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スアル姉妹の出産と昼のフローラ


 双子天使のスアルリウ、スアルコウがそれぞれ出産した。


 ほぼ同時だった。


 両方とも、女の子。


 天使族だからな。


 スアルリウ、スアルコウの母であるスアルロウが大喜びだった。


 それはかまわないが、生まれたての赤ちゃんを抱っこしながら飛ばないでほしい。


 低空だからとか、室内だからとかじゃなく。


 見てて不安になるから。


 あ、ラズマリアが引っ張って地面に無理やり降ろした。


 助かります。


 ……子供たちの名前?


 スアルリウとスアルコウと相談しながら考えた。


 スアルリウの娘がスアルリナ。


 スアルコウの娘がスアルコナ。


 似た感じの名になるけど、スアルロウも問題ないと言ってくれた。


「スアルリナとスアルコナですね。

 いい名です」


 ラズマリアが微笑みながら、赤ちゃんを見守る。


 抱っこしないのは、スアルロウが独占しているから。


 赤ちゃんは二人いるんだから一人ぐらいは……は禁句。


 どっちも大事な孫だと、スアルロウは渡さない。


 ラズマリアも無理に抱っこしようとはしない。


 ラズマリアは大人の対応をしてくれるので、安心できる。


 少しして、ティアやマルビット、ルィンシァ、レギンレイヴがやってきた。


 産後の二人を労わり、赤ちゃんの誕生を喜んでくれた。


 ありがたいことだ。




 大樹の村の居住エリアに、ラナさんの家が建った。


 豪邸ではなく、ちょっと大きめの普通の家だ。


 家具に関してはライメイレンが用意したからか、かなり豪華だけど。


 台所には多種多様な魔道具がセットされ、魔石も十分に置かれている。


 いつでも入居できる状態。


 あとは、ラナさんに一度、来てもらえばいいのだけど……


 いつ来るかな?


 来るまで空き家にするのも、ちょっと困る。


 空き家だと、家がすぐに傷むからだ。


 大樹の村なら大丈夫だけど、空き家は治安面でも問題があるしな。


 またニュニュダフネに任せようかと考えながらライメイレンに相談したら、ラナさんが来るまでは悪魔族の助産師たちが交代で管理してくれることになった。


 助かる。


 助かるが……任せていきなり宴会をするのはどうなんだろう?


 宴会じゃない?


 料理の試食会?


 鬼人族メイドたちから学んだ技術の発表会をやっていると。


 なるほど。


 いやいや、台所も使わないと駄目だと思うから使うのはいいんだ。


 ただ、派手に使うのはラナさんの許可をもらってからのほうが……


 許可をもらった?


 ラナさん、こっちに来たの?


 違う?


 聞きに行った?


 そ、そうか。


 まあ、許可があるならいいか。


 火の管理はしっかりするように。


 頼んだぞ。


 あ、聞きに行ったならラナさんは家が完成したのを知ってるよな?


 こっちにいつぐらいに来るとか聞いていないか?


 転移魔法での移動は控えているから、冬ぐらいになりそう?


 わかった。


 忘れないように覚えておこう。



 昼。


 ラナさんが来た。


 転移魔法で。


「控えるって言ったのにぃっ!」


「冬って聞いてたのにぃっ!」


 と、ドースとギラルが怒っている。


 正確には……ラナさんに勝負をしかけて、返り討ちにあって、ライメイレンやグーロンデに愚痴っている感じかな。


 ドラゴン姿での勝負だったから、村の子供たちはラナさんの強さに大喝采。


 同じ名のラナノーンは、特に感銘を受けたようだ。


 それはいいけど、被害を受けた森の修復はしてほしい。


 畑に被害はないけど、牛や馬たちが怯え……怯えてないな。


 慣れてる?


 そ、そうか。


 すまない。


 慣れていない新入りのバイコーンが気絶した程度ね。


 バイコーンは気絶から目を覚まして動いているけど、一応は体をチェック。


 気絶したときに倒れたみたいだからな。


 バイコーンを呼んでいると、フローラがやってきてチェックを手伝ってくれた。


 助かる。


「いえいえ。

 問題はなさそうですね」


 そうだな。


 俺たちが問題なしと軽く体を叩くと、バイコーンは周囲で心配していた馬たちと駆けだした。


 無事でよかった。


 それでフローラ。


 えーっと、まず昼にフローラが動いているのは久しぶりに見た気がするな?


 フローラの活動は、夜から早朝にかけて。


 武闘会などの大きなイベントでもない限りは、昼は寝ている。


「寝ていましたが、あれだけドッタンバッタンと暴れられると」


 あー、すまない。


 ラナさんにクレーム……いや、ラナさんはドースたちを倒したあと、すばやく家を確認し、プールサイドで食事を一通り楽しんだあと、お土産を持って帰った。


 勝負をしかけたドースたちにクレームを出しておこう。


「適当でいいですよー。

 昼に寝ているほうが悪いと言われると、反論しにくいので」


 そんなことはないぞ。


 昼に寝ててもいいじゃないか。


「そう言ってもらえると助かります。

 夜のほうが研究がはかどるんですよねー」


 夜は暗さの問題さえ解決できれば、静かで作業がしやすいらしい。


 フローラは、魔法で明るくできるからなぁ。


 あ、いや、フローラは吸血鬼だから夜目が利く。


 明るくする必要がないのか。


「いえいえ、作業中であることを示すためにも灯りを使ってますよ。

 真っ暗なままだと、気も落ち込みますしね」


 吸血鬼なのに?


「個性です」


 なるほど。


 それで、次の疑問なのだが……なぜ水着姿?


「せっかく昼に起きたのですから、プールを楽しもうと思ったのです。

 でも、お姉さまも村長もいませんでしたから」


 それで牧場エリアまで探しに来たのか。


「はい。

 でも、お姉さまは一緒じゃなかったのですね」


 ルーは五村だ。


 追尾荷車の工場にもゴーレムを使おうって話になってな。


「そうでしたか。

 残念です。

 この水着を褒めてもらおうと思ったのに」


 ……


 フローラは水着姿だ。


 その水着はスクール水着のような感じのワンピースに、胸元になにかのキャラが刺繍ししゅうされている。


「ファイブくんです」


 そうか、ファイブくんか。


「どうです?」


 似合っているぞ。


「えへへ」


 その水着は自分で選んだのか?


「ザブトンさんのお子さんたちが用意してくれたものです」


 そうか。


 ザブトンのセンスではないと思ったけど、子供たちだったか。


「ファイブくんをここにつけるのは、私のアイディアです」


 ……


 刺繍は水着には向かなくないか?


「ふふふ。

 村長、知らないのですか?」


 なにを?


「お洒落は実用性を越えたところに存在するのです」


 それは知らなかった。


 でも、子供たちからは人気が出るかもな。


「ですよね。

 …………子供たちから?

 大人たちからは?」


 大人は自分の好みを持っているから。


 とりあえず、俺でよければプールにつき合おう。


 ルーも、そのうち戻ってくるだろうしな。


「ありがとうございます。

 そういえば、見慣れない滑り台がありましたけど?」


 ああ、あれはハイエルフたちが作ったんだ。


 距離、高さ、角度が大人向けなので、子供だけじゃ乗れない。


 二人乗りのボードに乗って、プールに向けてジャンプするんだ。


「以前やった、お祭りの滑走を思い出しますね」


 そうだな。


 ハイエルフたちは、子供たちと遊べるようにと作ったらしい。


 ああいったのがないと、子供は子供で集まって遊ぶからな。


「では、あれは親子限定ですか?

 できれば滑ってみたいと思ったのですが」


 いやいや、大丈夫だ。


 なんだったら、一緒に滑ろう。


 かなり怖いぞ。


「望むところです」


 俺たちは、夕方までプールで楽しんだ。





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― 新着の感想 ―
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ルーがフローラに焼きもちを焼くエピソードといえば個人的には 第868話「合金製のスプーン」を思い出しますね。 ヒラクがフローラと二人で話していたら、ルーがにこにこしながら 二人の間に割り込んで座ってき…
なんか、フローラ絡みで嫉妬だとか子作りしてないとか言ってる方々がいるけど、そもそもweb版の68話「トラブルドラゴン」で鬼人族メイドや皆殺し天使たちと併せてフローラとも“仲良く”してる描写が普通にある…
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