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トンネル対策?


 良い感じの土になったムカデたちの上で、ラスティから話を聞く。


 ラスティがダンジョンの出入り口に来た時、俺たちの時とは違って巨人族の出迎えがあったらしい。


 そしてダンジョンの奥、マクラのいる場所へと案内。


 なんでもマクラはダンジョンの崩落場所で補修作業をしていたらしい。


 俺が温泉に入っている間に……少し恥ずかしい。


 ラスティとマクラが合流したぐらいで異変があり、崩落でできた穴から小さなムカデが這い出してきたらしい。


 小さなムカデと言っても、デカいムカデと比べたらの話で二メートルぐらいの大きさだそうだ。


 ラスティはマクラと共に小さなムカデを撃退。


 ラスティに同行したザブトンの子供たちは巨人族たちの避難誘導。


 しかし、その避難した先にもムカデは発生。


 俺たちが合流した広い空間に追いやられ、そのまま防衛。


 ラスティたちだけなら炎を吐いて終わったとのことだが、巨人族が近くにいたのでそれができなかった。


 地味に小さなムカデたちをなんとかしたら、あのデカいムカデが出てきて身動きが取れなくなってしまったとのことだ。


 さらに詳しく聞けば、飲まず食わずで丸二日の戦いだったらしい。


 良くやったとラスティたちを褒める。




 次に、ラスティたちが守っていた巨人族と話をする。


 怪我人はいるが、幸いなことに亡くなった者はいないとのこと。


 かなり感謝の言葉を述べられた。


「このムカデは、この辺りによくいるのか?」


「もっと小さいのならたまに見かける程度です」


 もっと小さいのとは、二メートルぐらいのムカデではなく、三十センチぐらいのムカデらしい。


 それでも十分に大きい気もするが……


「アースラットのトンネルには二メートルぐらいのはいたよ」


 始祖さんが補足してくれる。


「ただ、ハクレン、ラスティがトンネルに入った直後に炎を吐いたから見たのは死骸だけだけど」


 なるほど。


 そこで怒られたから、巨人族のいる場所で炎を吐かなかったらしい。


 運が良かったと思おう。


「でも、あの大きさのヘカトンはいなかったかな」


「ヘカトン?」


 ムカデの名前らしい。


 正しくはポイズンロックヘカトン。


 ……毒があるのか?


 考えてなかった。


「ラスティたちは大丈夫か?」


 ドラゴンに毒は効かないらしい。


 さすが、ドラゴン。




 なんにせよ、崩落でできた穴を完全に塞ごう。


 でないと、巨人族が安心して住めない。


 ……


 一応、移住の考えがあるか聞いてみたけど、ここで生活するとのことだ。


 そうだよな。


 なかなか引っ越せないよな。




 穴を塞ぐため、崩落現場に移動。


 あのデカいムカデ、ポイズンロックヘカトンが出入りしたためか、巨大な穴ができている。


「前より大きくなっているわね」


 来たことのあるルーが呟く。


 倍以上の大きさになっているらしい。


 これを塞ぐには上を崩すのが一番かもしれないが……


 穴の周囲はマクラの糸で補強されていた。


 これを潰すのは悪い気がするので、トンネルに入って内部を崩そう。


 ……


 その前に、ハクレン、ラスティに頼んでトンネル内で炎を吐いてもらう。


 ムカデはもう見たくない。


 酸欠の恐れがあるので、俺はトンネルに入らずに待機。


 三十分ぐらいしてハクレンたちが戻ってきた。


「遅かったな」


「ちょっとゲストがいて」


 東側のトンネルから、デカいムカデの追加があったらしい。


 ただ、炎を吐いていいなら敵じゃないとのこと。


 さすが、ドラゴン。





 俺たちはハクレンたちに案内されながらトンネル内部に。


 西側は何もないが、東側には大量の灰があった。


「黒コゲじゃなく、灰か……」


「ちょっと本気を出したから」


 ハクレンが良い笑顔だ。


「西側にも火を吐いたんだよな」


「そっちは私が……」


 ラスティが不満そうに手を上げる。


 燃やしたかったのか。


 まあ、ともあれ邪魔をするものはいないようだ。


 さっくりと崩したいが……


 トンネルの出入り口近くで崩すと、上のダンジョンに影響があるかもしれないので少し移動。


 移動の前に始祖さんが、念のためと俺に魔法を掛けてくれた。


 空気の毒に対する魔法らしいけど、それで酸欠対策になるのかな?


 酸欠を空気の毒と言ってるだけかな?


 厚意は素直に受け取り、感謝する。




 まずは西側に。


 体感で一キロぐらい?


 全員でダラダラ歩く。


 ラスティは不満そうだったが、二メートルぐらいのムカデだったであろう灰が何箇所かにあるので、無駄ではない。


 灰を見つける度に褒めてやると、嬉しそうにしている。


 クロとユキは時々、先行しては何もないことを俺に報告してくれる。


 もちろん、褒めておく。



「この辺りで良いんじゃないかな」


 始祖さんの指示で、トンネルを崩す。


 魔法でどーん。


【万能農具】の出番はなかった。


 そして崩落時の土煙が、俺を避けることで始祖さんの魔法の効果を確認。


 おおっ。


 凄い。


 ちなみに、同じ魔法を他の者たちも使っていることから……初歩の魔法なのかもしれない。


 俺も使いたい。




 西側が終わったので、東側に向かう。


 トンネルに入った場所に戻った時、二手に分かれても良かったかもと思ったがすぐに考え直す。


 何がいるかわからないからな。


 全員一緒で行動。


 また体感で一キロぐらい歩いた場所で、魔法をどーん。


 崩れが少し悪かった。


 魔法を放ったルーが少し悔しそう。


 改めて魔法を放って完全に崩し、無事封鎖。


 これで安心かな?


 アースラットみたいな穴を掘る魔獣がいるから、油断はできないよな。


 警報みたいなものでも仕掛けられたら良いのだけど……


【万能農具】を出してみたが、どうしようもない。


 困った時は、始祖さん頼り。


「私がこのダンジョンに常駐するならいくらでも手はあるけど、そうじゃないからね」


「どうしようもないと?」


「手が無いワケじゃない」


 始祖さんが俺に何か期待した目を向けている。


 ……


「ひょっとして、創造神様の像を埋める件?」


「怪しい空気は感じるから、埋めたい気持ちは理解できる。

 しかし、私としては創造神様の姿をしたものを埋めるのは心苦しい。

 そこでなんだけど」


 始祖さんが言うには、出入り口は封鎖するけど創造神様の像の周辺は空間を作っておきたいとのことだ。


 本気で信仰している始祖さんの前で不用意に創造神様の姿に彫ったのが悪かった。


 でも、あの時はああするのが一番と思ったんだよな。


「わかった。

 その案で。

 あと、創造神様の像をそのままじゃ寂しいから社……神殿も作ろう」


「おおっ」


 始祖さんには色々と世話になっている。


 これぐらいはいいだろう。


「神殿作りは冬に。

 転移魔法を期待しても」


「もちろんだとも」


 色々と世話もしている気もするが……ルーやフローラのお爺ちゃんと考えれば、優しくもなれる。





 始祖さんの対策は、シンプルだった。


 要は門番を置けば良いのだ。


 トンネルに入る穴の近くで始祖さんが呪文を唱えると、地面から石柱が十本ほど生えた。


 そしてさらに呪文を唱えると、石柱がボロボロと崩れ何かの形が残る。


 羽の生えた悪魔?


「ガーゴイルと言ってね。

 普段は石像なんだけど、侵入者が来ると門番兼警報として活躍してくれる」


「強いのか?」


「アースラットなら大丈夫だと思うよ。

 駄目でも時間稼ぎはできるし、このガーゴイルたちが動けば私が感じることができる」


 なるほど。


 悪くない手だと感心。


 他の者たちも同様に感心しているようだ。


「初めて見る術ね。

 ラスティ、記憶できた?」


「十体の同時創造だったから、ちょっと怪しいです……

 後で手順を確認させてください。

 二十七手ですよね」


「ルーさん。

 貴女もこれ、できます?」


「無理。

 というか、これって始祖様の寝室を守るガーディアンよ。

 ドラゴン相手でも時間稼ぎできるんじゃないかな」


 マクラ、クロ、ユキはガーゴイルに何か感じるのか、距離を取っている。


 ……


 神殿は豪華にしよう。





 トンネルから出て、ダンジョンに戻る。


 巨人族にトンネルの封鎖と、穴の奥に設置したガーゴイルたちのことを伝える。


 ガーゴイルたちの動作条件は、俺たちが出入りした穴以外からの侵入。


 巨人族たちが穴に迷い込んでも大丈夫だが、できるだけ穴には入らないようにお願いする。


 できれば、蓋をしておいてほしい。


 現状、マクラの張った網だけだ。


 挨拶を終えると、そのまま始祖さんの転移魔法で村に戻る。


 すぐに帰るつもりだったが、ずいぶんと待たせてしまった。


 宴会が盛り上がっていれば良いのだが……




 宴会は俺たち待ちだった。


 ありがたいと同時に、申し訳ない。


 俺の謝罪と同時に、宴会が始まった。




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