挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
異世界のんびり農家 作者:内藤騎之介
しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

112/324

冬です



 冬が来た。

 雪がいきなり積もる強烈なヤツ。

 危なかった。

 あと数日、完成が遅れていたらケンタウロス達の一部が北のダンジョンのお世話になる所だった。

「食料の運び込み完了しています。
 各村、問題ありません」

 各村を連絡するケンタウロスの一人が、俺の前で報告する。

 一村にニュニュダフネ。

 二村にミノタウロス。

 三村にケンタウロス。

 一部を除き、生活を開始している。

 除かれた一部は、大樹の村での駐在員。

「防寒対策は?」

「問題ありません。
 薪も十分です。
 ただ、ゴードンさん、グルーワルドさんから、屋根の上の雪に関して相談を受けました」

「ん?
 屋根の上の雪?」

「私達が屋根の上に登ると、屋根を壊す可能性がありますので……」

「ああ、そうか。
 わかった。
 天気の良い日に、雪降ろし要員を運んでくれ」

「わかりました」

「ここに来るまでの間、問題は?」

「特にありません」

「川はどうだった?」

「いつもより水量が多かった気がします。
 水車は稼動させず、保管しています」

「わかった。
 水路作りは?」

「二村、三村共にまだ計画段階です。
 無理はするなとのご指示でしたので、天気の良い日を狙って行います」

「うん。
 無理のないように」

 二村、三村には冬の間の作業をいくつか振っておいた。

 ただ、見知らぬ土地での初めての冬なので、安全重視でお願いしている。

「一村の様子は?」

「変わりありません」

「そうか。
 他に連絡は?」

「一点。
 一村のイグさん、二村のゴードンさん、三村のグルーワルドさんの三者より、村長に対しての希望があります」

「ん?
 なんだ?」

「各村の長が村長になるので、村長には新たな名を冠して欲しいとの事です」

「あーそうか」

 村が増えたら、村長も増えるのか。

 なるほど。

 考えてなかった。

 ……

 今更、新しい村を集落にするとか言ってもなんだしなぁ。

 しかし、新たな名……村長より上?

 なんだろ?

「三者で考えた案としては、大樹の村の村長なので大村長。
 というのはどうでしょうかと」

「……け、検討する。
 けど、期待しないように」

「はっ。
 では、二時間ほど待機した後、各村を回って三村に戻ります」

「わかった」

 流石に大村長は嫌だ。



 外でクロの子供達が呼ぶので扉を開けてみた。

 そこには二十頭のグループが整列していた。

 前に出ている一頭は、クロの子であるクロゴ。

 一吠えした後、一斉に西に向かって走っていった。

 現在、一村、二村、三村には、二十頭づつのクロの子達が警備についている。

 警備といっても、そこで生活しているだけだ。

 クロロク、クロナナ、クロハチが各村のリーダーをやっている。

 クロゴは遊撃隊。

 遊撃隊の現状はケンタウロス達の連絡員の為の露払いや、クロロク、クロナナ、クロハチ達との交代もしている。

 魔物や魔獣が出ても逃げれるらしいが、万が一を考えれば手は抜きたくない。

 クロ達には苦労させるが、頑張って欲しい。

 クロゴ達を見送っていると、後ろから声を掛けられた。

 ……あ、うん、わかってる。

 寒いから扉を閉めろと言うんだな。

 家の中で寝転がっているクロとユキに謝りつつ、扉を閉めた。

 ……

 出会った頃の野生はどこに行ったのかな?



 冬。

 寒い。

 外に出ず、家の中で暮らす。

 そんな日々が続く。

 食料に関しては万全とは言わないまでも三食は食べれる量を用意したつもりだった。

 予想外が今年生まれたクロの子供達。

 食料がやばいかと思った所で、ハクレンとラスティが南に行って大きな魚を獲ってきてくれた事で一気に解決した。

 ありがとう。

 食料問題、最初っからこれで解決した方が良かったか?

 いや、頼るのは自分達でやれる事をやった後だ。

「次は揚げ物で」

「私もー」

 ともかく、俺はハクレンとラスティの為に魚を料理しまくった。



 グランマリアが相談に来た。

「村長。
 現在、見回っている範囲ですが、新しい村まで含めると範囲がかなり広くなってしまいます」

「厳しいか?」

「飛ぶのは問題ありませんが、地上を見張るには密度が足りません。
 見逃しが出るかと」

「うーん。
 まあ、仕方が無い。
 冬は小さいのはあまり動かないだろうから、大きいのさえ見逃さなければ」

 それに、一番警戒したいのはワイバーンだ。

「わかりました。
 では、現状のままで。
 それと、春になったら友人を引っ張って来たいのですが、よろしいでしょうか?」

「友人って天使族か?」

「はい。
 それほど強くはありませんが、飛べます」

「相手が住みたいと言うなら構わないが、無理矢理は止めてやってくれ」

「わかりました。
 春になったら連絡してみます」

 グランマリア達の友人か。

 どんな相手だろう。



 牧場エリアの馬が、どういった心境の変化か俺を乗せてくれた。

 そして、ある程度、希望通りに動いてくれた。

 俺、乗馬してる。

 グルーワルドの背中に乗ったのを見られ、拗ねられて仲直りした後から、妙に懐くようになった。

 懐いてくれば可愛がるのが普通。

 それが変化の切っ掛けかな?

 よしよし。

 さあ、行くぞ。

 早歩き程度の速さだったが、俺は乗馬を楽しんだ。

 少し離れた場所で、こっちを凄い目で見ているグルーワルドを見つけてしまった。

 背中がヒヤリとした。

 なぜグルーワルドが?

 ああ、定期連絡に来たんだな。

 あー、別に悪い事をしていないが、後ろ暗い気持ち。

 その俺の気持ちを知ってか知らずか、馬がグルーワルドを見て露骨に笑いやがった。

 うん、グルーワルドが凄く怖かったです。



 冬の間は、ザブトン達は姿を見せない。

 冬眠しているのだろう。

 この時期は少し寂しい。

 だが、一部は俺の家の屋根で元気に動いていたりする。

 絶対に寒い場所にはいかないが。

 火元に近付き過ぎて、燃えないように注意して欲しい。



 さて、冬の仕事。

 何をするかは決まっていた。

 まず、褒賞メダルの増産。

 現状、ミノタウロスやケンタウロス、ニュニュダフネに渡すかどうか相談中。

 渡すにしても、どれだけの量を渡すかでまた相談中。

 どうなっても良いように、増産作業を頑張った。

 慣れかな。

 去年よりも早く作業が進む。


 次に、小物雑貨作り。

 新しい村には、物が少な過ぎる。

 最低限しかないので、それを冬の間に作って増やす。

 作った物は、連絡に来るケンタウロスに渡して運んで貰っている。

 評判は良いとの事で、調子に乗って作った。

 ……

「あの村長?」

「なんだ?」

 いくつかのコップを家用にと鬼人族メイドに渡したら言われた。

「このコップですが、側面の彫り物が凄過ぎて使い難いのですが……あと、洗い物の時に気を使います」

「くっ。
 やり過ぎたか」

「木製コップでこの密度の彫り物だと、実用品ではなく美術品かと。
 あと、これって村長が大事にしている社の神様ですよね?」

「ああ」

「贈答用にする事をお薦めします」

「えー……手作りの品を渡すって恥ずかしくない?」

「お気になさらずに。
 ちなみに、各村に配った食器類の取り扱いについて相談を受けましたので、飾っておくように伝えました」

「……何が悪かった?」

「お皿はともかく、コップは口を付ける部分まで彫ったのが駄目かと。
 側面の一部にワンポイントぐらいにすれば良かったのでは?」

「こんな感じ?」

「……これ、私ですか?」

「ああ」

「ありがとうございます。
 家宝にします」

「いや、サクッと作ったものだから。
 できれば実用して欲しいんだが……」

 鬼人族メイドは俺の言葉を聞かず、両手でコップを上に掲げながらスキップで部屋から出て行った。


 後日、何かを期待する鬼人族メイドが妙に気合を入れた髪型をしているのを目撃するようになった。

 はい、希望者全員分、作ります。



 二村、三村の社と神様はすでに作っているので、まだ作っていないクロとユキ、そしてザブトンを彫る。

 いつもと違って室内でジックリ彫るので、荒々しさが足りない。

 マイルドな仕上がりに不満足。

 ポーズを変えたら良いかなと、“躍動感”をテーマに再チャレンジ。

 部屋に入って来た鬼人族メイドが臨戦態勢になるぐらいの迫力を獲得。

「魔除け……ですか?」

「違うけど、似たようなものかな」

“躍動感”のあるザブトンの像は、冬の間も活動しているザブトンの子達に大人気。

 よくその像の傍で姿を見る事が出来た。



 そして最後。

 ハイエルフの三人、リア、リゼ、ラファが妊娠した。

 俺の子だ。

 まあ、古い仲だからなぁ。

 妊娠発覚で、ハイエルフ達は冬の間だというのにお祭り騒ぎだった。

 男の子を望んでいる空気だが、俺としてはどちらでも構わない。

 無事に生まれてくれれば。


 少し遅れて、鬼人族メイドのアンの妊娠も発覚した。

 当然、俺の子だ。

 ハイエルフに負けず劣らず、鬼人族メイド達もお祭り騒ぎになった。


 お父さんとして、これからも頑張って行こうと覚悟を改めた。



 あー……各種族の女性の皆様方、ジリジリと俺を部屋に追い込むのは止めてくれませんかね。


+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ