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レイワイト王国とコーリン教


 レイワイト王国。


 アサムッド王家、セイブール王家、ダーグリン王家、この三つの王家とコーリン教が動かす国だ。


 三つの王家の王の任命をコーリン教がしているので、力関係はコーリン教が上で三つの王家は下になる。


 これは何百年も前から変わらない。


 しかし、私はこれに異を唱えたい。


 これまで国家を安定運営してきたのは三つの王家だ。


 コーリン教は、王を王と認めるだけだ。


 なのに、国の重要事に参加しては口を挟んでくる。


 しかし、コーリン教の人事や運営に関しては、三つの王家からは口を出せない。


 コーリン教内部で決めてしまう。


 いまは正常なれど、悪意ある者がコーリン教の上に立てば、三つの王家は滅ぶ。


 そんな危険な状況を許してはいけない。


 なんとかコーリン教と、レイワイト王国を切り離したい。


 そう考える私は、ダーグリン王家の宰相。


 現ダーグリン王家ラフス王の側近である。


 ああ、勘違いしないでほしいのだが、私はコーリン教を敵だとは思っていない。


 ただ、一つの宗教として、国家運営から距離を置いてくれたらと思うだけだ。



 しかし、レイワイト王国からコーリン教を切り離す。


 そう簡単にできる話じゃない。


 長い歴史が邪魔をする。


 さらには、コーリン教にはこれといった失点が少ない。


 弱みもない。


 調べても出てこない。


 いや、調べられない。


 それゆえ、コーリン教の深淵を外部の者は知らない。


 宗主と呼ばれる重要人物がいるのは有名だが、コーリン教ができたのは何千年も昔の話。


 まさか本人なわけあるまい。


 襲名しているのだろうか?


 さらにはコーリン教は独自の組織をいくつも持っている。


 コーリン教騎士団。


 マルディルク聖騎士団。


 マルデ商会。


 ガラ傭兵団。


 ムンド公国。


 ポーラ楽団。


 レイワイト王国の指揮下に入らず、コーリン教のためだけに動く組織だ。


 これらは有名だが、きっとまだほかに隠された組織がいくつもある。


 絶対にだ。


 そして、これらの組織を統括しているのが大司祭フーシュ。


 あの悪名高い、悪辣あくらつフーシュだ。


 コーリン教の城壁とも言われている、コーリン教の守護者だ。


 個人での武勇にも優れ、扱える戦力も多い。


 私が力で敵う相手ではないだろう。


 だから、レイワイト王国からコーリン教を切り離すのは、私だけでなくこれから何百年とかけて少しずつ進めていく事案だ。


 うん。


 これは逃げではない。


 正直、三つの王家にもう少しだけ権限をくれるだけでもいいんだ。



 などと思っていたところに、コーリン教が隙を見せた。


 アルフレート=マチオ。


 コーリン教から送り込まれた男。


 まだ若い。


 彼に勉強をさせたいからと、コーリン教は三人の王に彼の滞在を認めるよう求めた。


 王たちは了承した。


 珍しいコーリン教からの要請だ。


 恩を売っておきたい。


 私も賛成した。


 しかし、後見人としてフーシュが直々につくとは。


 彼はコーリン教の重要人物か?


 それとも重要人物の関係者?


 よし。


 取り込もう。


 三つの王家から、有力な貴族の娘を彼に近づけた。


 どれかにはひっかかるだろう。


 ふふふ。



 フーシュから、そういったことはお止めくださいとキツく言われた。


 遠まわしな表現ではなく、まっすぐに。


 私、宰相なんだけど?


 関係ない?


 いいから、娘たちを引き離せ?


 じゃないと国が滅びる?


 そ、そんな脅しに負けんぞ。


 いや、冗談じゃないって……どうした?


 あやつになにかあると、ドラゴンでもやってくるのか?


 似たようなもの?


 わけのわからんことを。



 アルフレートが、三つの王家の王子たちと揉めた。


 現場は見ていなかったが、どうやら王子たちがアルフレートの言葉を笑ったらしい。


 公式の場だったのでアルフレートは黙っていたが、フーシュが動いた。


 三人の王子を右手で二人、左手で一人。


 ぎゅっと絞めてた。


 そして、そのままの体勢で王たちに「王子たちを庇うなら退位する覚悟で挑め」とか言っちゃったらもう……


 あ、フーシュの息子、いいぞ。


 なんとか止めろ。


 フーシュの部下も頑張れ!


 そうだ、まずは王子たちをフーシュから救うのだ。


 オブライエン?


 やった。


 コーリン教の神官戦士長、オブライエンが来てくれた。


 やつならフーシュに対抗できる。


 頼んだぞ、コーリン教の良心!


 そう思ったら、オブライエンはフーシュ側だった。


 え?


 オブライエンくん?


 ちょ、なにを?


 村長は立派な仕事だって……そりゃそうだけど。


 王子を縛って首を斬る準備をするんじゃない!


 衛兵、ぼーっとしているんじゃない。


 王子たちを助けるんだ。


 フーシュさまやオブライエンさまには手を出せない?


 くっ!


 こ、これだからコーリン教は……


 そうだ!


 アルフレート。


 彼ならフーシュたちを止められ……コーリン教の者たちによって、現場から連れ出されている!


 くそうっ!


 でも、そうだよな。


 そう対処するよなー。


 私だってそうする。


 あとは……そうだ。


 王たち。


 王たちならフーシュを止めて……


 王よ。


 王子たちとの永劫の別れを惜しむ時間がほしいと懇願するのは、諦めが早すぎませんか?


 もう少し抵抗を。


 フーシュとオブライエンが揃っているから、力では無理なのはわかるけど。


 だ、誰か、なんとかして!


 コーリン教の偉い人がやってきて、フーシュとオブライエンを止めてくれた。


 よかった。


 誰か知らないけど、ありがとう。


 細身で長髪の若者よ。


 ん?


 王子たちがアルフレートに謝らないと、収まらない?


 ああ、正式に謝罪しなければフーシュやオブライエンは止まらないだろうな。


 だが、その前に調査はする。


 アルフレートと王子たちが、どういった会話をしたかを調べずに、王子たちに頭を下げさせるわけにはいかない。



 調べた。


 王子たちが、アルフレートの「村長を目指す」との言葉を、「こころざしが低い」と笑ったそうだ。


 …………


 私は王子たちを並べて叱った。


 お前たちは馬鹿か?


 コーリン教がちゃんと手順を踏んで紹介してきた人物に、なぜ喧嘩を売る?


 そして、お前たちはいつから他人の志に高い低いと言えるほど経験豊富になったのだ。


 お前たちは高い志を持っているのか?


 まさか、王になるのが高い志だと思っているのか?


 そして、それ以外は低い志か?


 どこからが高い志で、どこからが低い志なんだ?


 言ってみろ。


 言えんだろう。


 一から勉強をやり直せ!


 ……おいおい、怖い目で私を見ているな?


 いいぞ、お前たちが王になったら、私を好きに処分するがいい。


 王になれたらな。


 いまの王たちが、お前たちの継承順位を下げる程度の罰ですますと思っているのか?


 廃嫡なら継承権は消えるぞ。


 さて、どうなるかな。


 私にすがっても、救いはない!


 謝罪の場を用意するから、アルフレートに謝れ!


 それ次第だ!


 ああ、わかっていると思うが、処分が怖いから謝るという姿勢では許しは得られんぞ。


 考えろ。


 なにが悪かったか。


 言葉だけでなく、行動で示す必要もあるぞ。



 王たちは三人の王子の廃嫡を検討していたが、一応は先延ばしを願っておいた。


 王子たちはまだ子供だ。


 失敗はする。


 王になってからの失敗は困るが、王子のうちならまだなんとかなる。


 だが……


 これでまた、レイワイト王国からコーリン教を切り離すことはむずかしくなった。


 頭の痛い話だ。





貴族娘たち「アルフレートさま、すてきー」

フーシュ 「やめろと言いましたよね?」

宰相   「あれだけ目立ったら、ああなるに決まってる。私のせいじゃない」

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― 新着の感想 ―
これはなぁ…『村長』が悪いと思うよ。『村長』が…w
970話 『冬前』 手紙に書いてあった冒険者ギルドと揉めた3人はこの王子達という感じかな?
他の人の感想読む邪魔ではある。飛ばすのも面倒なんで自制求む。
2026/02/07 19:41 五月蝿いのがグダグダと。
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