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異世界のんびり農家 作者:内藤騎之介
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気球


 一村、二村、三村では家畜の飼育スペースが拡張された。

 各村で産まれた家畜がある程度、育ったからだ。

 一村は人数の問題から、豚と鶏。

 二村と三村では牛、豚、山羊、羊、それに鶏が育てられている。

 太陽城こと四村でも家畜の計画がされているが、飼育の手順を誰も知らないので止まっている。

 現在は悪魔族の何人かを大樹の村に移住させ、飼育を学ぶ事が計画されている最中だ。


「牛や馬は頭数が少ないから、外から種をもらわないといけません」

 普通の村では、他の村の家畜に種を貰いに移動したり、種を付けに移動するらしい。

「移動は大変だよな」

 またマイケルさんから購入するか。

 それでも移動が大変だが往復ではないだけマシだな。

 ハクレンかラスティのタイミングの良い時を見計らおう。

 気球での移動は……暴れたら危ないか。




 気球。

 ザブトンが気球の風船部分を早く作ってくれたので、大人が四人乗るサイズの気球が完成した。

 魔道具で風船の中の空気を熱し、飛行する熱気球。

 気球の形はシンプルに球形。

 魔道具の操作で火力を調整し、上下は問題なし。

 問題は方向。

 現状、完全に風任せだな。

 ザブトンの作ったロープで地面に繋いでないと、どこに飛んでいくかわからない。

 気球って方向操作できないの?

 出来ないか。

 出来ないよな。

 方向操作する為に、動力と舵をつけたのが飛行船だもんな。

 つまり、現状では太陽城に行く手段としては駄目という事。

 なぜ試作の時に気付かなかった俺!

 いや、まだだ!

 この気球を思い通りに動かすには、どうすれば良いかだ。

 ……

 うん、動力と舵を取り付けて飛行船にするのが一番か。

 動力はやはり魔道具か?

 プロペラを回して推進力にするのが一番だろう。


 プロペラの試作品を作って、ルーに相談。

「これを回して風を起こす装置?
 できると思うけど……気球に風を当てて動かすの?」

「え?
 いや、人が乗る部分につけるんだ」

「?」

 プロペラの説明に、ルーが半信半疑。

 結局、試作品の扇風機みたいなのが出来、実験。

 床に設置したら風が発生するだけ。

 タイヤのついているワゴンに設置したら……

「ワゴンが動いた」

 ルーは驚いていた。

 基本的な作用反作用だよな。

 普通の生活の中で体験するものじゃないか?

 ルーがフローラやティアを呼んで、ワゴンに付いた扇風機を見せている。

「え?
 どういった魔法?」

「風の精霊のイタズラ?」

 ……

 フローラはいいとして、ティアは驚いちゃ駄目じゃないのか?

 実際に飛んでいるわけだし。

 この辺りは基礎中の基礎というか、翼を動かしているだろ?

「翼は魔力操作のもので、鳥のように使っているワケではありませんから」

 なるほど。

 魔法が発達し過ぎているから、科学が駄目という事かな。

 台車に扇風機をつけたもので驚かれると、逆にビックリだ。

 熱気球は理解できたよな?

「温かい空気が上に行くのは当たり前じゃない」

「魔法学の基礎ですね」

「あんな風に物を持ち上げられるとは思いませんでしたけど」

 ……

 科学が駄目なのではなく、得意不得意があるという事かな。

 注目。

 全員、両手をピッタリ、指まで合わせて……薬指以外を少しずらしてギュッと握って。

 薬指の間に銅貨を挟む。

 薬指を動かして、銅貨を落としてみよう。

「そんなの簡単じゃない……あれ?」

「え? え? え?」

「う、動きません!」

 なるほど。

 こういった方面も弱いか。

 ちょっとほっこり。

「魔法? 魔法?」

「いえ、催眠術では?」

「自分の体じゃないみたいです」

 無理しないように。

 中指を曲げている状態だと、薬指を外側に動かし難いだけだから。



 さて、プロペラを回す魔道具はルーがなんとかしてくれる事になった。

 これで風任せではなくても進む。

 後は方向をどうするかだ。

 舵がベストだろうけど、ここはプロペラを二機用意し、気球のカゴの左右に同じ方向を向けて設置。

 左右のプロペラのオンオフで右旋回、左旋回を可能にした。

 強度は?

 問題なし。

 重量は?

 四人乗りを二人乗りにする事で問題なし。

 では、試運転だ!

 立候補する山エルフ達の中から二人がクジで選ばれた。

 さあ、大空を翔るのだ!

 ……その前に。

 安全の為、搭乗する山エルフ達にはパラシュートを装着。

 また、飛行できるグランマリア達に周囲を飛んでもらう。

 よし!

 いってみよう!

 ……

 …………

 現在、球形の風船の下にカゴを吊るし、そこで魔道具を操作して空気を熱している。

 そのカゴの左右にプロペラを設置した事で、推進力を得たのだが……

 イメージでは気球が右へ左へと進む予定だったが、カゴ部分だけが進もうとして角度が急になっている。

 気球の風船部分が進もうとしていない。

 しかも、カゴの角度が急になるので空気を温めている魔道具の炎が風船部分に当たって危ない。

 中止。



 上に向かう力に対して横に動かす力がカゴだけだと、バランスが悪いのだ。

 考えてみれば、飛行船のプロペラは風船部分に装着している。

 気球から改良しようとしたのが良くなかった。

 ちゃんと飛行船として考えなければ。

 となると……

 風船部分にプロペラを装着する為に、フレームが必要となる。

 重量が増えるな。

 そうなると、風船を大きくしなければいけない。

 しかし、現在の魔道具で温められる空気の量を考えると……

 厳しいか?

 飛行船は熱気球ではなく、ガスで浮かせているのが主流だった。

 確か、ヘリウムガス。

 ……

 作り方なんぞ知らない。

 となると……水素?

 駄目駄目。

 爆発する。

 危険だ。

 むう……

 こうなると……プロペラを設置するフレームを超軽い素材にするか、ヘリウムガスの代用品となるガスを探すかしかないか。

 という事で、気球、飛行船開発は中断。

 残念だ。

 泣くな山エルフ。

 俺も悔しい。


 気球はプロペラを外して四人乗りに戻し、空を楽しむのに使おう。

 風向きが良ければ、ハウリン村やドライムの巣までいけるかもしれない。

 まったくの無駄ではないはず。

 太陽城との行き来はしばらく飛べる者達を頼らなければならないが。





「気球、こちらから誘導しましょうか?」

 太陽城のゴウの言葉。

 ある程度の高さまで飛べば、太陽城の方で引っ張れるらしい。

 い、行くのは可能として帰りはどうする?

「帰りも大丈夫です。
 ちゃんと村の上空まで誘導できます」

 ……

 そ、そこまで言うならやってもらおうかな。

 気球で太陽城までふわー……

 太陽城から大樹の村までふわー……

 移動できてしまった。

 ……

 俺は傍にいた山エルフ達の目をみる。

 飛行船、絶対に完成させましょう。

 もちろんだ。

 俺は力強く頷いた。

 が……

 当面は、気球の量産だな。

 最低でも予備を含めて三機。

 理想は五機。

 頑張ろう。



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