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ゴロック族と猫の名前


 俺は獣人族の男の子たちの手紙を読みながら、思い出す。


 出発前、ささやかな送迎会をやった。


 あれから三ヶ月か。


 ……


 あれ?


 それなりに忙しかったのだが、印象に残っているのは三つしかない。


 収穫とお祭り実行委員会。


 それと、魔王と新しく生まれた子猫たちの教育方針相談。



 春の収穫。


 今年も豊作だった。


 収穫が大変で、畑を広くし過ぎたかなとちょっと反省。


 でも、新しく生まれてくる子供たちのことを考えると頑張らねば。


 もちろん、生まれている子供たちの為にも。



 お祭り実行委員会は、今年の祭りに向けて準備に入った。


 文官娘衆たちが、頑張っている。


 頑張り過ぎている気がする。


 五村で勉強中の新しい文官娘たちが、良い刺激になっているのかもしれない。



 魔王は四~五日に一度は屋敷に来て、今年生まれた子猫たちをでていた。


 守っていたとも言える。


 その成果だろうか、今年生まれた子猫の一匹であるサマエルにやたらと懐かれている。


 羨ましい。


 ただ、客室の椅子に座り、膝の上に乗せたサマエルを相手に日頃の愚痴を言うのはどうなのだろう?


 それなりに機密っぽいことを言っている気もするのだけど、俺は耳に入っても聞かなかったことにしている。


 ユーリに対する愚痴は、本人に言えば良いんじゃないかな。


 時々というか頻繁にこの屋敷に来ているぞ。


 食事目的で。



 ちなみに、今年生まれた他の子猫たちが一番懐いているのはフェニックスの雛のアイギス。


 アイギスとしては、自分より小さい存在が嬉しかったに違いない。


 雛なのに、子猫たちの世話を頑張っていた。


 まあ、世話といっても近くにいる鬼人族メイドや魔王を呼ぶだけなのだが、それだけでも十分に助かっている。


 仲が悪いよりは、全然良い。


 これからも仲良くやって欲しい。





 東のダンジョンに住むゴロック族との会談の場が整いつつある。


 最初の遭遇というか、東のダンジョン調査隊との不幸な行き違いでゴロック族を負傷させてしまい、なかなか挨拶できずにいた。


 俺の方から出向こうかとも思ったのだけど、周囲に止められた。


 ゴロック族の回復を待ち、出迎える方が良いと。


 大半の者がそういうので、それに従った。


 結構というか、かなり時間が経った気がする。


 まあ、それもあと数日。


 ゴロック族は使節団を結成し、こちらに向かっている。


 会談の調整を担当したハイエルフの苦労も実るというものだ。



 が、ここで問題が発生。


 大樹の村に向かうゴロック族の使節団、道中で巨大な猪に遭遇。


 死者は出なかったが、大半が負傷してしまったらしい。


 ……


 ゴロック族。


 別名、ストーンマン。


 全身が岩で出来ており、ダンジョン内では岩に擬態して身を隠し、コケなどを食べて生活している種族。


 森ではその擬態が通用しなかったのだろうか。


 ともかく、ダンジョンの外に出すようなことになって、申し訳ない。


「ゴロック族が回復したら、俺の方から出向こう」


「ですが、それは……」


「こっちから護衛とか案内を出すのは駄目なんだろ?」


 なぜかはわからないが、そう言われている。


 ならば仕方がないじゃないか。


 色々と揉めたけど、最終的に俺の意見が通った。


 まあ、会いにいけるのは先の話だろうけど。


 とりあえず、ゴロック族にお見舞いの手紙を書き、会談の調整をしていたハイエルフをねぎらう。


 たぶん、会談が流れて一番ガッカリしているだろうから。





 俺の部屋で横になって寝ているクロのお腹の上で、アイギスと今年生まれた子猫たちが寝ている。


 微笑ましい。


 サマエルもいるから魔王は来ていないか。


 そういえば、今年生まれた子猫たちも全てめすだった。


 父猫の肩身が狭そうだ。


 その父猫なのだが、色々と不便なので名前が付けられた。


 ライギエル。


 名前候補から、俺がクジで決めた。


 なんでもいにしえの魔法の神様の名前らしい。


 壮大な名前になってしまった。


「おーい、ライギエル~」


 ……


 無視されるかと思ったけど、かなり反応がいい。


 ひょっとして、気に入ったのかな?


 問題がないなら、よかった。


 しかし、妙に気恥ずかしそうだな。


 なんだったら、名前を変えようか?


 ……


 必要ない?


 そうか。


 よしよし。


 ところで姉猫たちはどうした?


 子猫たちが新たに生まれたので、これまでの子猫たちを子猫たちとは呼びにくくなった。


 なので、姉猫たちと呼んでいる。


 身体も大きくなっているしな。


 ……


 姉猫たちはあっち?


 天井のはりの上に四匹の姉猫たちがいた。


 あんなところに隠れて何をしているんだ?


 子猫たちを見張っている?


 親馬鹿ならぬ、姉馬鹿なのか?


 無関心よりはいいが……


 俺の知っている猫とは生態が違うなぁ。


 ん?


 サマエルが起きた。


 ビーゼルが魔王を連れて来たようだ。


 便利だが、少し嫉妬。


 サマエル、俺はどうだ?


 今なら膝の上が空いているぞ。


 俺は座って膝を叩いたけど、サマエルは気にせずに部屋から出ていった。


 ……


 俺の空いている膝の上には、入れ替わりに部屋に入ってきたユキが頭を乗せた。


 ありがとう。





更新速度を取り戻したい。


ライギエルは完全創作名です。

一応、被らないように調べたから大丈夫なはず。

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― 新着の感想 ―
ここでようやく魔神さまの名前が判明。そういえば獣人族の娘さんも何人か妊娠してたんですね。読み返しで発見する事実。獣人族移住後に獣人族の娘さんに手を出していない的発言と褒賞メダルでの子作り固辞は覚えてい…
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