表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1025/1026

大ラナノーン


 私の名はラナノーン。


 ふふふ、私に挑んだ者にしか教えないのだが、自分でつぶやくのは許される。


 ……


 いや、自分のことながら面倒な縛りを課したものだ。


 コミュニケーションがまともにとれん。


 名乗らん者を、どうやって信用しろというのだ。


 まったく。


 昔の自分を殴る……のは痛いな。


 叱ってやりたい。


 おっと、話が逸れたな。


 改めて。


 私は神代竜族のラナノーン。


 竜王ギグラントの妻だ。


 そこらのドラゴンと一緒にするのではないぞ。


 私は希少な神竜型のドラゴンでな。


 口の悪い者は蛇に手足が生えたとか言うが、由緒ある型のドラゴンなのだ。


 ……


 まあ、神代竜族はすべて由緒があるのだけどな。




 さて。


 神代竜族の寿命は永遠だ。


 なれど、死はある。


 肉体の衰えで死なんだけで、精神……活力の低下による死だ。


 眠る時間が長くなり、最後は肉体が石のようになって死ぬ。


 私にも死が近づいていた。


 長き時間をかけて眠りながら死に至る。


 怖くはない。


 先に亡くなった私の夫が待っているのだからな。


 ただ、現世との別れを寂しく思う。


 それだけだ。


 そう思って眠りについていたのに、いきなり叩き起こされた。



 なんだ?


 なにが起きた?


 駄目だ。


 まぶたが開かん。


 瞼が石になっている。


 ただ、ドラゴン()の肉体と精神が無理やりに起こされているのはわかる。


 石になった私になにをしたのだ?


 ええい、情報が足りん!


 気合で瞼を開く!


 ……暗い。


 そういえば、私は光が届かぬ深い洞窟の奥で寝たのだった。


 あ、慌てるな。


 私は神代竜族。


 集中すれば、夜の闇ぐらい見通せる。


 ……


 ぽつぽつと小さい灯りと、その近くで動くもの。


 小さき者か?


 くっ、焦点が合わん。


 あ、いや、これは老眼ではないぞ。


 寝起きだからだ。


 お、落ち着け、落ち着くんだ。


 緑とかを見ればいいとか聞いた覚えがあるけど……あれは遠くを見るときだったかな。


 なんにせよ光が届かない洞窟に緑はない。


 そ、それがどうした。


 私には溢れんばかりの魔力がある!


 魔力で視力を強化だ!


 よし、見える!


 見えるぞ!


 ええっと、小さき者が……私の鼻の上に乗っている?


 無礼な!


 でもって、その小さき者が私の目に……


 ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!


 目がぁっ!


 目がぁぁぁっ!


 小さき者が、私の目になにかをり込んだ!


 いや、じ込んだ!


 なんだこやつ!


 悪魔族か!


 悪魔族が復讐に来たのか!


 古いことを根に持ちおって!


 だから嫌われるのだぞ!


 んー……


 なんだ?


 視界が妙にはっきりしてきた。


 痛みも消えた。


 ぬっ。


 目の前にいる小さき者は、悪魔族ではなく人か。


 そして、私の目に捻じ込んだものは……


 なにかをせんじたもの?


 だが、その魔力……まさか、世界樹の葉?


 しかも、その手にある量。


 何十枚も使ったな!


 神代竜族の私でなければ変質するぞ!


 き、危険な使い方をしおって。


 しかし、何者だ?


 世界樹の葉は厳重に管理されて、簡単に持ち出せるものではないはず。


 それを何十枚も使えるとは……


 私の力が必要になったということか?


 寝ている私を起こしてまで?


 ほかの神代竜族はなにをしているのだ?


 まさか、滅んだのか?


 人がなにか叫んでいるが……


 聞こえん。


 耳が詰まっている。


 ちょっと待て。


 魔力で……よし、耳の詰まりがとれた。


 よし、聞こえる。


 ならば聞こうではないか。


 私になにを望むのだ!


「体をちょっと横にずらして!」


 ……


 すまない、もう一度、頼む。


「貴女の体が街の水源を塞いでいるの!

 体を横にずらして!」


 ………………


 えっと、こうか?


 石になっていたから、なかなか動かないが……


 あれ?


 私、寝るときはもう少し丸まって寝てたと思うけど、こんなに寝相ねぞうって悪かったっけ?


 とりあえず、なんとか体を横にずらした。


 すると、地面から水が溢れだしてきた。


 小さき者たちが喜んでおる。


 あー、ひょっとして私の寝相で迷惑をかけてた?


 すまない。


 しかし、寝るときに水源など近くになかったように思うが?


 長い年月で、変化したのだろうか?


 そのあたりを教えてもらえると……ちょっと待てぇっ!


 なに、用事は済んだって感じで帰ろうとしている。


 無理やり起こされた私はどうなる?


 おやすみって、こっちは完全に目が覚めたわっ!


 ぐぬぬ。


 私が寝てから、どれぐらい経過したのだ。


 世界はどうなっている?


 もう少し、情報。


 情報を寄越せっ!


 ん?


 私の名?


 知りたくば挑め!


 ……待って。


 いきなり殴りかかってくるのはどうかと思う。


 たしかに、こっちから挑めと言ったけど。


 私、起きたて。


 寝起き。


 だから、まだ満足に動けないの。


 そこに殴りかかってくるのは違うんじゃないかな?


 ほら、もう少しあると思うんだ。


 やりとりが。


 横着はよくないと思うぞ。


 面倒くさそうな顔をするんじゃない!


 話し合い。


 話し合いは大事。


 挑めと言ったの私だけど。


 あと、もう少しドラゴンをうやまえ。


 神代竜族は、人が普通に話せる存在ではないぞ。


 ……


 親が神代竜族?


 嘘を言うんじゃない。


 あー、育ての親ね。


 それならありえるか。


 そのドラゴンの名は?


 ハクレン?


 知らぬ名だな。


 だが……名から感じる力は……


 ひょっとして、ライメイレンの娘か?


 おおっ!


 ライメイレンは私の孫だ。


 そうかそうか。


 ……ん、ちょっと待て。


 ライメイレンに娘がいるということは……ライメイレンの相手はドースの坊やか。


 ライメイレンがやたらと執着しておったからな。


 え?


 ドースの坊やが今の竜王?


 あの坊やが。


 おっと、不安に思っているわけではないぞ。


 ドースの坊やは真面目だから、しっかりとやっているはず。


 なまけていたら、ライメイレンが尻を叩くだろうしな。



 ハクレンにはお前以外にも子がいる?


 育ての親としてか?


 あ、産んだ子ね。


 ヒイチロウに、ヒカルにヒミコか。


 ふむ。


 子が多いのは、いいことだ。


 ラナノーン?


 ほう。


 ほうほう。


 よい名ではないか。


 そうかそうか。


 それもハクレンの娘か?


 ラスティスムーンの娘?


 ドースとライメイレンの息子ドライムの娘がラスティスムーンね。


 なるほど。


 うむ。


 これは会いに行って祝福せねばならんな。


 どこにいるか、知っておるな。


 案内を所望する。


 ん?


 私の名?


 さっき、挑んだのだから教えろ?


 挑むってそういうものじゃ……


 わかったわかった。


 では、耳を澄まして聞くがよい。


 私の名はラナノーン。


 神代竜族のラナノーンだ。


 よい名であろう。


 そちらの名は?


 ウルザか。


 そちらも、よい名ではないか。


 では、案内を頼む。


 なに報酬は払おう。


 ……


 あれ?


 寝るときに集めた私の宝はどこにいった?


 ない?


 奪われた?


 い、いや、よくよく周囲を見れば、寝た場所と違う?


 あれー、寝相で変な場所に移動したのかな?


 なんにせよ、ウルザに渡す報酬がない。


 ライメイレンやドースの坊やを頼るのは抵抗があるな。


 案内の報酬は仕事を手伝え?


 神代竜族になにを言うか。


 神代竜族は半神。


 半分、神だぞ。


 もっと敬ってだな……


 ダイコンを育てている神代竜族がいる?


 は?


 え?


 畑仕事?


 神代竜族が?


 わ、私が寝ているあいだに、神代竜族になにがあったのだ?





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
>先に亡くなった私の夫が待っている 別々に寝てたとして察知できたのは竜族の女の本能的なものなんでしょうか? 188話 ハクレンの出産
薄々予想はしてたけど… やっぱり先代ラナノーンだったか いや、それよりライメイレンの祖母がラナノーンだったのか!
世界樹の葉で変質って妖精女王が神水飲んで位階が上がったってやつかな
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ