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異世界のんびり農家 作者:内藤騎之介
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新しい住人達 第三グループ



 第三グループ。

 ミノタウロス、ケンタウロスと来たのだから、次は何タウロスだろうか?

 などとアホな事を考えながら、マイケルさんの紹介でやって来た者達を、家の前で出迎えた。

 ……

 マイケルさんの紹介でやってきたのは、美しい女性の一団と切り株だった。

「えっと……」

 美しい女性の一団の身長は百五十から百七十で、普通の人間サイズ。

 そこに一安心。

 年齢は十代後半から二十代後半ぐらい。

 その整った顔立ちは、普通の感覚を持つ者なら誰でも美女と断言するレベルであり、スタイルも悪く無い。

 いや、かなり良い。

 俺の第一印象は、少し失礼だが夜のお仕事をするお姉さん方。

 ただ服装がそれっぽくない。

 普通の村の女性の格好だ。

 正直、似合ってない。

 それが……四十人?

 切り株は十個ほどだが……なぜここにあるのだろうか?

 この辺りは全て【万能農具】で土にしたと思ったが……

 疑問に思っていると、その切り株が答えてくれた。

「代表のイグだ。
 受け入れ、感謝する」

 切り株が喋った?


 話を聞けば、この切り株の姿をした者も移住者だった。

 美しい女性の一団と切り株は同じ種族でニュニュダフネと言うらしい。

 俺の知識だとドライアドやドリアードや呼ばれる木の精霊に近い存在だろうか。

 姿が違うのは性別の差かと思ったが、違った。

 切り株も女性らしい。

 ……

 つまり女性のみ。

「君達は人間と交わったりするのかな?」

 俺の疑問に、一団はニッコリと微笑むだけで返事してくれない。

 かなり重要な部分なんだけど。

「村長。
 慌てずとも、我らも忠誠の証は考えている」

「忠誠の証?
 ……ち、違うっ!
 不要、そういったのは求めていない!
 勘違いしないように!」


 気を取り直し、見た感じではそれほど困った様子には見えない。

 ミノタウロスやケンタウロス達に比べると、極めて普通に思えた。

「とりあえず食事をと思うが、普通の食事で良いのかな?」

「心遣い、感謝する。
 ただ、移住に関する問題も聞いている。
 我らが食事をする事で、そちらに迷惑を掛けるのは望まない」

「そう言って貰えると助かるが、手持ちがあるのか?」

「いや、ない。
 なので、日当たりの良い場所と水をお願いしたい。
 それが食事の代わりになる」

「わかったが……」

 日当たりの良い場所。

 まあ、村なら大樹か建物、森の近くでなければ日当たりは良い。

 水も……川の水がある。

 となれば……場所は……

 考えていると先に提案された。

「そこの畑の周りで。
 頼む、畑に迷惑は掛けないから」

 代表のイグがそう言うので、そこで休んで貰う事になった。

 見た感じ、切り株姿の者はともかく、美人さん達が畑の周りを一定間隔の距離を取って立っているのはシュールだった。

 満足そうなので、まあ良いか。

 ……ホヘッとしている切り株姿が気になったので、一応、注意しておく。

「根を張ったら切るからな」

 切り株姿の者が何人かビクッとしたが……見逃しておく。


 ニュニュダフネは東からハウリン村のある山を越え、森を歩いてこの村に来た。

 なんでも植物と同化する能力があり、魔物や魔獣とは争わなかったそうだ。

 ただ、魔物や魔獣のマーキング行為を避ける事はできないらしい。

 簡単に言えばオシッコをかけられたり、爪で引っ掛かれたりはしたらしい。

 痛覚に鈍いので痛くは無いのだが、爪で引っ掛かれた者はその傷が治るまでは人間の姿になれず、切り株の姿をしているとの事だ。

 なるほど。

 つまり、彼女達の正体は切り株か。

 そして、お風呂をさりげなく勧めておくように指示する。

 匂わなかったけど、気分的にね。

 切り株だったらお湯は嫌がるかな?

 水浴びでも構わないぞ。

 だから、きっちり洗って欲しい。


 数時間後。

 食事と水浴びを終えたニュニュダフネ代表のイグから話を聞いた。


 村への移住の理由は、これまで住んでいた場所が荒れてきたので新天地を求めたとの事。

 なんでも近くの村が、森林伐採をやり過ぎて大規模な水害を引き起こしてしまったらしい。

 新しい住処を考えている所にマイケルさんの誘いを聞き、決断したという流れらしいが……

 どうもマイケルさんの話で決断したわけではなく、その時にマイケルさんが持っていた村の果実が決断の切っ掛けらしい。

「貴方の勧める移住先は、この果実……リンゴやナシなどを作った所か?」

「ええ、そうです」

「全員、移動準備。
 急ぐ」

 その時のマイケルさんは打診のつもりだったので、かなり慌てたという話は以前に聞いている。

 その後、慌てないようにと交渉したが、止まらずに移住を開始してここに来たという事だ。

 ちなみにマイケルさんは、シャシャートの街でニュニュダフネ達の移住用の物資を準備中。

 ミノタウロスやケンタウロス達の衣服や武器、道具、食料を頼まないと。


「しかし、ウチの村に来たのが果実目当てなら、食事を断らせたのは悪かったな」

 ニュニュダフネのイグは、人の姿の者に抱えられている。

 切り株の姿では移動が遅いからだ。

 理由はわかるが、見た目は美人な娘さんが切り株を抱えている感じなので似合わない。

「気にしないでくれ。
 果実が目的ではない」

「そうなのか?」

「うむ。
 我らがこの地を目指した理由は、土」

「土?」

「あのような見事な果実が成る土地なら、きっと優れた土があるのではないかと思い、参った次第。
 どうか、ここに置いて頂きたい」

「今更、断る気は無いが……そうか、土か」

【万能農具】で耕した土だろうな。

「なるほど。
 それなら、ガッカリさせる事はないと思う」

「うむ、畑を見たが実に羨ましい。
 我らが住む場所も、あのような場所である事を願う」

「ははは。
 畑みたいな場所が良いのか」

 ……

 え?

 ちょっと待て。

「住んで貰う村に畑を用意するつもりだったが……
 その、家に住んだりはしないのか?」

「家に住む事もある。
 ただ、我らは野外が好ましい」

「家に住むんだよな」

「我らは野外が好ましい」

 慌てるな。

 慌てるにはまだ早い。

 うん、でもちょっと疲れた。


 ニュニュダフネ達の世話役を決めた。

「イグ。
 紹介しよう」

「マムです。
 貴女方の世話係に任命されました。
 困った事があれば、私に相談してください。
 よろしくお願いします」

 俺は獣人族の一人をニュニュダフネの世話役に指名した。

 本人からの希望があったからだ。

 まだ中学生みたいな感じだが、獣人族代表のセナからの大丈夫と言われたので受け入れた。

「こちらこそ、よろしくお願いする」

 イグの根の一本が持ち上がり、マムと握手した。

「マム。
 悪いが、イグ達から話を聞いて貰えるか。
 どういった場所に住みたいのか、どういった仕事が出来るのか、得意な事、苦手な事、後は……」

「種族的なタブーや習慣ですね」

「ああ」

「承知しました。
 同時に村の事もある程度、教えておきます」

「頼んだ」

 うん、しっかりしている。

 俺はマムにニュニュダフネ達を任せ、家に戻った。

 また色々と話し合わなければならない。


 ……問題が多いなぁ。


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