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異世界のんびり農家 作者:内藤騎之介
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南のダンジョン訪問


 南のダンジョンに行くことになった。


 きっかけは今年の武闘会の日の夜。

 宴会の席で。

 武闘会には南のダンジョンからラミア族が、北のダンジョンから巨人族がやってきていた。

 二つの種族は、それなりに仲良くやっていると思っていた。

 だが、喧嘩した。

「ラミア族は、村長から“迷宮の輝石”を預かっています」

「ふっ。
 北のダンジョンには、村長が自らお越しいただいたことがある」

 ラミア族と巨人族の場外乱闘。

 武闘会の後なのだが、なかなか壮絶な戦い。

 いやいや、喧嘩するような内容じゃないだろう。

 しかし、俺が思うより根が深かった。

 それ以降、ラミア族も巨人族も普段通り。

 普段通りなのだが……

 何かを訴える目で俺を見る。

 うん、わかった。

 わかったから。

 しかし、すぐにその訴えを聞くのはよろしくないとルーやティアの意見。

 そうなの?

 そうらしい。

 なので時間を置いてからとなり、今日となった。



 俺、ルー、ティア、ハクレン、ウルザ、アルフレート、ティゼル、リザードマンが五人。

 竜の姿になったハクレンの背に乗って移動する。

 その他に、クロの子供たち三十頭とハイエルフ五人が数日前に先行して出発している。

 行くことは前々から伝えているが、先触れというヤツらしい。

 まあ、ハクレンの背に乗らないしな。

 ハクレンの背には、俺達以外にラミア族へのお土産が大量に乗せられている。

 こんなに必要なのだろうか?

 俺としては知り合いの家を訪ねる感覚なのだが?



 南のダンジョンに近付き、場所を見て驚いた。

 入り口前に、ラミア族やラミア族に従っているであろう魔物や魔獣が綺麗に並んでいたからだ。

 いやいや、ちょっと大袈裟じゃないかな?

 俺の驚きを無視し、ハクレンがその並んでいる者たちの前に降り立つ。

 大歓声。

 待て待て。

 一人ずつ、ハクレンの背から降りる。

 え?

 俺は最後?

 なぜに?

 いや、いいけど……

 まずはリザードマンたちが先に降り、ウルザが一人で降りる。

 そのあと、ティアがティゼルを、ルーがアルフレートを連れて降りた。

 最後に俺。

 さらに大歓声。

 えーっと……

 なぜラミア族は泣いている。

 先行したクロの子供たちが苛めたんじゃないだろうな。

 俺の視線に、クロの子供たちは違いますと揃って首を横に振る。

 いや、冗談だ。

 お前達がそんな事をするわけがないと知っている。

 しかし……

 冬で寒いのに、なんだこの熱狂?



 俺達はラミア族の長、ジュネアに案内されてダンジョンの中に。

 南のダンジョンの中は、五メートルぐらいの幅と高さの通路と、大小様々な部屋がくっつく形らしい。

 蟻の巣みたいだな。

 通路は立体的に入り組んでおり、誰が意図したのか複雑な迷路になっている。

 その迷路のまま南側に伸びており、ドライムの住む山に繋がっているらしい。

 かなり広いな。

 慣れない者が単独で入ると、餓死することもよくあると。

 ちょっと怖い。


 ダンジョンの中は本来は真っ暗なのだそうだ。

 だが、俺たちが来るからとラミア族が光る石をダンジョンの各所に設置し、暗さを感じさせない。

 ありがとう。

 そして、その光る石にすごく興味があるのだけど。

 前に始祖さんの持って来た光石ひかりいしと同じ?

 発光している色が違うから別物かな?


 俺たちが案内されたのは、入り口近くの大きな部屋。

 三十メートル四方かな?

 天井は高く、十メートルぐらいある。

 そこで俺達を歓迎する宴をすると説明されているのだが、目立つのが部屋の奥の数段高い場所に設置された玉座。

 ……

 え?

 俺がそこに座るの?

 長であるジュネアではなく?

 ちょっと恥ずかしいんだけ……わかった。

 座るから、全力でガッカリするのは止めてくれ。


 玉座に俺が座ると、ラミア族たちの全力の歓声。

 洞窟内に凄く響く。

 アルフレート、ティゼル、ウルザ、お前達も一緒になって叫ばなくていいんだぞ。

 ルーやティア、ハクレンも。

 クロの子供たちの遠吠えはよく聞こえるな。

 まったく、これはいつまで……ああ、そうか。

 俺が手を上げて、ストップをかける。

 凄いな。

 ピタリと止まった。

 止まらなかったのはウルザだけだな。

 わかるわかる。

 でもって、全員の視線が俺に向けられている。

 ……

 あれ?

 これって、このまま俺のスピーチの流れ?



 俺にアドリブ力が無いのが、改めてわかった。

 あれで良かったのだろうか?

 あー……何を言ったか思い出せない。

 ラミア族の協力に感謝をという主旨は外れていないと思うけど。

「感動です」

「我らの働きをあのように……」

「生きてて良かった」

 問題は無さそうだ。

 ちょっと大袈裟だけど。


 その後、ルーたちの自己紹介。

 アルフレート、ティゼルは頑張ったな。

 可愛かったぞ。

 ウルザは堂々としたものだ。

 というか俺より立派じゃないか?

 きっと大物になる。

 しかし、これから戦場に向かうわけじゃないだから、そこまでラミア族に気合を注入する必要はないんじゃないかな?

 それに、自己紹介だぞ。

 えい、えい、おー!

 じゃなくてだな……ラミア族もノリが良い。

 まったく、誰と戦う気だ?


 自己紹介の後は、俺の持って来たお土産の紹介。

 なかなか宴が始まらない。

 俺が手順を無視してスピーチしたからかな?

 反省。

 ちょっとお腹が空いた。



 宴が始まった。

 なかなか賑やかな席。

 出される食べ物は、ナマか焼いただけのシンプルな料理が多い。

 これはラミア族の食生活が、ナマ食中心だったからだ。

 しかし、大樹の村と交流して料理を覚えたとテレながら出された何品かの料理。

 大樹の村の料理に比べると少し劣るが、気持ちは伝わってくる。

 美味しくいただいた。

 なので、山盛りにして出された、他種多様な魔物の卵は遠慮したい。

 いや、ナマが問題なのじゃなくてだな……

 うん、殻ごとは食べない。


 宴なのだから、ラミア族の踊りや歌が披露される。

 改めて、独特の文化があるなと感心。

 この後は、一晩泊まってから翌日の昼に帰る予定。

 俺たちの為にか、風呂やトイレもキッチリ用意してくれていて、ラミア族の心遣いに感心する。

 俺は来客にここまで出来るだろうか?

 ベッドもありがとう。

 添い寝は必要ないからな。

 ほら、ルーやティア、ハクレンがいるから。

 残念そうにしない。

 さすがにこれは折れないぞ。

 子供たちもいるしな。

 うん、子供たちもいるんだ。

 だからルー、ティア、ハクレンも遠慮するように。

 こらこら、無理矢理、魔法で寝かそうとしない。

 おおっ、ウルザが耐えた!





 色々と大変だったが……あ、いや、大変だったのはこっちの事情でラミア族は問題なかったからな。

 うん、色々と勉強になる訪問だった。

 えっと、次は大樹の村で一泊してから、北のダンジョンだったよな。

 そっちでは一泊せずにその日に帰ると。

 わかっている。

 しかし、同じ扱いにしなくていいのか?

 同じ扱いなんて無理だから、逆に差をつけるほうが良いと。

 むずかしいなぁ。


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