表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
280/978

夏の暑さに

09/14 最後、ちょっと修正しました。


 夏。


 暑くなってきた。


 冬に作った雪山もかなり小さくなった。


 でも、雪山の近くは涼しい。


 だからだろう。


 村の獣たちは雪山の近くによくいる。



 まず山羊。


 脱走してきたのか?


 村の外に出る勇気はないのに、ここに来るのは大したものだ。


 しかも群で。


 ちゃんと夜になったら帰るんだぞ。



 馬。


 おいおい、一家で何をしているのかな?


 暑いのはわかるが、勝手に出てきちゃ駄目だろ。


 キリッとした顔をしても誤魔化されないぞ。


 夜になったら帰るように。



 クロの子供達。


 ……


 非番なんだな。


 ならばよし。



 九尾狐のヨウコ。


 なにやってるの?


「ここ、涼しいから」


 ヨウコは狐の姿のまま、返事をする。


「屋敷に設置した、涼しい空気が出る場所は?」


「あそこは猫達が占領してる」


「ダンジョンは?

 あそこも涼しいだろ?」


「できればあそこには行きたくない」


「えーっと……」


「夜、涼しくなったら森に行って狩りをする。

 サボっているわけではない」


「いや、責めているわけじゃないんだけどな。

 なるべく早く、涼しい空気が出る装置を増やすよ」


「頼む」


 ……


「まだ何かあるのか?」


「獣姿だからかもしれないが、外で仰向けはどうなんだろう?」


 一瞬、死んでいるのかと思ってしまった。


 ハンモックでも作ってやろうか?


 いや、網に捉われてもがく姿しか思い浮かばない。


「失礼なことを考えていないか?」


「気のせいだ。

 腹を冷やし過ぎるなよ」






 俺は屋敷に戻る。


 うん、確かに涼しい空気を出す装置の傍は、子猫達が占領している。


 子狐のヒトエもいるな。


 少し離れてクロとユキ。


 そして猫と宝石猫のジュエル。


 天井は……ザブトンの子供達が多いな。


 えーっと。


 ここ、俺の部屋なんだけど?


 誰も気にしないようだ。


 そうですか。


 早くオンオフ機能をつけよう。




 俺は屋敷の工房に向かう。


 工房では、山エルフたちが涼しい空気を出す装置を作っていた。


 熱気に溢れている。


 暑い。


 涼しい空気を出す装置を作っているのにな。



 元はセナの頼みだった。


 獣人族の赤ちゃんは、暑さにそれほど強くはない。


 強くはないと言っても、この辺りの夏の暑さでどうこうなることはないのだが、セナは心配していた。


 気持ちはわかるし、俺も万が一は嫌だ。


 なので、エアコンを求めた。


 が、原理を知ってても、そう簡単に作れるものではない。


 仕方なく、ルーに氷と風の魔道具を作ってもらい、それを組み合わせた簡易なクーラー……いや、扇風機かな? を作った。


 欠点、オンオフがない。


 風力の調整もできない。


 だが、山エルフたちの刺激にはなった。


 山エルフたちの作った試作一号、オンオフ機能付き、風力調整可能なタイプはセナの家に取り付けられた。


 あとはセナの反応を待ってからと思っていたのだが、希望が殺到。


 量産を求められた。


 ただ、装置は山エルフたちの頑張りで量産できても、動力である氷と風の魔道具作成はルーに頼るしかない。


 現在、三日に一台が限界のようである。


 三日に一台が限界なのに、山エルフたちはなにを熱心に作っているのだろうか?


 もちろん、改良した装置。


 改良に改良を重ね、初期タイプに比べてサイズが倍以上になっている。


 昨日よりも大きくなっているな?


 小型化とかは考えないのかな?


 とりあえず、思いついた機能を詰め込むのは止めた方がいいと思うんだが……


 いや、失敗してからが本番みたいな考え方は止めようよ。


 これ、風を出す魔道具を三つも使うよな?


 ルーが切れるぞ。


 そこは俺に任せるって……


 ルーが本気で怒ると怖いんだぞ。



 本格的な暑さが来る前に、何台かは完成させたいところだ。






 夜。


 一人の鬼人族メイドがアンに怒られていた。


 理由はシンプル。


 俺の部屋で涼しい風に当たっているうちに寝てしまったのだ。


 それで、少し風邪気味。


 そりゃ怒られる。


 俺もあの装置には注意している。


 なにせずっと涼しい風が出てくるからな。


 装置の角度を調整したり、寝る前には外に向けたりと色々やっている。


 オンオフの機能はないけど、オフにすることはできる。


 ただ、一度オフにすると再びオンにするのが面倒なのだ。


 魔道具の稼動による魔石などの消費が気にならないレベルで。


 おっと脱線。


 アン。


 怒るなら元気になってから。


 とりあえず、寝かせてやれ。


 ルーに薬草……ルーは魔道具に掛かりっきりか。


 フローラに薬草を頼もう。


 だから、大人しく寝るように。


 他の者にうつすなよ。


 看病は……俺がやると余計に怒られるな。


 すまないが手の空いた者にお願いする。



 ……


 考えてみれば、村で病人は初めてか?


 いや、薬は消費されている。


 大きい病気がないだけか。


 あってもあの鬼人族メイド程度……


 鬼人族メイドの大きなクシャミが聞こえた。


 お大事に。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] >だが、山エルフたちの刺激にはなった。 火をつけた(山火事レベル)の間違いでしょう
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ