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異世界のんびり農家 作者:内藤騎之介
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ギリ冬


 春かな?

 まだ冬?

 悩む感じのこの頃。

 もう春と思って農業を始めても良いかな?

 そわそわし始めている。

 しかし、いきなり天候が悪くなるというか寒さがぶり返すので油断は出来ない。

 春の目安は色々あるけど、今はニュニュダフネに任せている。

「まだ。
 もう少し先」

 春は遠い。





 山エルフ達が、俺の作った椅子を改造している。

 ロッキングチェアではなく、肩叩き機能を付けた椅子だ。

 スプリングが余ったので作ってみたのだが……パワーが足りなかった。

 スプリングが硬すぎるのも問題だとは思うが、動力が水力だからだろう。

 ここで俺が放り出したのを、山エルフ達が弄りだした。

 現在、歯車を使ってパワーを補おうとしている。

 それは良いのだが、その肩叩き機能の付いた椅子は、誰が使うのだろう?

 村にそれを必要とする人は………………いそうにないが。

 始祖さんやドース、魔王も使いそうにないしな。

 現状、技術向上が目的だな。

 うん。

 ……

 ところで、山エルフさん達、俺の説明は聞いてなかった?

 これは拷問道具じゃないぞ。

 肩叩きにカボチャを割るパワーはいらないからなー。





 始祖さんは仕事で出ているので、転移魔法に頼れない。

 気軽に温泉に行けないのが不便だが……頼り過ぎるのもよろしくないと反省。

 俺はハクレンと共に温泉に向かう。

 最近、ハクレンのテンションが低い。

 原因はウルザ。

 最近、ウルザがハクレン離れを始めたのだ。


 事の発端は……獣人族の男の子達。

 簡単に言えば、彼らがウルザを巡って喧嘩したのをウルザが殴って止め、まとめた。

 さらにウルザは獣人族のガット夫妻の娘、ナートを巻き込み。

 リザードマンの子供達を従えた。

 村の低学年? の子供達のまとめ役にウルザはなったのだ。

 そうなると目覚める母性というか姉性、リーダーシップ。

 年齢的には獣人族の男の子達の方が上だが、世話をするようになると同時に……ハクレンから離れていったと。

 ハクレンはウルザの成長を喜びつつも、寂しさで困惑しているようだ。

 ルーやティア達もこんな風になるのだろうか?

 十人十色かな?

 俺はそんなハクレンを見かね、温泉に誘った。

 温泉の番を任せた死霊騎士の様子も見たいしな。

 二人だけで移動して、すぐに帰って来るつもりだったが……

 ウルザに見つかり、獣人族の男の子やナート、リザードマンの子供達が同行する事になった。

 俺がどうしようかと悩んでいる間に、久しぶりにウルザからハクレンの方に来たのが嬉しかったのかハクレンが引き受けてしまったのだ。

 ウルザとは夜、同じ部屋で寝てるだろ?

 知ってるぞー。


 俺とハクレンだけでは子供達の面倒見れないので、鬼人族メイドのラムリアス、獣人族のセナに同行を頼み、準備運動をしながらこちらを見ているリザードマンのダガと獣人族のガルフを護衛として連れて行く。

 戦力的にはハクレンがいるから大丈夫かなと思っていたら、ビーゼルとフラウも同行を申し出てきた。

 温泉に入りたいらしい。

「ビーゼルがいるなら転移魔法で移動するか?」

「残念ながら移動先を知りませんから」

 ビーゼルの転移魔法は、移動先を知らないと転移できないとの事。

 じゃあ、初めて村に来た時は歩いて来たのかな?

 見える範囲に短く転移して村を目指したらしい。

 なるほど。


 ハクレンに荷物輸送用の板を背負ってもらい、それに乗って移動。

 速いが、場所がそれなりに遠いので時間が掛かった。

 ハクレンのテンションが温泉に着く前に高くなったので、目的は達成しちゃったんだけどなぁ。

 ともかく温泉。


 施設は無事に残されている。

 死霊騎士はどこかなーと思ったら、鎧を脱いで入っていた。

 俺の姿を見て、慌てて出ようとするがそのまま入っててもらう。

 番人として頑張っているのはわかる。

 温泉の片隅に倒された魔物や魔獣の死骸がまとめられているからな。

 まずは、温泉の入り方を同行者に説明。

 男湯、女湯はしっかりと分けるように。

 男湯の方はダガとガルフに。

 女湯の方はラムリアスとセナに任せる。

 では各自、入浴開始。


 さて、俺も……と思ったが、その前にすべき事をする。

 予定していなかった同行者。

 猫。

 いつのまにか子供達に抱き締められ、同行していた。

 別に怒ったりはしないが……

 温泉地で退屈ではないだろうか?

 猫用の遊び道具でもと考えていると、なにやら温泉に興味があるよう。

 しかし、猫が入るには深い湯船。

 ……

 俺は少し考え、猫用の浅い小さい風呂を近くに作った。

 どうだ?

 片足……で慎重にチェックした後、かなりビビりながら入った。

 座ってお尻がお湯に浸かり、温かさに満足したのか頭を湯船の外に出しながら寝そべった。

 うん、良かった。


 次に、死霊騎士が退治した魔物や魔獣の死骸。

 新しい物もあるが、古いのもある。

 冬だから腐敗は進んでいないと思ったが、温泉地だからだろう。

 一部から腐敗臭がする。

 処分しておこう。

【万能農具】で耕し、土に戻して……死骸の山の中にパニックカリブーさんがいた。

 角はしっかりとある。

 後で死霊騎士を褒めようと心に決める。


 さあ、温泉と思ったが……着替える場所に置かれたサビだらけの鎧に気付いた。

 フルプレートメイルと呼ばれる全身鎧。

 死霊騎士の鎧だ。

 前に会った時もボロいと思ったが……ここまでサビだらけだっただろうか?

 温泉地だからか?

 剣はサビてはいない。

 こっちは新品同様。

 魔剣なのかな?

 ……

 俺は近くの森に行き、木材を獲得。

 木製の鎧を作ってみる。

 見本は目の前にあるからな。



 しばらくして、肩を叩かれる。

 ラムリアスだ。

 そろそろ帰る時間のよう。

 鎧が完成しなかった。

 少し悔しい。

 そして俺。

 温泉に入ってない。

 むう。

 まあ、また今度、来れば良いか。


 子供達はまだまだ温泉で遊びたいようだが、ラムリアスとセナが追い立てるように誘導。

 ダガとガルフも温かい身体で満足そうに……その手に持っているのは酒かな?

 帰りにハクレンの運ばれている間に飲むつもりと。

 今までは護衛で我慢していたから、駄目とは言わない。

 おっと。

 猫を忘れるところだった。

 温泉で完全熟睡をしている猫を起こし、身体を拭く。

 毛に艶が出てるな?

 温泉に髪をつけると痛むんじゃなかったっけ?

 動物の毛は別かな?

 良くなっているなら気にする事はないか。


 作りかけの木製鎧をまとめ、ハクレンに乗り込む。

 今度来る時は完成品を持ってやろう。

 ホカホカと湯気をたてる死霊騎士に見送られながら、俺達は村に向かった。

 遠足みたいだったな。

 また今度、来よう。



 村に無事到着し、気付いた。

 帰り、ビーゼルに頼んで転移魔法を使ってもらえば良かったんじゃないかな?

「無粋かなと思って……」

「行きもハクレンさんの上で食事だったから、帰りもそうなのかなぁって」

 ビーゼル、フラウの言葉。

 ま、まあ、いいか。

 楽しかったし。



 さて、春までもう少し。

 俺は持ち帰った木製鎧を仕上げる。

 山エルフさん達、手伝ってくれるのは嬉しいけど、ギミックは必要ないからね。

 変な装置を組み込むのは……手甲からナイフが飛び出す?

 足の先からも?

 こっちは収納?

 ここに鉄を仕込んで……小型の盾に変形?

 ……

 ロマンだな。

 死霊騎士が喜んでくれると良いのだが。


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