この辺りから周囲に見物客が立ち始め、拍手で俺たちを送ってくれる。


 恥ずかしいが、手を振って応える。



 もう少しで屋敷というところで待っていたのが、着飾ったウルザ。


 ウルザも合流するが、その前に俺に剣と盾を渡す役目がある。


 馬の上からだと受け取りにくいが、俺は馬から降りちゃ駄目なんだそうだ。


 どうするのかと思ったら、ウルザの後ろに控えていた鬼人族メイドのラムリアスが踏み台を持ってきてセット。


 ウルザがそれに登って、俺に剣と盾を渡してくれた。


 剣も盾もガットが今日のこのパレードの為に作ったものだ。


 かなり気合の入った作りで、ガットの拘りがわかる。


 俺は盾を左腕に装着し、右手に剣を持つ。


 刃が剥き出しなのは怖いなぁ。


 鞘は……あ、ラムリアスが持ってくれるのね。


 ウルザ、ラムリアスは俺の少しあとを追うように同行。


 俺は剣を掲げたまま、屋敷に向かった。


 途中、俺が剣を持つ様子を見て、ガットが大泣きをしていた。


 そこまで泣かなくても。



 屋敷の前に到着。


 誘導してくれていたアイギスが、屋敷の屋根に止まる。


 まず迎えてくれるのは綺麗にならんでいるクロの子供たち。


 みんな凛々しい顔をしている。


 クロの子供たちに混じって、ふたまわりぐらい大きなフェンリルたちも並んでいる。


 フェンリルの子供も大きくなったな。



 続いて、ザブトンの子供たち。


 マクラが片足を上げて合図すると、全員が一斉にポージングを決めた。


 ははは。


 カッコイイぞ。


 アラクネのアラコも綺麗に着飾って並んでいる。


 ポージングは大人しい感じだな。



 俺はここで剣をラムリアスの持っていた鞘に収め、馬から降りる。


 ありがとう。


 ご苦労様。


 クロ、ユキ、マクラ、ウルザ、ラムリアスともここで一旦別れ、先に進む。



 先で俺を待っていたのは、ドース、始祖さん、魔王。


 俺は盾をドースに、剣を鞘ごと魔王に渡す。


 そして始祖さんの前で頭を下げ、冠を載せてもらう。


 よく知らないが、この辺りは昔の神事をモデルにしているそうだ。


 文官娘衆に任せたらそうなった。


 文句はないので予定通りに。



 俺は三人に礼を言って、屋敷前に建設された櫓に登る。


 今年の櫓は、去年よりも低く車輪が大きめだ。


 その代わり、櫓の上は広くなっている。


 櫓の上にはザブトンが衣装を持って待っていた。


 服を早着替え。


 一回目は真っ赤なマントを羽織った王様っぽい感じの服。


 これ、いままで見たことがないけど?


 昨日、思いついて作った?


 自重がなくなっているなぁ。


 でも、ザブトンが俺のために作ってくれたのだ。


 文句はない。


 俺は櫓の一番前に。


 そこからみえるのは、数基の櫓と集まった多くの村人たち。


 乱雑にいるのではなく、種族ごとや村ごとに集まっているのがわかる。


 そのみんなの視線が俺に集まる。


 緊張する。


 だが、ここは大事な場面だ。


 文官娘衆たちから、何度も言われた。


 怯んでられない。


 俺はゆっくりと片手を上げる。


 空気が震えるほどの歓声が沸きあがった。


 これからがパレード本番。




 ハイエルフ、山エルフ、獣人族、文官娘衆で構成された音楽隊が、賑やかな音楽を奏でる。


 そして、屋根の上にいたアイギスが飛ぶ。


 パレードの先導はアイギスだ。


 俺のいる櫓の前を通り、あらかじめ定められている進路に向かう。



 続いて動き出したのが魔王が率いる一団。


 一団の中心にあるのは車輪の付いた櫓ではなく、神輿。


 担ぎ手は四村よんのむらの悪魔族、夢魔族を中心とした希望者。


 神輿の上に誰もいないと思ったら、俺の前の辺りで魔王が魔王軍の旗を持って搭乗。


「魔王軍が栄誉ある先陣をたまわった!

 我らが遅れたら後ろがさらに遅れる!

 急ぐぞ、進めぇ!」


 ビーゼル、ランダン、グラッツは歩きながら神輿に同行するようだ。


 ホウはどうしたのかなと思ったら、ホウは神輿に乗っていた。


 魔王より目立たないようにしながら、担ぎ手に速度を指示している。



 二番手は、ラミア族の一団。


 先頭は族長のジュネア。


 ラミア族を模した旗を持ち、興奮気味に二十人ほどのラミア族を率いている。


 ジュネア以外の全員が持っている長めの槍の動きが揃っており、見事だ。



 三番手は、クロとその子供たち。


 クロを先頭に、少し下がった場所にユキ。


 その後ろにクロイチ、クロニ、クロサン、クロヨンを先頭にした列が続く。


 綺麗な列だ。


 ははは。


 心配しなくてもちゃんと見ているぞ。



 四番手は、ドラゴン一家。


 ドラゴン姿のドース、ヒイチロウ、ライメイレン、ドライム、グラッファルーンが歩く。


 道が狭そうで申し訳ない。


 ヒイチロウ、余所見をせずにドースに付いていくんだぞ。



 五番手は、一村いちのむらの一団。


 ここも車輪付きの櫓ではなく、神輿。


 担ぎ手は一村住人。


 ただ、さすがに数が足りないので、リザードマンたちが応援として参加している。


 神輿の上には、一村代表のジャックと、ニュニュダフネのイグ。


 緊張したように俺に挨拶していった。



 六番手は、巨人族の一団。


 五メートルぐらいの車輪付きの櫓を引っ張っている。


 櫓は大樹の村の山エルフが作った。


 巨人族でも乗れるように低めにして、頑丈さを優先したようだが、誰も乗っていない。


 かわりに、なぜか大樹の村で採れた穀物が置かれていた。


 去年の秋に収穫したやつだ。


「大樹の村が渡した食料で、冬を無事に越せたとの喜びを表現しています」


 俺に飲み物を持って来てくれた鬼人族メイドが説明してくれた。


 それはわかったが……


 わざわざ余った穀物を持って来たのか?


 さすがにそれは手間だろう。


 今度、代わりになる像でも乗せるように。


 彫っておくから。



 七番手は、天使族の一団。


 櫓はティアのゴーレムが引いている。


 櫓の上には……マルビットだな。


 喜んでる。


 あ、横にいたルィンシァに殴られた。


 グランマリア、クーデル、コローネ、キアービット、スアルリウ、スアルコウの六人は、櫓の上空で編隊を組んで飛んでいる。


 お揃いの武器……クロの角を装備した槍だな。


 どこかでドーンとやるのかな?


 安全第一でお願いしたい。


 六人が編隊を崩したと思ったら、ハーピーの一団が合流。


 六つの新しい編隊ができた。


 なかなかの航空部隊。



 八番手は、ドワーフの一団。


 全員、斧と盾を装備した戦士の格好。


 似合っている。


 しかし、なぜ全員の背中に身体と同じぐらいの樽を背負っているのだろうか?


 まさか酒樽?


 中身、入ってないよな?


 ドワーフの一団は、天使族の一団を追いかけない。


 進路が少し違うようだ。



 そのドワーフの一団を追いかけるのは、九番手の子供たちの一団。


 ウルザ、アルフレート、ティゼル、リリウス、リグル、ラテ、トライン、ナート、グラルが乗った櫓を中心に、進む。


 櫓を引いているのは二村のミノタウロス族。


 その周囲に三村のケンタウロス族が揃いの武器で警護している。


 うんうん、みんな着飾っていて似合っているぞ。


 ウルザは……さっきの服と違うな。


 移動用と櫓の上用で二種類あるのか。


 ウルザも大変だな。


 いや、本人は喜んでいるみたいだから問題はないか。


 櫓の上の子供たちの周囲には、鬼人族メイドと妖精女王の姿がみえる。


 何があっても大丈夫だな。



 十番手は、ハイエルフ、山エルフ、リザードマンと獣人族、文官娘衆の一団。


 大樹の村の住人だな。


 音楽隊やパレードの進行で人数を取られているから、まとめて櫓を一基だけなのかな?


 櫓の上には、始祖さん、フーシュ、ヨウコ、ヒトエ、聖女セレス、リグネ、先代四天王の二人。


 ……


 もう少し、大樹の村の関係者を揃えられなかったものか。


 いや、ヨウコ、ヒトエ、聖女セレスは村に住んでいるけど。



 最後、十一番手は、ザブトンの子供たち。


 アラクネのアラコが先頭で、マクラが最後尾。


 あいだに、様々なサイズの子供たちが揃って行進している。


 立派だぞ。


 おっと、小さいのが足をもつれさせた。


 大丈夫か?


 大丈夫なようだ。


 よかった。




 そして、俺のいる櫓が動き出す。


 最後尾ではなく、七番手の天使族の一団と、八番手のドワーフの一団の間に入る。


 スムーズに入れるように、そして遅れないように計算された進路をそれぞれがとっているので問題ない。


 俺の櫓を先導するのが死霊騎士の三人とライオン一家のお父さん。


 その後ろに、四村のベル、ゴウを中心としたマーキュリー種の一隊。


 そして四村の悪魔族、夢魔族が続く。


 さらにその後ろに三村のケンタウロス族の一隊。


 二村のミノタウロス族の一隊。


 俺の櫓。


 俺の櫓にはルー、ティア、リア、アン、ハクレン、フラウ、セナ、ラスティが登ってきていた。


 全員、白基調の服で色鮮やかな花を手に持っている。


 似合っております。


 ん?


 酒スライム、猫も登ってきたのか?


 ははは。


 かまわないぞ。



 途中、パレード参加者と見物客の交代もあるそうだ。


 いっそ全員でパレードに参加したらと思うが、見物客がいないと盛り上がらないらしい。


 確かにと思う。


 あと、生まれたての子供の世話をしている者や、食事の準備をしている者、村を警備している者など、参加したくてもできない人がいることを忘れてはいけない。


 助かっています。


 俺はルプミリナやオーロラを抱えた鬼人族メイドたちに手を振りながら、そう感謝した。




 パレードは始まったばかり。


 俺は櫓の上で座っているだけでいいらしいが、衣装チェンジの回数だけ出番があるということ。


 気は抜けない。


 俺の衣装チェンジのためにザブトンはここにいるもんな。


 一緒に頑張ろう。


 あ、そろそろ衣装チェンジね。


 了解。





行進の説明だけで終わってしまった……


感想、ありがとうございます。

なかなか返事が返せませんが、読んでおります。

それと、レビューありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
村長の行進 タイトルだけでにやけてしまう。 内容は・・・覚悟していた以上のすごさ。 これがあるから読むのをやめられない。
戴冠式かなんかのパレードかw しかも先導を魔王(魔王軍)がやるのかw
[一言] あー、帝国創立ですねー。 後年、ここが帝国暦元年になりそー笑
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