レイワイト王国のアルフレート
本日二話投稿になります。
その一話目です。
愚かであった。
そう私は愚かであった。
下らぬことで心を乱された己が未熟さに呆れてしまう。
私の名はアルフレート。
アルフレート=マチオ。
いまだ未熟な男なれど、天を睨む気持ちは忘れてはいない。
……
忘れてはおらぬ! のほうが、いいかな?
少し悩む。
さて、私はレイワイト王国にいる。
これまでの私は、レイワイト王国の客であった。
そう扱ってもらっていたし、私もそれを受け入れていた。
それがよくなかった。
客では学べん。
私はこの国になにをしに来たのだ?
ちやほやされるためか?
そうではない。
私の成長のためだ。
そして、父は言った。
言ってくれた。
自分らしく行動しなさいと。
ゆえに私は客であることをやめる。
一人の男として、これからは行動していく。
ポーズを決めながらフーシュさんにそう言ったら、私を超えるかっこいいポーズで応援すると応えてくれた。
魂の共鳴を感じるが、私を超えるのは……その、ちょっと悔しい。
研鑽せねば。
客であることをやめた私が、最初にやることは……
まず、トイレだ。
トイレが美しくない!
耐えられない!
これまでは、客ゆえに考えなかったが……
自作するしかあるまい。
お小遣いは父や母からもらっている。
ならば材料を確保し……スライムがいるな。
近くにいればいいのだが。
いなければ、次に村に戻ったときに一匹、もらってくるか。
などと考えていたら、
ん?
なにようか?
フーシュさんが私につけてくれた侍従が、遠慮がちに声をかけてくる。
「あの、アルフレートさまは?」
なにを言っている。
私だ。
「………………………………アルフレートさま?」
うむ。
「…………失礼しました。
アルフレートさまが不在のときですが、三つの王家から謝罪の機会がほしいと懇願されております。
いかが返事しましょう」
返事……返事か。
ふむ。
よかろう。
いますぐだ。
呼び出せ。
「承知しました。
では、こちらにどうぞ」
どうぞ?
事前に用意していたのか?
あと、王子たちや関係者は隣室で待機していたのか?
そう思わせるぐらい、早々と場が用意された。
びっくりした。
でも、それを態度に出すのは美しくない。
平静に。
平静にだ。
私の前に、あのときの三人の王子と……各国の宰相か。
私の後ろにはフーシュさんと、フーシュさんの息子であるミケルさん。
あと、オブライエンなる神官戦士長とその副官。
オブライエンなる神官戦士長は、フーシュさんと一緒に暴れたそうだ。
なるほど。
そういう人選ね。
さっさと終わらせよう。
私が口を開く前に、王子たちから待ったがかかった。
正確には、王子たちの後ろにいた宰相の一人が止めた。
そして言った。
「……誰?」
誰とは失礼な。
アルフレートだ。
「いや、姿が……」
面倒な。
しかし、ここで対処を誤ってはさらに面倒になる。
どう答えたものかと思ったら、フーシュさんが一歩前に出てくれた。
「成長したのです」
「成長って、おま……」
「成長したのです」
ぬう、やはりフーシュさんのポージングは見事。
勉強になる。
「こ、この者をアルフレートとして扱う、とかではなく……?」
「本人です」
「オブライエンも同じ意見か?」
「見ればわかるでしょう。
アルフレート殿です」
「……わ、わかった。
いろいろと頑張って無理にでも飲みこむ。
邪魔をして悪かった」
いえいえ。
えーっと、それでは本題だ。
謝罪。
王子たちからの謝罪だったな。
……不要だ。
ああ、そうだ。
そちらからの謝罪を受け取らない。
よくよく状況を考えれば、よくわからぬ怪しげな者の言動に賛同し、称賛などできようはずもない。
賛同できなかったから謝ると言われても、それは本心からではあるまい。
そのような謝罪は不要だ。
それに、あれは……私の不手際。
まずは、私の力を見せ、私の努力を知ってもらい、それから語ることであった。
言葉だけで先走った私が悪かったのだ。
私の不必要な発言で、場を乱してもうしわけなかった。
こちらから謝罪させてもらおう。
私が謝ったからか、フーシュさん、オブライエンも謝罪した。
「軽率でした」
「もう少し早く突入すべきだった」
……
えーっと、フーシュさん?
棒立ち?
でもって、顔は謝ってませんよね。
このあたりの謝罪って、そんな感じなの?
オブライエンは、違うことを謝っているよね?
場を乱したことを謝るんじゃないの?
ほら、ミケルさんや副官も注意しているし。
せっかく用意してくれた宴を台無しにしちゃったのは、事実なわけで。
ま、まあ、いいか。
これで話は終わりだ。
そう私が話を打ち切ろうとしたら、これまで沈黙していた王子たちが抵抗した。
「ま、待て!」
「まだ話は終わっていない!」
「僕たちの話を……」
えー。
あ、それぞれ、後ろで控えていた宰相たちが王子たちの頭を殴って止めた。
えーっと、宰相たちはこっちの謝罪の意図は汲んでくれたみたいだから、あとで王子たちに説明してくれるだろう。
うむ。
では、この話は終わりだ。
話は終わらなかった。
面倒な。
でも、フーシュさんやオブライエンと訓練していたら、なんとかなった。
なんでだろう?
まあ、王子たちがレイワイト王国のトイレ事情の改善や、料理や畑の作成に協力してくれるので、助かる。




