秋の収穫の援軍
ルプミリナとオーロラを可愛がりつつ、中庭に衣装小屋と妖精女王の像を納める社を作った。
衣装小屋は屋敷の近くで二階建て。
一階にはマネキンを置き、衣装を飾る場所に。
二階は収納中心。
そんな風にしたから、ちょっとしたお店のようにみえる。
置いているのは俺の服しかないけど。
できれば、子供たちの服とかも作って飾って欲しい。
この衣装小屋。
思いのほか、ザブトンが喜んだ。
テンションが上がった感じかな?
物凄い勢いで衣装を作り始めている。
確認するけど、それって俺の服かな?
あ、うん、ありがとう。
できれば、キラキラは少な目で。
肩もそんなに張り出さずに。
その、棒はなんだ?
背負うの?
ああ、後光を表現していると。
昔、俺が創造神像を作った時にやったやつだな。
なるほど。
……
俺の服も嬉しいが、子供たちの服も頼むぞ。
新しい子供もまだまだ増えるしな。
え?
そっちはもう用意している?
男女それぞれ十着ずつ?
季節ごとにあるから……全部で八十着?
……
どこかで一日、ザブトンがプロデュースするファッションショーを開こう。
俺、頑張るから。
そう心に決める俺だった。
妖精女王の像を納める社は、村の住人の意見を取り入れてできるだけシンプルに。
社というより土汚れ防止のための台と、雨避けの屋根があるだけだ。
周囲は屋根を支える柱だけで、開放的。
これぐらいで構わないとのことなので余計なことはしなかった。
翌日、その社を見にいくと周囲は緑で一杯になっていた。
ツタの一部が像に巻きついている。
凄い成長だが……俺は【万能農具】で何もしていないぞ?
となると、これをやったのは妖精女王かな?
本人に聞いてみたが、知らないとのこと。
よくわからないが……実害がないなら気にしない。
不思議なこともあるもんだ。
そうそう、妖精女王。
この台の上にあるのは自由にしていいぞ。
誰かが設置した台の上には、森で採取したであろう木の実や花などが並べられている。
妖精たちも好きにしていいからな。
俺からは……三十センチぐらいにカットしたサトウキビを数本。
置いた瞬間、妖精たちが群がった。
さすがに妖精女王は飛びつかなかったか。
ははは。
わかっている。
あとでプリンを渡すから。
今年の秋の収穫は、少し大変だった。
人手が足りない。
原因は俺が畑を広げたこともあるが、主に出産と育児に手を取られている。
うん、産まれた。
ハイエルフの二人、山エルフの三人が競うように出産した。
ハイエルフの二人は両方とも女の子だ。
可愛らしい。
山エルフの三人は、男の子二人と女の子一人。
女の子の泣き声が誰よりも力強く、ビックリした。
一気に子供が五人増えた。
そしてバタバタしていると、獣人族の女の子二人が出産。
二人とも男の子だった。
ルプミリナとオーロラを合わせ、子供が九人も増えた。
嬉しいが、どうしても人手がそっちに取られてしまう。
困った。
困ったところで、救いの手が伸ばされた。
ユーリが五村に赴任する際に連れてきた文官たち。
十八人が厳しい訓練を乗り越え、大樹の村にやってきた。
阿鼻叫喚だった。
そ、そんなに怖がらなくても。
クロの子供たちが落ち込んでいるじゃないか。
ザブトンの子供たちも。
いや、驚き過ぎじゃないか?
文官娘衆が来た時は、同じように気絶していたけど、ここまでじゃなかっただろ?
「私たちは事前にラミア族と出会っていましたから……」
そう答えた文官娘衆の一人は、すごく遠い目をしていた。
あ、うん、そうなんだ。
新しく文官娘衆に加わる十八人は、しばらく使えない。
救いの手にはならなかった。
残念。
仕方なく、他に助けを求めた。
いち早く応えてくれたのがライメイレン。
うん、ヒイチロウの世話をしてくれるだけでも十分助かる。
ただ、待ってたよね?
すごく近くで待ってたよね?
だって、まだ小型ワイバーンに手紙を持たせているところだもん。
いや、構わないんだ。
ありがとう。
助かる。
ライメイレンに遅れること数時間。
ドライムと共に二十人ほどの悪魔族がやってきた。
ライメイレンが子育てを手伝わせるために、前々からドライムの巣に送り込んでいた悪魔族だそうだ。
ただ、見慣れぬ者に生まれたばかりの子を預けるのを母親たちが嫌がったので、畑の収穫作業を手伝ってもらった。
不慣れな作業をさせて申し訳ない。
できればその綺麗な執事服とかじゃなく、農作業に向いた汚れてもいい格好でお願いします。
ドライムは無理しなくていいぞ。
ラスティとラナノーンのところにいてくれて。
あ、ラスティにこっちを手伝うように言われたのね。
じゃあ、頼む。
この辺りの畝を崩すから、ダイコンを回収してくれ。
俺はドライムと協力しながら収穫を続ける。
数日もすれば新しい文官娘たちが復活するだろうし、これで収穫が間に合うだろう。
間に合ってほしい。
夜。
悪魔族に子供を預けなかった母親たちが我侭を言ったと謝りに来たが、それぞれ初めての子だし、気持ちはわかる。
俺も預けろとは言わない。
それよりも出産してまだ日がそれほどたっていない。
無理をしないように。
夜は寒くなる日もあるから、ちゃんと温かくして寝てほしい。
十日後。
ドースが悪魔族をさらに二十人ほど連れて来てくれたので、収穫は無事に終わった。
ありがとう。
お手伝いに来てくれた悪魔族たちのために宴会を開く。
これぐらいはさせて欲しい。
ドライムも当然、参加だ。
遠慮しなくていいぞ。
「私は世界一、ダイコンの収穫が上手いドラゴンなんだぞ」
宴会で周りにそう自慢するドライムに、ちょっと申し訳ない気持ちになった。
もっとドラゴンらしい仕事を頼めばよかったかな?
しかし、ドラゴンらしい仕事ってなんだろう?
更新が安定せず、すみません。




