太陽城制圧待ち
修正)太陽城の直径を五キロから三キロに変更。すみません、デカ過ぎました。計算ミスです。
高度も二千から千に変更。
太陽城制圧中だからと、森の魔物や魔獣が手加減してくれるわけではない。
逆に警戒が弱まったと襲ってくるかもしれない。
なので留守番組も油断はしない。
クロたちは周辺警戒を密にし、スアルリウとスアルコウは上空警戒を続ける。
こういった時、ザブトンがいればなと思ってしまう。
いやいや、安心して冬眠してもらうためにも頑張らねば。
しかし、やることがない。
とりあえず、屋敷の前にテーブルと椅子を運び、太陽城を見れる場所に座って待機する。
太陽城は、それなりに遠い。
聞いた話では直径三キロぐらいの城らしいが、ここからではコップぐらいの大きさにしか見えない。
高度は千メートル。
すでにラスティは第三陣のクロの子供たちを運んでいる。
戻ってきた時の話では、順調に制圧中とのことだ。
そうなんだろうけど……
遠目に見える太陽城が揺れたり、爆発が起きたりすると心配してしまう。
そうしてぼーっとしていたら、ウルザが木材を持ってきた。
槍を作れと。
……
ひょっとして、太陽城に投げたやつに感化されたのかな?
作るのは構わないが、先は丸めるからな。
あと、人や動物に向けて投げないように。
……
六十メートルぐらい飛ばしてないか?
凄いな。
獣人族の男の子たちも木材を持ってきた。
同じことを伝え、作ってやる。
……
こっちも飛ばすなぁ。
ウルザには敵わないようだが。
俺も自分用に一本、作ってみる。
【万能農具】の槍はよく投げているが、普通の槍だとどうだろう?
チャレンジ。
十メートルぐらい先に落ちた。
……
ちょっとタイミングが悪かったかな。
……
十五メートル。
ふう。
俺には【万能農具】がないと駄目ってことか。
……否。
俺には知恵がある。
槍投げ器。
簡単に言えば柄の長いオタマみたいな道具だ。
オタマ部分に槍をセットし、投げると手投げよりも遠く飛ぶ。
さっそく作り、セット。
チャレンジ。
……
槍は目の前に落ちた。
何事も習練が必要ということである。
反省。
……
俺の作った槍投げ器をウルザが使って、百メートル近く飛ばしている。
獣人族の男の子たちも欲しがったので作ってやった。
うん、綺麗に飛ばしているな。
……
…………
悔しくないと言えば嘘になる。
いつの間にか、ハイエルフたちが参加。
ウルザたちに技術指導をしている。
遠くに飛ばすことより、狙った場所に命中させることにシフトしたようだ。
藁を束にした的を用意してドンドン投げる。
槍の回収が面倒なので、俺が槍を量産する。
指導者がいるなら槍先を尖らせても問題無いだろう。
刺さらないと気持ち良くないしな。
一人の時に持ち出すのは禁止だぞ。
守れないと……どんなペナルティが嫌がるかな。
外出禁止、オヤツ抜き、勉強量増加……
これにハクレンの説教を加えたら良いかな?
まあ、守ってくれるだろうけど。
ウルザたちは悪さはするが、ちゃんとやって良いことと悪いことは理解している。
こちらが笑って許すラインを見極めているとも言う。
将来が少し心配だ。
考えながら作業していたからだろう。
気付けば、俺は槍を百本ぐらい作っていた。
ちなみに、ハイエルフたちが投げた槍は五十メートル先の藁束を楽々と貫くが、ウルザは刺さるだけだ。
精度を求めると威力が弱くなるようだ。
獣人族の男の子たちは……飛ばせるが精度は悪いみたいだな。
寒いのに和気藹々と楽しそうにやっているのは微笑ましい。
アンが温かいお茶を持ってきてくれた。
温まる。
……
アンも槍に興味があるのか?
なかなか難しいぞ。
アンは俺の作った槍を持ち、藁束に向けて投げた。
五十メートル先の藁束が砕け散り、遥か先まで飛んだ。
「良い槍ですね。
五十本ほど、屋敷に常備しておきますか」
屋敷に泥棒が入ったら、凄いことになりそうだな。
まあ、クロの子供たちやザブトンたちがいるから忍び込むのは無理だろうけど。
気付けば、天空城の高度が五百メートルぐらいにまで落ちていた。
そのまま落下するかと思ったけど、頑張っているようだ。
あー……ハクレンの炎かな?
派手にやっているようだ。
グラルが行きたがっているが、許可はしない。
預かっている子だしね。
あと、グラルが行くとなればウルザも同行しそうだし。
グラルも槍投げをやってみるか?
ん?
それよりもお腹が空いた。
夕食にはまだ時間があるな……
仕方が無い。
軽くオヤツでも作ってやろう。
小さいパンケーキで構わないか?
あ、うん、ウルザや獣人族の男の子たちにも作るから、安心して槍を投げてなさい。
屋敷に戻って小さいパンケーキを量産。
ハチミツをかけて食べてもらう。
うん、好評。
気付けば天空城は斜めに傾いていた。
そのまま転覆するかな?
あ、戻る。
頑張るなぁ。
高度は二百メートルぐらいに落ちてる。
夕刻、日暮れ間際になって第一制圧部隊とラスティが帰ってきた。
同行者はクズデン。
第二制圧部隊のクロの子供たちは、まだ頑張るそうだ。
第一制圧部隊は途中報告と、夕食に戻ってきたとのこと。
じゃあ、夕食にするかと思ったが、その前に儀式があった。
「本当にすみませんでした」
寒い冬の野外で、クズデンは下着姿で俺に向かって土下座した。
全裸になるところを、俺が止めた。
男の全裸など見ても嬉しくない。
あと、土下座前に子供たちは屋敷に戻した。
見せるものじゃないだろう。
本当は土下座も止めたかったのだが、ここはキッチリしておくところらしい。
厳しいなぁ。
その後、ルーとクズデンの間で話し合いがなされているが……
クズデンが寒そうだから服を着せてあげようよ。
風邪とか面倒だぞ。
あ、薬があるし、治癒魔法もあるから大丈夫。
そうですか。
じゃあ、言い方を変えて。
服を着ている俺も寒いから、早めに切り上げて食事にしよう。
すまぬ。
ちょい短い。