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異世界のんびり農家 作者:内藤騎之介
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山崩し


 朝。

 急遽、祭りが二日に及ぶ事になったが混乱は少ない。

 祭りの準備が行われ、飲み過ぎて寝ている者がゴロゴロと移動させられる。


 会場スペースが用意できた所で、お祭り開始!

「お待たせしました!
 今年の競技、山崩しを開始します!」

 会場の真ん中に用意された山は、直径十センチ、長さ二メートルぐらいの木材が縦に二十本ぐらい並べられ、その上に平たい板が置かれている。

 平たい板を木材で持ち上げている感じだ。

 その平たい板の上にシンボル、ザブトンが作った直径一メートルぐらいの丸いクッションを三つ置いて完成となる。

 競技はチーム戦で行われ、交互に木材を抜いていき、上のクッションを一つでも落としたチームの負けというルール。

 その他、細かいルールはあるが……重要なのは、相手チームが振ったサイコロの目の数、木材を抜かないといけない点。

 サイコロは一から三の目だけの特殊なもので、例えば三の目が出たら三本、抜かないと交代できない。

 司会がアナウンスするが、サイコロは観客にも見えるようにかなり大きく作っている。


「それでは参加チーム紹介!」

 クロチーム
 ユキチーム
 ザブトンチーム
 吸血鬼チーム
 天使族チーム
 ハイエルフチーム
 リザードマンチーム
 鬼人族チーム
 獣人族チーム
 ドワーフチーム
 山エルフチーム
 ハーピーチーム
 文官娘衆チーム
 悪魔族チーム
 一村チーム
 二村チーム
 三村チーム
 ドラゴンチーム
 四天王チーム
 ラミアチーム
 巨人族チーム
 イレギュラーチーム
 村の少年少女チーム
 村長チーム

 参加チームは二十四チーム。

 チームは種族や村で集まったようだ。

 ニュニュダフネ達は一村チーム。

 始祖さんは吸血鬼チームかと思ったが、イレギュラーチームに入った。

 イレギュラーチームのメンバーは、始祖さん、フーシュ、酒スライム、猫、死霊騎士。

 村の少年少女チームは、ウルザと獣人族の男の子、女の子で構成されている。

 流石にアルフレートやティゼルは小さいので不参加。

 でもって村長チームは、俺とウルザの土人形の二人。

 ……

 絶対に優勝しよう!

 俺は土人形と固い握手をした。



 二十四チームなので、十二チーム、六チーム、三チームとなっていく。

 さて、どうなるか。



 第一試合。

 ザブトンチーム VS ハーピーチーム

 ザブトンチームは、ザブトンがリーダー。

 しかし、後方で指示するだけで実際に動くのはマクラをはじめとした子供達。

 序盤は双方、堅実に。

 ただ、サイコロ運が悪く、ザブトンチームに連続して大きな目を出され、ハーピーチームは敗北した。

 なかなか派手な音を立てて倒れてくれる。

 お陰で見ている観客もそれなりに楽しめる。

 ただ、怪我はしないように注意して欲しい。



 第二試合。

 リザードマンチーム VS 一村チーム

 攻撃的に抜いていくリザードマンチームに対し、慎重な一村チーム。

 サイコロ運にも恵まれ、リザードマンチームの勝利。



 第三試合。

 吸血鬼チーム VS ラミアチーム

 考えて抜いていく吸血鬼チームに対し、ラミアチームはオール勘。

 勝利はラミアチーム。

 吸血鬼チームは運悪くというより、考え過ぎて負けたんじゃないかな。



 第四試合。

 山エルフチーム VS ユキチーム

 ユキチームはサイコロが振れないので審判が代行。

 この審判、常に三の目を出し続け、ユキチームを勝利に導いた。

 まあ、それだけでなく、ユキ達はかなり計算して木材を抜いていたが……



 第五試合。

 ドワーフチーム VS 四天王チーム

 ドワーフチームはパフォーマンスなのか、木材を斧で切って倒した。

 対する四天王チームどうするのかと思ったが、真面目に話し合って抜いていた。

「ビーゼル、ゴメン。
 もう少し小さい声で……頭に響くから」

「二日酔いですか、ホウ。
 飲みすぎですよ」

「わかったから……んー、あっちの木にしましょう。
 力が掛かってない気がする。
 グラッツ。
 どう思いますか?」

「大丈夫だろ」

「了解しました。
 ランダン、抜いてください」

「へいへい。
 って、俺、筆頭なんだけどなぁ」

 勝者は四天王チーム。

 ちなみに、ユーリは四天王チームではなく、文官娘衆チームに参加している。



 第六試合。

 悪魔族チーム VS 巨人族チーム

 悪魔族はブルガとスティファノ、後はいつの間にか来ていたグッチ。

「成り行きで参加になりましたが……知ってますか?
 私は負けるのが嫌いなんです」

「はっ。
 グッチ様に勝利を」

「必ず!」

 気合が入りすぎたのか自滅。

「今なら世界が滅ぼせそうな気がする」

 グッチが危険な事を呟いていた。

 巨人族チームの勝利。



 第七試合。

 イレギュラーチーム VS 文官娘衆チーム

 いつの間に仲が良くなったのか始祖さん、酒スライム、猫、死霊騎士。

 フーシュがちょっと寂しそう。

「というか……死霊騎士? え?」

 文官娘衆チームは、ユーリとフラウを中心に良くまとまっている。

「勝ちましょう」

「はいっ!」

 残り四本になる接戦。

 文官娘衆チームの振ってサイコロの目は一。

 イレギュラーチームは悩んだが、酒スライムの決断で抜いた一本がセーフ。

 これが勝因だった。

 イレギュラーチームの勝利。



 第八試合。

 獣人族チーム VS 三村チーム

 獣人族チームにはガルフ、ガット夫妻、ガットの弟子達も参加。

「ガルフ。
 わかってるな。
 あまり出しゃばるなよ」

「わかってるって。
 主役はセナ達だ。
 俺は黙って言われた木を抜くだけだ」

 三村チームはケンタウロスのグルーワルドを中心に。

「こういった細かい事って、苦手なのよね。
 誰か得意な人、いる?」

「とりあえず、右から抜いていけば良いのでは?」

「……採用」

 勝者は獣人族チーム。

 あんな大雑把で、三村はちゃんと農業がやれているのだろうか?



 第九試合。

 二村チーム VS クロチーム

 検討に検討を重ねて抜いていく二村チーム。

 逆に勢いで抜いていくクロチーム。

「これでしょ」

「いや、こっちでは?」

 二村チームは検討に時間を掛け過ぎ、サイコロの目の数の木材を抜けなかったので敗北。

 クロチームの勝利となった。



 第十試合。

 天使族チーム VS 鬼人族チーム

 天使族チームはティアとグランマリア、クーデル、コローネ。

 元上司と部下だからか、ティアが決断して三人が従うスタイル。

 対する鬼人族チームは、相談によって抜く木材を決めていく。

 天使族チームと同じようにアンが決めて、他が従うかと思ったけど違うんだな?

「お祭りですし、こういった事が得意な者に任せる方が良いかと」

 なるほど。

 勝利は天使族チーム。

「貴女の判断が悪かったのよ」

「いえ、それを言ったら……」

 仲間割れしてるが?

「明日の仕事には影響させませんので、ご安心を」



 第十一試合。

 ハイエルフチーム VS 村の少年少女チーム

 ハイエルフチームはリアを中心に。

 上の板の重心位置を確かめながら、確実に抜いていく。

 村の少年少女チームはウルザを中心に。

 ザ・勘。

 勝敗はサイコロ運。

 ハイエルフ達が勝利した。

「手加減? そんな失礼な事はしません」



 第十二試合。

 村長チーム VS ドラゴンチーム

 さあ、俺の出番だ。

 相手はドラゴンチーム。

 ドース、ライメイレン、ハクレン、ドライム、ラスティ。

 ハクレンは参加しているけど、安全な場所から会話参加のみ。

「ドラゴンって、大雑把なイメージがあるんだけど……意外と慎重だな」

「勝利の為なら慎重にもなる」

 俺は土人形をパートナーに、頑張った。

 大体、ここまでの試合で木を抜く場所の傾向が見えてくる。

 外側から抜き、内側を残すスタイルと、内側を抜き、外側を残すスタイル。

 外側から抜くのは最初の方は楽だが、本数が少なくなってくると苦しくなる。

 また、上に乗ってる板の重心位置を予想しないとアッサリ負けてしまう。

 内側から抜くのは、外側の木材が支えとして残るので楽勝。

 内側の木が無くなった後は本番ともいえる。

 ここで駆け引きなのだが、相手が内側を抜いた時、同じように内側を抜くか外側を抜いていくか。

 抜く本数が相手のサイコロ次第なので、絶対はない。

 俺は土人形と相談し、ドラゴンチームと反対の外側から抜いていく。

 しかも、バランス良く抜くのではなく片側を徹底して。

 勝負というやつだ。

 相手チームの目が光る。

 負けないぜ。

 ……

 あっさり負けた。

 勝利はドラゴンチーム。

「な、なぜだ」

「重心位置を読み間違えてたからじゃないかな?」

 くっ。



 一回戦終了。

 引き続き、二回戦、三回戦は行われた。




 二回戦。

 ザブトンチーム VS リザードマンチーム

 勝利、ザブトンチーム。


 ラミアチーム VS ユキチーム

 勝利、ユキチーム。


 四天王チーム VS 巨人族チーム

 勝利、四天王チーム。


 イレギュラーチーム VS 獣人族チーム

 勝利、イレギュラーチーム。


 クロチーム VS 天使族チーム

 勝利、クロチーム。


 ハイエルフチーム VS ドラゴンチーム

 勝利、ドラゴンチーム。




 三回戦

 ザブトンチーム VS ユキチーム

 勝利、ザブトンチーム。


 四天王チーム VS イレギュラーチーム

 勝利、四天王チーム。


 クロチーム VS ドラゴンチーム

 勝利、クロチーム。



 そして残った三チームによる準決勝。

 ザブトンチーム VS 四天王チーム VS クロチーム

 準決勝はこれまでより大きい板が乗せられ、支える木材の数も増えた。

 さらに板の上に置かれる丸いクッションは十個。

 積み上げられている。

 負け抜けなのでこの勝負で残った二チームで、決勝が行われる。

 準決勝は三チームでの激しい駆け引きが行われたが、結果は四天王チームの敗退。


 四天王チームがかなり怪しい木材を抜き、勝負を仕掛けた。

 次のクロチームがなんとかしても、ザブトンチームでアウトだろうと。

 だが、サイコロ目が共に一。

 クロチーム、ザブトンチームはなんとか切り抜け、勝負を仕掛けた四天王チームの番で崩れた。




 決勝戦。

 ザブトンチーム VS クロチーム

 村の古参同士の戦いになった。

 流石というべきか、決勝はかなり本数が減っても板の上のシンボルは落ちなかった。

 最終的に内側に二本、外側に二本の四本の状態。

 四本はほぼ対角に位置している。

 そこで出たサイコロの目が二。

 クロチームが二本、抜かなければならなかった。

 ……

 クロチーム、長考。

 そして決断。

 外の二本を同時に抜いた。

 ……

 ぐらーっと揺れたが、倒れない!

 上のシンボルも落ちない。

 これで勝負が決まった。

 次はどうやっても無理だろうという状態で、クロチームのサイコロの目は一。

 ザブトンチームは半ば諦め、一本を抜いた。

 ……あれ?

 倒れない?

 思った瞬間、上に乗ってた板のバランスが崩れ、丸いクッションが落ちた。



 優勝、クロチーム。

 準優勝、ザブトンチーム。

 三位、四天王チーム。



 表彰式を行った後、そのまま宴会に流れ込んだ。

 祭りは成功だったのではないだろうか。

 少なくとも、俺と土人形の仲は深まったと思う。

「次は勝ちます」

「むう……」

「負けるのは悔しいですね」

「やっぱり、あの時に抜いた木が間違いだったんです」

 俺達は祭りの感想を言いながら、その夜を楽しんだ。


 あ、妊婦は無理しないように。

 俺も早く寝るから。


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