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異世界のんびり農家 作者:内藤騎之介
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お祭り 滑走ボード



 大樹の村でお祭りが始まった。

 今年は滑走ボード。

 滑走の原型はあるらしいが、紛らわしいのでネーミングが少し変わった。

 この競技の良い点は、度胸さえあれば誰でも参加が可能なところだろう。

 獣人族の小さな男の子がやる気になっている。

 どうしよう?

「万が一の時は魔法でフォローしますから大丈夫ですよ」

 そういった魔法が得意な文官娘衆が胸を叩いてくれる。

 お願いします。


 さて、今年のお祭りにも来賓があった。

 魔王、ユーリ、ビーゼル、グラッツ、あと一人。

「四天王筆頭、ランダンだ。
 ここの噂は色々と聞いている。
 私は完全に無抵抗だ。
 だから何かあった時、速やかに保護してもらえると嬉しい」

「え、えーっと……ようこそ」

 俺はビーゼルを呼んだ。

「四天王筆頭にしては弱腰じゃないか?」

「彼は内政担当ですから」

「内政?」

「ええ。
 行政関連を主に。
 法務も少し」

「……四天王って魔王軍最強の四人とかじゃないの?」

「ははははは。
 そんなわけないじゃないですか」

 そうなんだ。

 ちなみに、グラッツは軍務担当。

 ビーゼルは転移魔法が使えるので外交担当らしい。

「もう一人は?」

「財務担当のホウ=レグです。
 誘ったのですが、所用があると」

「それは残念」

 魔王達は、用意しておいた来賓席で寛いでもらう。

 今年は来賓を予想していたので、スペースに抜かりは無い。


 来賓は魔王達だけではない。

 去年もやってきたドラゴン一家。

 ドース、ライメイレン、ドライム、ドライムの奥さん。

 そして今回はドマイムとクォンも一緒だ。

 仲も……問題なさそうにみえる。

 良かった。

「今年もお邪魔するぞ」

 挨拶を交し、来賓席に案内。


 始祖さんも来た。

 女性を一人、連れて。

「奥さん?」

「はははは」

 笑われた。

「光栄な事ですが、違います。
 私はフーシュ。
 コーリン教の司祭の一人です」

「これはご丁寧に」

 司祭と言っているが、今日はオフなのか私服だ。

 司祭にオフがあるのかな?

 穏やかだがどこかやり手のキャリアウーマンみたいな感じがする。

 メガネを掛けてないのが残念。


 マイケルさんも今年はなんとか参加できた。

 大量の海産物を持って、前日入りしている。

「ところで村長。
 今の方、コーリン教のフーシュさんですか?」

「ああ。
 司祭だって」

「……大司祭の一人ですよ」

「そうなのか?」

「ええ。
 綺麗で穏やかな方なのですが、悪辣フーシュと呼ばれる一面もあるようで……」

「へぇ」

「動じませんね。
 あの方が来るとなれば、人間の国だと大パレードですよ」

「そう言われてもな……」

 隣の始祖さんはコーリン教の宗主だし、魔王に竜王がいるんだから……

 そう言えば、紹介してなかった。

「マイケルさん。
 来賓の方々を紹介しましょう」

「よろしくお願いします」

 流石、商人。

 マイケルさんが来賓者達にきっちり挨拶していた。

「マイケルさんの席も来賓席に用意を……え?
 駄目?
 できればかなり離れたところが良い?
 でも、見物するには……あ、う、うん。
 嫌いじゃないぞ。
 マイケルさんには色々と助けてもらっているし……」

 物凄い気迫で、来賓席ではない場所を求めてきた。

 なんだろう。

 あ、近くを通ったスライムを抱きしめて癒されてる。


 ラミア達も見学に来ている。

 ただ、ハウリン村のガルフが来れなかったようだ。

 武闘会の方は参加したいと連絡はあった。




 祭りが始まった。

 武闘会と違って、進行はシンプルだ。

「挑戦者、リザードマンのダガ!
 自作のボードで挑戦です!」

 山の上でポージングアピール。

 そして、進路上の安全確認をした審判によってGOのサインが出されるとスタート。

 山を駆け下り、途中でボードに飛び乗る。

 穴に入るまでに飛び乗れないと失格となる。

 ボードに乗った後は好きな姿勢で構え、そしてジャンプ。

 大空に舞う。

 ダガは六回ぐらい水面をバウンドし、現在の最長記録を叩き出した。

「距離二十四メートル!」

 成績は木の板に掛かれ、順位通りに並べられるので誰が一番か明確だ。

 制限時間を定めており、それまでなら何度でもジャンプOK。

 それなりの人数が挑戦しているが、サクサク飛ぶのでテンポが良い。

 ただ、競技は単調なので時々、休憩を挟んで余興が出される。

 エルフの合唱、演奏。

 ダンスを取り入れているので、アイドルみたいだ。

 山エルフの工作発表。

 水車を動力としての活用のようだ。

 仕掛けのセットに五分、発表十秒だが悪くは無いんじゃないかな。

 魔王達の反応が大きい。

 ドワーフは酒の新しい飲み方の発表。

 要は新しいカクテルだな。

 希望者に配って、感想を集めている。

 ほぼ同時に鬼人族メイドの新作料理発表。

 事前にドワーフ達と相談していたのか、新しいカクテルに合わせた味になっている。

 なかなか美味い。

 祭りには一村、二村、三村の面々も来ているので、余興もお願いした。

 二村のミノタウロス達は、以前住んでいた村でやっていた豊作の歌と踊りを。

 三村のケンタウロス達は、走りながらの弓射。

 流鏑馬みたいなものかな。

 命中率は半々ぐらいだったが、当たるたびに歓声が上がる。

 一村のニュニュダフネ達は残念ながら辞退。

 ネタはあるが見せるのに三日掛かると言われると、流石に厳しい。

 今度、暇な時にお願いしよう。


 来賓の方々の反応は悪くない。

 武闘会と違ってどうかなと思ったが、考え過ぎだったようだ。

 魔王、ドース、始祖さんでヒソヒソと話をしている所を見ると、ひょっとしてここを会談場所にしているのかもしれない。


 そうこうしているうちに時が経ち、走って途中でボードに乗る第一部が終了した。

 優勝者はリザードマンのダガ。

 ボードの上に立ち、バランスを取って水面を跳ねずに疾走する事で飛距離を伸ばした。

 その姿はまるでサーファー。

 二番手はティア。

 三番手はクロの子の一人。

 四番手は山エルフのヤー。

 五番手は飛び入り参加のユーリ。

 ユーリは意外にバランス感覚が良いようだ。

 その他に飛び入り参加したのはビーゼル、グラッツ、ドマイム、クォン、フーシュ。

 ドースも参加しようとしていたがライメイレンに止められ、それを見ていた魔王は自粛した感じだった。

 成績は振るわなかったが、楽しそうにしていたので問題はないだろう。


 二部は最初っからボードに乗るスタイル。

 なので山の坂にも粘液を流し、スベリをよくする。

 二部も一部と同じように飛距離を競うが、なんだかんだでパフォーマンス部門だ。

 面白い格好でボードに座る。

 ジャンプした後のポーズ。

 飛距離無視で行われるなか、本気なのが獣人族の小さな男の子。

 獣人族の世話役であるラムリアスが心配そうにしていた。

 無事にジャンプしたが、子供用のミニサイズを作るべきだったかと反省。

 そのジャンプを見て、息子のアルフレートがやりたがったが親としてストップ。

 もう少し大きくなってから。


 二部の優勝者は意外にも酒スライム。

 ボードに乗っている時に形を変えて流線型になったのは偶然か?

 それとも考えてか?

 かなり飛んだ。

 二位は獣人族の男の子。

 三位はライメイレン。

 四位は魔王。

 五位にドース。

 いや、参加は歓迎だけどな。

 マイケルさんも参加したが、穴に入っている時が怖かったと言ってた。

 そうなのか。

 ちなみに、俺はやってない。



 表彰式。

 一部と二部の優勝者に褒賞メダル十枚と手作りトロフィーを渡す。

「ありがとうございます」

 ダガは満足そうにトロフィーを掲げ、周囲に自慢する。

 酒スライムは、トロフィーには興味を示さなかったが、褒賞メダルには食いついた。

 酒と交換できる事をどこかで覚えたのだろうか。

 まあ、優勝しているからちゃんと払う。

 その他、入賞者達にも褒賞メダルを渡していくが……

 飛び入り参加者達はどうしよう?

「何かと交換できるのでしょう。
 すぐに交換しますので問題はないかと」

 ユーリの言葉にライメイレン達も賛同したのでそのまま渡した。



 そして日が暮れるとお祭りは宴会になる。

 うん、無事に終わりそうでなにより。


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