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異世界のんびり農家 作者:内藤騎之介
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畑とエビとサクラ


 耕す。

 思いっきり耕す。

 気持ちがいい。

 だが、調子には乗らない。

 大樹の村の畑の大きさは去年と同じ。

 このあと、一村いちのむら二村にのむら三村さんのむら四村よんのむらを回って新しい畑作り。

 各村で畑にする場所や育てる作物を決めておいてもらったのでスムーズ。

 耕したりない分は、大樹のダンジョンの中を耕す。


 温泉地のアサから依頼があり、温泉地から少し離れた場所に畑を作る。

 果樹も欲しいのね。

 了解。


 南のダンジョンの出入り口付近と、北のダンジョンの出入り口付近に畑を作りに行く。

 冬の間に行った時、ラミア族が畑作業に関して興味あったようなので。

 でもって、ラミア族の為だけに作るとあれかなぁと思って、巨人族にも打診したら是非にと。

 小さい畑なので収穫物はそのままラミア族と巨人族で食べてくれて構わない。

 本格的に畑作業がしたくなったら、声を掛けてくれ。


 最後に五村ごのむら

 ここが一番、気をつかう。

 なので最後になった。

 まず、着替え。

 はい、ちゃんと良い服を着ましたよー。

 挨拶。

 はい、こんにちは。

 あがめなくていいからねー、手を振るぐらいで……誰かな? 万歳三唱を教えたのは!

 ここ、魔王国領だからね。

 魔王がみたら勘違いするようなことは駄目だぞー。

 挨拶に来るのが遅くなってすみません。

 でも、冬の間にそれなりに来たと思うけど?

 今年も一年、よろしく。

 貢物はいらないからね。

 あー、受け取らなきゃ駄目と。

 では、ありがたく。

 あ、直接受け取るのも駄目と。

 ここは一度、ヨウコが受け取って……ヨウコの前に、マーキュリー種のヒーが受け取るのね。

 面倒だなぁ。

 いや、貢物の目録を作っているロクの方が面倒だよな。

 はい、頑張ります。


 貢物の受け取りに半日掛かった。

 その後、宴会。

 宴会といっても、挨拶攻めによって俺はほとんど食事できない。

 これは嫌がらせだろうか?

 もう少し、俺のことを考えてだな……

 顔を見せる機会が少ないからこうなる?

 そう言われてもだな。

 それに、五村の代表はヨウコだぞ。

「我は村長代行であろう?」

「いや、そうだけど」

 俺よりヨウコと顔を繋いだ方が利益があると思うけどなぁ。

 まあ、笑顔で挨拶。

 疲れる。

 だが、今日一日だけだ。

 我慢。


 翌日、やっと作業。

 うん、門番に不審に思われるぐらいが丁度良い。

 作業は五村の小山の上。

 本来なら、屋敷が出来た時に何かを育てる予定だったのだが、ピリカの件で後回しにしていたら冬になってしまった。

 申し訳ない。

【万能農具】なら冬にやっても育つのかもしれないけど、作物のことを考えると無理はしたくない。

 食料難なら考えるけどね。

 ダンジョンイモが頑張ったのか、魔王国内には食料が十分に行き渡っている。

 今年の冬は、餓死者が出なかったらしい。

 ただ、来年ぐらいからは食料の値下がりを気にしなければいけないらしい。

 丁度良いが、ずっと続いてくれたらいいのだけど、世の中は難しい。


 五村の小山の上には緑が少ないので、果実をつける木を育てることにした。

「大樹の村の宿の近くの木、あれを何本か頼む」

 ヨウコの要望だが、宿の近くの木ってなんだっけ?

 背の低いヤツじゃなくて……ああ、サクラか。

「あれ、観賞用で食べられる実をつけないぞ?」

「代わりに、あの美しい花を咲かすのであろう?
 そういった余裕も必要だと思うが?」

 確かに。

 ああ、ヨウコが最近、宿の方に行っているのはそれだったか。

 今が咲き始めだからな。


 では、一部にサクラを集中的に植えてみよう。

 数年かかるが、満開の日はここで花見も楽しいかもしれない。

「花見とは?」

「ん?」

 言葉にしてしまったか。



 その日の晩。

 大樹の村で、花見を行うことになった。

 俺は花見を説明して、各自が動く。

 まあ、花見とは言っても、サクラの近くでやる野外宴会だ。

 宴会ならみんな慣れている。

 そう問題は起こらない。

 手の空いているニュニュダフネが集まり、提灯の代わりに夜を輝かせてくれた。

 サクラのライトアップにもなっているな。

 木の長椅子には赤く染めた布を被せ、ちょっと高級感。

 音楽は静かな感じで。

「なるほど、なるほど」

 ヨウコが思いのほか、喜んでいる。

 まあ、五村で苦労させているからな。

 これぐらいは構わないか。


「村長、持って来たぞ」

 ドワーフたちが、酒の入った大樽を八つ、運んできた。

 ありがとう。

 飲み始めて良いぞ。

 食事はちょっとまってくれ。

 鬼人族メイドたちが、宿の厨房で料理を開始している。

 本日の料理のメインはエビ。

 養殖しているエビが、予想以上に増えたらしい。

 一年経っていないのに大丈夫かと思う。

 でもって疑問。

 そんなに簡単に増えるのに、ほかでは養殖をやっていないのか?

「村長。
 あのエビの養殖は、ここ以外では難しいかと」

 養殖をやっているリザードマンがいうのだから、そうなのかもしれないが……どういうことだろ?

 エサの問題かな?

 まあ、エビが美味しいから文句はない。

 人がぽつぽつと集まり、鬼人族メイドの料理が運ばれて来ると宴会が始まる。

 クロたちは……ああ、俺の席の近くでまったりね。

 よしよし。

 少し遅れて、ルーやティア、ハクレンに引率された子供組も到着。

 子供たちには退屈かもしれないが、雰囲気だけな。

 揚げたエビ、蒸したエビ、焼いたエビ。

 酒の香り……は駄目だぞ。

 ウルザ、グラル、それを置きなさい。

 君たちはジュースで我慢。

 ほら、こっちのコップをもって。

 上をみて。

 サクラを愛でよう。


 ……

 すまない、ザブトンの子供たち。

 サクラの木に隠れて何か準備していたのか?

 いいんだぞ、やってくれて。

 雰囲気が違う?

 き、気にするな。





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