挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
異世界のんびり農家 作者:内藤騎之介
しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

289/324

エビと村長の移動


 エビを居住エリアの仮池から養殖池に移動させる。

 予想通り、エビの抵抗が激しい。

 だが、リザードマンたちの手によって次々と捕獲されていく。

 さすがだ。

 ちなみに俺は魔法が怖いから少し離れてた。

 臆病?

 そう思ってくれて構わない。

 初級魔法で威力が弱いからといって、当たりたくはない。

 リザードマンたちにだって、無理はするなと言ったんだ。

 俺としては危ない真似はせず、なんとかしたかった。

 無力な自分が悲しい。

「村長、エビは全て回収しました。
 養殖池に持っていきます」

 リザードマンたちに手を振って了解を伝える。

 養殖池の場所は何回か案内しているから、俺が同行しなくても大丈夫。

 俺はここで仮池を始末しないといけない。

「村長。
 池を潰すんですか?
 残しておけば良いのでは?
 また、何か来るかもしれませんし」

 通り掛かった獣人族の娘の意見。

 ……

 浅い池だし、はまって溺れる者もいないか。

 臭いはどうだろう?

 ん?

 エビがいなくなったのを察したのか、スライムたちが仮池に飛び込んでいく。

 ……

 問題ないな。

 当面はこのままで、様子をみよう。




 リザードマンたちとエビ養殖の計画を相談。

 とりあえず、一年は様子見。

 繁殖具合を見て、年間の収穫量を決定。

 場合によっては養殖池を増やすと……

 計画らしく感じるが、全てエビ任せという内容。

 まあ、エビの生態を知らないからな。

 このエビを提供してくれた冒険者たちの話では、食べ物さえあれば勝手に増えていくとの話だ。

 一応、仮池でエビの好みや食べる量を見ていたが……

「魔獣の内臓系が人気だったな」

「肉よりも反応が良かったですからね。
 ですが、これでエサに困ることはないかと」

 魔獣の内臓は、クロの子供たちが主に食べるのだが、俺が食べても良いとしているのは狩った当日の内臓だけ。

 時間の経った内臓は安全の為に処分しているのだが、その処分をエビに任せようということだ。

 悪くない。

 俺も内臓を処分する時、ちょっともったいないと思っていたんだ。

 有効利用できるなら、嬉しい。

 ともかく、エビ養殖に関してはリザードマンたちに一任。

 何かあったら連絡を。

 無事にエビが増えることを祈ろう。





 転移門を起動する前に、確認の為に五村ごのむらを訪れた方が良いだろうと俺は考える。

 しかし、その時間を確保するのがなかなか難しい。

 ハクレンに運んでもらうとして、行きの移動に二日、現地で確認に一日、帰りの移動に二日。

 合計五日かかる。

 前に移動した時もそんな感じだ。

 この移動の二日とかを短縮する為の転移門だもんな。

 現在、短縮できる時間といえば、現地での確認時間だけだが……そこを削ると本末転倒な気がする。

 たがが五日、されど五日。

 うーん。

 せめて三日ぐらいならなぁ。

 俺の悩みを解決してくれたのは転移門の管理をする予定のフタだった。

 現在は料理人見習いとして、鬼人族メイドの下で修行中。

 修行中だが、まだ食材の洗いと皮むきの段階。

 カットまでさせてもらえていない。

 同じく修行しているミヨは、すでにスープを任されるレベルだというのに……

「フタは大雑把ですから。
 ほら、皮のむき残しがあります」

「むう……」

「それで、その大雑把なフタは俺の悩みを解決する良いアイディアがあるのか?」

「大雑把ではなく、ちょっと細かい作業が苦手なだけです。
 っと……ごほん。
 行きの二日を短縮することなら可能ですよ」

「どういうことだ?」

「転移門です。
 前に私が転移先を指定する石を設置しに行ったじゃないですか。
 そこになら転移門を開かずに転移することが出来ます」

「転移門を開かずに?
 どういうことだ?」

「転移門を開くというのは常時、双方向に移動可能な状態のことです。
 現在は開いていませんが、転移機能はありますから……魔力を大きく消費しますが、送るだけなら可能です」

 ……

「あ、向こうからは無理ですよ。
 可能なのは転移門のある本体側からだけですから」

「そ、そうか」

 一瞬、向こうからも自由に来れるのかと思ってしまった。

 それが駄目とは言わないが、転移門の扱いは慎重にと考えているのだ。

 正式に開く前に往来できてしまうのは少し困る。

「それは一般的な方法なのか?」

「いえ、知っている人だけが知っている小技的なものです」

 となれば……転移門が一般的じゃない現在は、知っている人は皆無と考えていいかな。

「知っていても転移門の稼動寸前の状態がないと意味がないですし、その状態があって知っているなら転移門を開くと思いますよ」

 ……確かにそうか。

 一方通行だしな。

 とりあえず、行きの時間が削れるなら行ってみようと思う。




 メンバー選定!

 帰りの移動手段としてハクレンは確定として、他はどうすべきか……

 向こうに俺が知っている人がいればいいが、いない可能性がある。

 トラブル防止の為、向こうで活動していたダガに同行をお願いする。

 後は護衛に……ヨウコが同行を希望してきた。

 五村関連の大樹の村側の代表だし、構わないか。

 これでメンバー決定。

 俺、ハクレン、ダガ、ヨウコ。

 村の住人からストップが掛けられた。

 もっと数を増やせと。

 いや、各自、仕事もあるだろうしな……

 リザードマンが三人、ハイエルフが五人、追加された。

 一緒に来たいなら構わないけど、そんなに楽しいもんじゃないぞ。

 ……武器って、そこまでいる?

 防具も?

 戦いに行くんじゃないぞ。

 ……

 俺も装備した方が良いかな?

 逆に俺は不要?

 そんなものなの?



 大樹のダンジョン四層。

 五村に通じる転移門となる予定の場所。

 そこでフタが長々と呪文を唱えている。

 転移門に、俺達を送る為の魔力を込めているのだそうだ。

 ……

 五分ぐらいやっているが、大丈夫なのか?

 あ、下手に喋って集中を乱しちゃ駄目なのね。

 見送りに来ていたルーに怒られた。

 すまない。


 さらに五分ぐらい経過したところで、フタが合図をしてくれた。

 稼動している転移門と同じように、光の板が現れた。

「開いている時間は三分です」

 フタの合図で俺が前に出ようとしたら、ダガにブロックされた。

 俺がどうしたと聞く前に、他のリザードマンとハイエルフたちが先行した。

「露払いです」

 いやいや、そんな警戒しなくても……

「では、先触れです」

 先触れって、訪問前に今から行くよって知らせるやつ?

 それなら納得。

 次にヨウコが。

 少し待ってからダガ、そして俺とハクレンが移動することになった。

 俺は見送ってくれる者たちに手を振りながら、転移した。



 転移した先は、広い地下室。

 五村の屋敷の倉庫の地下室だろう。

 先行していたハイエルフの一人が、明かりを持ってくれていた。

 ……

 考えてなかった。

 俺が先頭だったら、ドタバタしてただろうなぁ。


 広い地下室の奥には、階段ではなく緩やかな坂がある。

 幅、高さを考えると馬車の乗り込みも想定した作りだろう。

 その坂を歩いていくと、野外の明るさと先行した者たちが待っていた。

 景色は……

 何本もの長い柱と、その間に張られた布。

 工事現場の目隠しのようだ。

 実際、この屋敷の建築風景を隠す為の目隠しだそうだ。

 ここは屋敷の建設予定地だからな。


 さて、ここにいても五村の現地確認ができない。

 出入り口っぽく作られている場所を目指し、移動を開始。



 ……

 布の向こう側は、何もなかった。

 前に視察に来た時と同じ、台地の上だな。

 あれ?

 建物とか結構、建ってるとか報告があったような気がするが……

 変わった物といえば……

 一応、地面には村割がされている。

 あと、台地の外周に壁が出来ているな。

 ぐるりと取り囲むように。

 外壁かな?

 結構立派だ。

 これでぐるりと台地を取り囲んでいるって、凄くない?

 階段があったので、外壁の上に移動。

 ……

 そこで見た景色が信じられない。



 台地の側面、斜面部分に村というか街が出来ていた。

 主に建物があるのは南側だけらしい。

 丁度、見たのがその南側だった。

 まだまだ建設中なのだろう。

 活気に溢れる声が聞こえる。

 そして、台地の下に大きな壁。

 そっちもまだ建設中のようだ。

 ああ、俺がいまいる外壁と思った場所は、内壁だったのね。

 内壁より先に外壁を作るべきじゃないのかな?

 というか、台地の下を取り囲むの?

 ……

 と、ともかくだ。

 見た感じ……えっと、両手の親指と人指し指で四角の窓を作り、その中に見える家の数を数える。

 でもって、全体はその四角の窓何個分かを数え……

 一つの家に四人が生活していると考え、四千人ぐらいの規模になっていないか?

「五千と二百と少しになる」

 ヨウコが訂正してくれた。

「この現状、ヨウコは知っていたのか?」

「見たのは初めてだが、報告と相談は受けておった」

「いや、しかし……」

「側面は道以外は自由にしていい。
 村長がそう言ったと聞いているが?」

 え?

 そんな事を俺が言ったかな?

 どうだろう。

 覚えがないが……

「台地の側面に関してですが……」

「ああ、道の邪魔にならなかったら好きにして良いぞ」

 言ってそう。

 たぶん、道路の装飾とかそのレベルと考えたんだろうな。

 あー……

「それで、台地の上に住んでいる人がいないのは?」

「まだ正式な移住許可を出しておらんだろ」

 え?

 そうだっけ?

 あれ?

 前に移住希望者が移動を開始したとか……

 その時、受け入れに関して問題はないとの報告を受けた気がしたが……

 確かに移住許可を出した覚えがない。

 ……

 あー……なるほど。

 五村建設の指揮を取っている先代の四天王二人、名前の長い人とパルアネンが来るまで、俺は外壁の上で反省を続けた。



+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ