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異世界のんびり農家 作者:内藤騎之介
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12年目の春と子猫


 春になった。

 うん、暖かい。

 村の南にある雪山は融けずに頑張って……全然、低くなってないな。

 まあ、すぐに低くなるだろう。

 冬の間、子供達を楽しませてくれたのだから、名残惜しくもある。

 毎年作るか?

 いや、それはそれで……

 その時になって考えれば良いか。




 ザブトンが起きてきて、久しぶりの姿を見た。

 いつも通りに挨拶……と思ったらザブトンに捕まえられて運ばれた。

 あれ?

 ザブトンが焦ってる?

 どうしたと思ったら、目的地は村の南のダンジョンの入り口だった。

 そう言えばダンジョンの事をザブトンには言ってなかった。

 そりゃビックリするか。


 ダンジョンの中を案内しながら、ザブトンに冬の間の話をする。

 主にダンジョンと転移門と別の場所に村を作る話。

 あと、雪山の話。

 ザブトンはそれなりにダンジョンを気に入ったようだが、一部の作りに不満があるようで修正を伝えられた。

 いや、その修正は……完全にデスゾーンになるから、勘弁して欲しい。

 ザブトンの子達もダンジョン内で自由に動き回っている。

 ああ、好きにしていいぞ。

 妙にダンジョンに似合っているしな。

 おっと、三階層はまだ完成していないんだ。

 そう残念がらないでくれ。

 転移門設置計画で色々あったから。

 さらに下に広げようという計画もあり、ダンジョン造りはちょっと中断していた。

 春になったから仕事が増えるし、転移門の設置先の新しい村の計画もある。

 ダンジョン造りはいつ再開できるかな。

 え?

 ザブトンの子供達がダンジョンを作る?

 いや、構わないけど……

 できるの?

 ここって土、硬いし。

 穴掘り特化タイプがいる……蜘蛛って穴を掘るの?

 知らなかった……

 あ、待って待って。

 先にルー達に確認しよう。

 計画と違い過ぎると怒られる。


 ルー達と相談の結果、四階層をザブトンの子供達に任せる事に。

 上下には制限があるけど、横にはどれだけ伸びてもOKとなった。

 頑張って欲しい。





 各村の村長代行と今年度の目標確認。

 生産計画や新しく作る施設などを決定。

 と言っても、この辺りは冬の間に事前相談しているから最終確認的なもの。

 特に問題もなく進行。


 俺は【万能農具】のクワを持ち、大樹の村の畑を耕す。

 思えば広い畑だが……

 収穫の喜びを知っているので、苦ではない。

【万能農具】を使っている時は疲労しないしな。

 昔は時間が掛かったが、今は……うん、一ヶ月ぐらいで完了。

 間に他の仕事が入らなければ、もう少し短くなるかもしれない。

 ダンジョン内部でモヤシとアスパラガスも生産。

 その際に四階層の様子を見たけど……どこかの地底遺跡かな?

 装飾、思いっきり凝ってるよね。

 メラメラと対抗心が湧き上がり、一階層、二階層の装飾が未完成な部分をコツコツと。



 コツコツとやっていたら、猫が飛び込んできた。

 どうした?

 そんなに慌てて……

 ピンッと来た。

 俺は猫を抱え、屋敷に戻った。


 思った通り、宝石猫が出産間近だった。

 宝石猫がベッドの上をウロウロしたと思ったら横になり、しばらくするとウロウロする。

 気は立っているように見えるので、見守るしかできない。

 近くにいた鬼人族メイドに、万が一に備えて治癒魔法が使える者を呼んでもらう。

 来てくれたのはルーだった。

 猫とルーと一緒に、宝石猫の出産を見守る。

 いや、見守ってて良いのか?

 見てない方が安心して出産できるんじゃないか?

 でも、猫が呼びに来たワケだしな。

 どっちだ?

 おっ、なんだ?

 宝石猫がベッドのシーツを寄せて目隠しらしき物を作った。

 部屋にいてもいいけど、ジッと見られるのは嫌か。

 手間を掛けて申し訳ない。

 その後。

 六時間ほど掛けて、四匹の子猫が無事に生まれた。

 猫が喜んでいるのか、にゃーにゃーと賑やかだった。

 しかし子猫。

 まだ目が開いていないが、可愛いものだ。

「ねえ、旦那様」

「なんだ?」

「自分の子供の時より、喜んでいない?」

「え?
 ま、まさか、そんな筈ないだろ」

「本当に?」

「当たり前だろ」

 ちょっと不用意に喜び過ぎたかもしれない。

 反省。

 しかし、可愛いのだから仕方が無い。

 それに、村に新たな住人が増えた事を喜ぶのに遠慮はいらないだろう。





 宝石猫が無事に子猫を生んだので、問題が発覚。

 猫と宝石猫の名前だ。

 これまで特に名前を付けていなかったが、子猫達と区別する為に名前が必要となる。

 宝石猫に関しては、鬼人族メイド達の間からジュエルと呼ばれていたので、そのまま採用。

 猫は……

 どうしたものか。

 人によって、呼び方が色々なんだよな。

 どれにしても揉めるか。

 なら、新たにつけるとしてだ。

 黒い猫だから、フランス語でシャノワール、ドイツ語でシュバルツカッツェ……

 かっこ良すぎるな。

 後回しにしよう。



 白熱するのは子猫達の名前。

 まず、子猫達の名前に関して、参戦者が多かった。

 それまで興味ないと思っていた者達が、子猫の姿を見た瞬間にとりこになっていたのだ。

 そして飛び交う名前。

 どれにしても揉めそうになったので、一覧表を作って猫に決めさせる事になった。

 おいおい、猫よ。

 確かにそれは俺が書いた候補だが、良い名前を選び過ぎじゃないか?

 自分の子供に期待するのはわかるが、その名前に潰されるという事もあるんだぞ。

 是非、これで?

 ミカエル、ラファエル、ウリエル、ガブリエル。

 悪くないと思うが、過度な期待をしないという意味で、ミエル、ラエル、ウエル、ガエルとかにしないか?

 あ、うん、ネーミングセンスがないのは自覚している。

 そんな目で俺を見ないでくれ。


 子猫の名前。

 ミカエル、ラファエル、ウリエル、ガブリエル。

 でも、呼び方はミエル、ラエル、ウエル、ガエルという事になった。

 ちなみに、雄雌はまだ判明していない。

 子猫の性別ってわかり難いよな。


 毛色は、生後数日してある程度整い、白、白、黒、ブチと判明。

「そう言えば額に宝石がないけど……普通の猫って事かな?」

「宝石猫の生態は詳しくわかっていませんが、子供の頃には特徴は出にくいですから」

 ああ、なるほど。

 成長すれば額に宝石が出来るかもしれない。

 おっと、出来なくても気にしないからな。

 無事に成長してくれたらそれで良い。


「やっぱり、自分の子より……」

「気のせいだって」



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