レイワイト王国の結婚事情
ちょっと短めです。
僕の名はミケル。
コーリン教の平凡な男。
そう、ほんとうに平凡な男なんだ。
残念なことに。
アルフレートくんはモテる。
納得できる。
まず容姿。
悪くない。
年齢。
若い、十三歳。
僕よりも若い。
戦闘力。
たぶんレイワイト王国で一番だと思う。
オブライエンさまと剣でやりあえるし、すごい魔法をいくつも使いこなしているから。
たぶん、戦闘中に変なポーズ……違った、秘伝のポーズをとったりしなければ、誰にも負けないと思う。
財力。
詳しくは知らないけど、アルフレートくんの実家はお金持ちだと母から聞いている。
彼の金回りのよさからも、それは真実だろう。
地位。
島の王……で、いいのかな?
本人は村長と言ってるけど。
百歩譲っても、島の長なら島長じゃないかな?
あ、でもこれは表に出せないか。
表に出せる地位だと……
なにもない?
コーリン教の客人?
いや、レイワイト王国の客人かな。
実家のほうでなにかしら地位があれば、それを持ってくるだろうけど……
母に聞くと、彼の実家について知りたいのですか? と謎の圧力で聞くなと言ってくるから困る。
本人に聞いても、「なにもなしていない一人の男」とか言うしなぁ。
でも、レイワイト王国の王や王子たち、宰相たちと、ほぼ知り合い。
コーリン教も、申請すれば少し待たされる程度で、偉い人に会える。
普通は申請しても数年待ちなのに。
僕だって会ったことのなかった偉い人と、普通に話をしているのは何度見ても驚きだ。
話している内容は木製の神の像とか、楽器の話だけど。
なんにせよ、彼はモテる。
うん、女性は放っておかない。
僕が未婚の女性だったら、母に頼み込んででも確保すると思う。
ちなみに、僕は未婚だ。
婚約者もいない。
母にそのあたりを相談したら……すごく葛藤した顔をされた。
息子を手放したくない。
でも、孫はみたい。
そんな顔。
なので、相手は自分で見つける必要がありそうだ。
話を戻して。
アルフレートくんはモテる。
モテる要素の多い男性だ。
そして、彼を狙う女性は多い。
ここでレイワイト王国の結婚事情を説明すると……
王族、貴族、庶民で少し変化はするけど、男性はだいたい二十歳ぐらいから結婚する。
二十歳前に結婚する人もいるけど、それは実家が強いところかな。
基準は自分で稼げるようになってからだから、二十歳を超えてからが一般的。
だから僕は焦ってない。
そしてアルフレートくんは……実家が強いだろうから、結婚してもおかしくない。
女性は男性に比べて早く、十三歳ぐらいから十八歳ぐらいまでで結婚する。
男性と違って、遅くても二十歳までに結婚しないと、今度は逆に結婚できなくなる。
しかし、だからと言ってろくでもない男性と結婚しても、苦しむだけ。
結婚後も人生は続くのだ。
なので、女性は若いうちから男性を厳しい目で見る。
女性同士での情報交換も活発だ。
男性からすれば、女性はつねに色恋の話で盛り上がっているように見えるが、女性は女性で人生を賭けた勝負をしていると言える。
そんな女性たちから、アルフレートくんはどう見えるか。
極上の獲物……失礼。
極上の相手に見えるだろう。
だから、あの手この手でアルフレートくんをお茶会に呼び、なにかしらのきっかけができないかと頑張っている。
この女性陣のお茶会攻勢。
僕も同行している。
母から、アルフレートくんだけで行かせないようにと厳命されているからだ。
まあ、大丈夫だとは思うけど、思いつめた女性が罠を仕掛ける可能性は十分にある。
警戒は必要だ。
なにせアルフレートくんは十三歳。
男女のかけ引きはもちろん、女性の扱いもおぼつかない。
そう思っていたのだけど……
「美しいお嬢さまがた」
問題なく、女性たちと会話できている。
あれ?
あ、姉や妹に厳しく鍛えられたと。
家庭での先生は基本、年上の女性?
さらには通っていた学園で、年上の女性と会話する機会も多かったと。
な、なるほど。
それじゃあ、結婚に関してもう考えていたり?
え?
婚約者がいる?
姉?
え?
どういうこと?
あ、義理の姉ね。
へ、へー。
うぇ?
アルフレートくんより強いの?
嘘だろ。
あ、いや、ちょっと信じられなくて。
アルフレートくんの暮らしていた村だと、アルフレートくんより強い人がたくさんいるんだ。
ちょっと想像できないなぁ。
弟や妹もアルフレートくんより強い?
だから、鍛えないといけないと。
はー……
あ、待って。
そういった状況だと、その……複数の妻を持つことは?
力がある者、金がある者は、複数人と結婚することはよくあることだけど、どうかな?
いまは考えられないのね。
わかった。
いや、いろいろなところから聞かれてて。
うん、アルフレートくんには婚約者がいるって返事しておくよ。
確認だけど……そのアルフレートくんの婚約者って、決闘とかを受けたりは……あ、大好きなのね。
一対一だけじゃなく、一対複数でも大丈夫なんだ。
そっかー。
聞かれたら、伝えておくね。




